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イノベーションには変化の本質を捉え、本質に対して新しい考えを構築していくことが不可欠であり、 イノベーションの源泉は、直観と主観、そして未来の在り方を考えること。コンセプチュアルスキルである。

第71回 コンセプチュアルスキルがイノベーションを起こす(2015.02.04)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆イノベーションとは変化の本質に対する活動

コンセプチュアルスキルへの取り組みを始めて3年くらいになる。

コンセプチュアルスキルへの取り組みをしている理由の半分は、50年前から言われている通り、上級マネジャーの必須のスキルであり、現代的には複雑な仕事をしている業務担当者の人にとっても不可欠なスキルだと思うからだ。

しかし、今、マネジャーや業務担当者に必要なスキルである以上に、イノベーターにとって必要なスキルではないかと感じ始めている。今回はこの話題について議論してみたい。

この議論、どこから入ろうかと若干、迷っているのだが、基本的な前提は

イノベーションには変化の本質を捉え、本質に対して新しい考えを構築していくことが不可欠である。

ということだ。


◆イノベーションが起こしやすい思考

その上で、今回はコンセプチュアルスキルのイメージを掴んでいただくために、思いつくままに、イノベーションを起こしやすい思考を列挙してみたい。

一般にイノベーションを起こしやすいと考えられている思考には

・イノベーションは新しいものの見方と既存の手段の組み合わせで起こることが多い
・イノベーションは異なる分野との組み合わせで起こることが多い
・イノベーションの始まりは直観であることが多い
・イノベーションの結果に対する価値観は主観的なものであることが多い
・イノベーションは未来を想像したときに起こることが多い

といったものがある。このような思考とコンセプチュアルスキルの関係を考えてみる。


◆いろいろな意味で異なるものを組み合せる

まず、新しい課題や問題に対して、既存の手段を組み合せるのは、アナロジーである。

これまで取られてきた手段の抽象度を上げ、新しい問題に対して具体化して適用するというコンセプチュアルスキルが活用されている。あるいは問題自体も抽象化して考え、答えを具体化するという方法を取ることもある。いずれの場合も、抽象/具体というコンセプチュアルスキルが活用されている。

たとえば、丸亀製麺という本場の讃岐うどんを低価格で提供することが売りのうどん屋チェーン店がある。これはうどん店のイノベーションであるが、この実現にはセルフサービス低価格化というドトール珈琲がカフェで考案した手段が取られている。

二番目の異なる分野の組み合せの例としては、スマートフォンが典型的だろう。PCと電話という異なる用途の機能を組み合せることによって、双方の機能が統合された製品を生み出した。スマートフォンは突然登場したものではない。数十年前にアラン・ケイたちが考えたダイナブックというコンセプトがあって、それを具体化したものだ。


◆イノベーションの源泉としての直観と主観、そして未来の在り方

ここではダイナブックというコンセプトを具体化した抽象/具体の思考が行われていると同時に、次世代のコンピュータがダイナブックであるという主観的判断に対して、その機能が現在のユーザのニーズに合っているという客観的な検証が行われている。

そのスマートフォンという概念を確立したiPhoneを考えたスティーブ・ジョブズは、ユーザとしての直観を大切にしたといわれる。そして、その直観をロジックにすることにより、製品の仕様を詰めていき、イノベーティブな製品を生み出さした。これは直観/論理の軸である。

最後の未来を想像するという点においては、目の前の問題に、単なる問題解決ではなく、将来的にどうありたいかを考えることにより、新しい解決の視点が生まれ、イノベーションに結びついていく。これは、長期/短期の行き来をするといういコンセプチュアルスキルである。

コンセプチュアルスキルのイメージはお分かりいただけただろうか?今後も戦略ノートでは継続的にコンセプチュアルスキルとイノベーションの関係について考えてみたい。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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