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ポストプロジェクトレビューで必ず取り上げるべき議題は,うまくいったこと(提言):継続されるべきこと、変えるべきこと(提言):改善や変更が必要なこと、・提言の優先度、すべてのプロジェクト参加者からの最後の意見の4つ

No10. レッスンズ・ラーンド《一般》(2011.06.27)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

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【目的】組織のプロジェクトマネジメント能力の底上げ
【用途】プロジェクトの振り返り時に抽出し、ナレッジ化し、プロジェクトの計画時に活用する
【効用】よいプロジェクトマネジメントプラクティスを組織に普及させ、不適切なプラクティスの再発を防ぐ
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◆ポストプロジェクトレビューで取り上げるべきこと

プロジェクトマネジメントでは、プロジェクトの最後にポストプロジェクトレビューと呼ばれる振り返りのためのミーティングを行う。ポストプロジェクトレビューによって得られるものは「レッスンズ・ラーンド」、つまり教訓である。振り返りのミーティング自体をレッスンズラーンドと呼ぶこともある。

ポストプロジェクトレビューで必ず取り上げるべき議題は

・うまくいったこと(提言):継続されるべきこと
・変えるべきこと(提言):改善や変更が必要なこと
・提言の優先度
・すべてのプロジェクト参加者からの最後の意見

の4つである。

◆レビューはドキュメントに基づき行う

ポストプロジェクトレビューのベースになるのは、プロジェクトドキュメント(ログ)である。したがって、ポストプロジェクトレビューの前に、すべてのプロジェクトドキュメントが更新され、プロジェクト報告がそろっている必要がある。特に

・スケジュールの計画と実績
・リソースの計画と実績
・統合変更管理の履歴
・課題管理の履歴と、問題のエスカレーションの履歴
・プロジェクトメトリクスの実績
・パフォーマンスレポート

などについては最終情報が使えないとポストプロジェクトレビューを開催する意味がないので、うまく段取りをする必要がある。


◆教訓を得る方法

上のような情報・データに基づく振り返りを行い、教訓を得る際の視点は3つある。一番目は

(1)是正措置や問題解決方法の有効性

である。ベースラインとの差異が発生した際に実施した是正策が有効だったかどうかを検討する。有効な場合にはその是正策は継続されるべきこととして教訓化される。有効でなかった場合にはどのような策を講じるべきだったか、つまり、改善すべきこととして取り扱われ、改善された教訓が残る。

二つ目は、

(2)リスクの充足度

である。つまり、発生した問題がリスクとして想定されていたかどうかである。想定されていない場合には、リスクチェックリストに反映される必要がある。想定されていた場合には、なぜ、問題となる以前に対処できなかったかを分析し、教訓として残しておく必要がある。

三つ目は、

(3)コミュニケーション

の視点である。問題が発生したときには、必ずといってよいくらい、コミュニケーションの問題が潜んでいる。このことは常に意識すべきであり、振り返りでは常にコミュニケーションに関する教訓の発見に努めるべきだろう。


◆レビューミーティングの運営

よい教訓を得るために重要なのはミーティングの運営である。

まず、アジェンダのレビューをすること。そして、ミーティングのルールを設定することから始める。

次に、会議の中ではできるだけ多くの人から意見を引き出すように心がけること。そのためには、問題解決や個人的な攻撃に走らないことだ。よいプラクティスの発見に努め、問題に対しては、改善の機会を議論すること。

ホワイトボードなどに書き留めるアイデアは選ぶこと。ブレンストーミングを行っているわけではないことを理解する。

ある程度、意見が出尽くしたら、モードを切り替える。個別の問題を対象にして、コンフリクトの解消をしていく。その方法は、原因結果分析や、プロセス改善、ブレンストーミングなど、いろいろな方法を使うとよい。システム思考を使うのも効果的である。

この場面でも可能な限り、多くの人が発言できるようにする。結局のところ、レッスンラーンドはコミットメントの質と量だということを心得ることだ。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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