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プログラム化することによって、あるチャレンジに失敗すれば、別の方法を取るという進め方が可能になる

第2回 イノベーションプロジェクトのマネジメントの枠組み(2015.07.22)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆モダンプロジェクトマネジメントにおけるプロジェクトの定義

前回はイノベーションはマネジメントできるかという問いについて考え、マネジメントできなければ、イノベーションできないという結論に至った。では、具体的にどのようなマネジメントが適しているのだろうか?今回はこの問題を考えてみたい。

そもそも論でいえば、PMBOK(R)に代表されるモダンプロジェクトマネジメントは、

・新規性
・有期性
・段階的詳細化

のあるプロジェクトを対象にしたものであり、この3つはどんなイノベーションプロジェクトにも当てはまる特性である。その意味で、モダンプロジェクトマネジメントでマネジメントすればよい。

が、多くの人はこの点について否定的である。なぜだろか?


◆段階的詳細化とは何か

ポイントは段階的詳細化にあるように思う。段階的詳細化は、あくまでもリニアである。つまり、大きなレベルでは手順が決まっていて(計画されていて)、逐次、スコープを詳細にしていく。このような進め方がイノベーションのプロセスと合わないと考える人が多いように感じる。

イノベーションのプロセスでは、引き返したいことが多いからだ。つまり、一旦、決定したスコープ(のある部分)をもう一度、変更するということを常時行いたわけだ。

そこで、アジャイルのようにイテレーションで試行錯誤をしながら、前に進んでいく方法が望ましいと考える。


◆フェージング

ただし、これはモノの見方の問題だとも考えられる。モダンプロジェクトマネジメントにはもう一つ重要な要素がある。それはフェーズという考え方である。フェーズを使うと少し話は変わってくる。設計の前に、フィージビリティのフェースとか、実験のフェーズといったフェーズを設定すればよいからだ。

フェーズを設定して、フェーズ内で段階的詳細化をしていく。モダンプロジェクトマネジメントのオーソドックスな考え方で、イノベーションのプロジェクトマネジメントは実行できる。

ところが、イノベーションの場合、もっとダイナミックな変更をしたいケースがある。たとえば、製品のベースの技術を変更したいといった場合だ。このような場合には、フェーズだけでは十分に対応できないし、アジャイルのイテレーションでもよほどうまくやらないと対応できない。


◆プロジェクトからプログラムへ

そこで考えられるのが、一つのプロジェクトをフェージングするのではなく、フェーズをプロジェクト化し、小さなプロジェクトを複数走らせる「プログラム」の考え方である(※1)

プログラム化することによって、あるチャレンジに失敗すれば、別の方法を取るという進め方が可能になる。アジャイルであれば製品のスペックレベルでは可能であるが、アプローチやコンセプトレベルでは難しいことが、プログラムによって可能になる。

プロジェクトの取り方はいろいろと考えられるが、一つのプロトタイプを作成するというようなサイズでとれば、適切な試行錯誤が可能になる。

次回から、イノベーションにおけるプログラムの具体的な構成方法を考えてみたい。


※1 ここではプログラムマネジメントはポートフォリオによる不確実性のマネジメントも含むようなものを想定している。詳しくは、また連載の中で説明する

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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