本文へスキップ

イノベーション実践、コンセプチュアルスキル、プログラムマネジメント、プロジェクトマネジメント、PMOについての最先端の情報、研修、セミナー、コンサルティングをお届けします。

第68回 なぜ、アイデアは実行できないのか(2015.01.14)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆優れたアイデアは実行できない

イノベーションアイデアを評価するのは難しいといわれるが、それ自体はそんなに難しいものではない。新規性と独創性があれば優れたアイデアだと言ってよい。にも関わらず、評価が難しいのは、そのようなアイデアはなかなかイノベーションとして実行できないからだ。

むしろ、新規性の高いアイデアであればあるほど、イノベーションは実行しにくいといっても過言ではない。このため、実行しやすいアイデアがいいアイデアだと評価される風潮すらある。

よいアイデアに基づくイノベーションが難しいのはいくつかの理由がある。


◆新規性の高いアイデアが実行しにくい理由(1)~部門間の調整が必要

一つ目はアイデアを生み出す段階とアイデアを実行する段階では生じる利害関係が異なる。アイデアの生成から評価までは、自分たちの部門内で完結してできることが多い。しかし、実行するとなると自分たちの部門だけでは済まない。

製品イノベーションであれば少なくとも生産部門の力を借りなくてはならない。ビジネスモデルイノベーションであれば、経理や流通などの部門が絡んでくる可能性が高い。

つまり、アイデアの実行は他の部門と利害関係の調整がないと実行できないことが多いし、この調整がそうスムーズにはいかない。


◆新規性の高いアイデアが実行しにく理由(2)~不確実性が高い

二つ目はアイデアが創造的であればあるほど、不確実性が高くなる。そこで上に述べたように他の部門との関係が生じるが、当然、他部門はよほどのメリットがないと不確実性を嫌がる。そして、そのアイデアをつぶしにかかったり、塩漬けにしようという行動に出ることが少なくない。

また、不確実であること自体が、そのアイデアを実行しない理由としてまかり通る組織はいまだに多いし、前回述べたように不確実性がルーチン業務に影響を与えることは嫌われることが多い。


◆新規性の高いアイデアが実行しにく理由(3)~個人の資質の問題

三つめの問題は個人の資質の問題である。イノベーティブな発想をする人は、得てして、実行に興味がないし、実行に興味を持つ人はあまりイノベーティブなことをやりたがらない。もちろん、双方が揃って初めてイノベーターと呼べる人材になるのだが、なかなかそういう人はいない。

つまり、アイデアが実行できない理由の一つには、アイデアを出した人が実行力にかけるというケースが多い。斬新だと思う企画が実現されない原因としてはこの原因は思ったよりはるかに多い。

このようなハードルを乗り越えてアイデアを実行し、イノベーションを起こす方法はあるのだろうか?


◆プログラムによるイノベーションへの取り組みが必要

その一つの方法は、イノベーションアイデアの生成とプロジェクトによるアイデアの実行を併せたプログラムとしてイノベーションを行うことだ。つまり、プログラムという形でルーチンワークとは一線を画し、影響が出ないような仕組みを作り、不確実性に対処していく。

一方で、プログラムに他の組織を巻き込むことより、イノベーションで生まれたアイデアをルーチンワークに展開していくことができる。そしてイノベーションの成果がルーチンワーク化したところで、プログラムは終わる。

イノベーションがうまく行かないときにも、プログラムの範囲内でリセットしてやり直すことができる

アイデアの実行にはこのような考え方が有効である。


◆関連セミナー
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルな組織を創るマネジメント          ◆(7PDU's)
日時・場所:【Zoom】2024年 04月 22日(月)9:30-17:30(9:20入室可)
      【Zoomハーフ】2023年 03月 15日(水)13:00-17:00+3時間
        ※Zoomによるオンライン開催です
        ※ハーフセミナーは、事前学習3時間あります
        ※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
  講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_management.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  【カリキュラム】                     
 1.コンセプチュアルではない組織の問題点
  ・個人レベルの問題点
  ・チームレベルの問題点
  ・組織レベルの問題点
 2.コンセプチュアルなマネジメントのポイント
  2.1 質問型の組織を創る
  2.2 コンセプチュアルな組織活動のプラニング
  2.3 ステークホルダーへのコンセプチュアルな対応
  2.4 コンセプチュアルな人材育成
  2.5 コンセプチュアルな組織文化の構築
 3.コンセプチュアルなマネジメントの目標
 4.コンセプチュアルマネジメントでコンセプチュアルな組織を創る仕組みワークショップ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

メルマガ紹介

本連載は、コンセプチュアル・マネジメント購読にて、最新の記事を読むことができます。

コンサルティングメニュー紹介

PMOコンサルティング、PMOアウトソーシングサービス、人材マネジメントサービスなど、御社に最適のコンサルティングをご提案させていただきます。まずは、お問合せください。

Youtube始めました。チャンネル登録お願いします。PMstylebiz

書籍プレゼントはこちらから

お薦めする書籍

メルマガ購読

ブログ

公開セミナー(カテゴリー別)
日付順  カレンダー

お客様の声(掲載をご許可いただいた受講者の方のアンケート結果)

PMコンピテンシーとは

サイト内検索

Facebook

Facebook

Twitter