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イノベーションの流儀:本質的なニーズに応える、変わらないために変わる、枯れた技術を新たな用途で使う、生活者の小さなニーズに応える、発想を変える、本質を改善する、使い方を変える、発展させる、お金で買えないものを追究する、パーソナライズ

第34回 イノベーションの流儀(2014.04.30)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


facebookのPMstyleページで、今年の3月くらいから、「イノベーションの流儀」というシリーズのミニ記事を書いている。いろいろな開発事例を取り上げ、そこからイノベーションの流儀(方法論)を学ぶという趣旨でやっている。

PMstyle「イノベーションの流儀」

10回を超えたので、一度、まとめて紹介してみる。

【イノベーションの流儀1:本質的なニーズに応える】

「これまでは寒い中、エンジンが暖まるのを待ってもらっていた。しかし除雪機は、エンジン始動後すぐに全開作業をしたいという顧客の要望があった」

――除雪車としての本質的なニーズに応え、環境性能がよく、高齢向けへの商品になっている。この順序は大切なのだろう。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140307/biz14030718470029-n1.htm


【イノベーションの流儀2:変わらないために変わる】

2012年、「カルピス」は発売93年目を迎え、容器を全面刷新した。現在は4層構造のプラスチックを使用した「ピースボトル」と呼ばれる容器を採用している。

――イノベーションとは何かを考える上で、カルピスというのは非常に面白い商品だ。中身はあまり変わっていない。パッケージも変わらない。しかし時代が求める要求にマッチするために、見えないところを大きく革新している。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1703B_X10C14A2000000/?dg=1


【イノベーションの流儀3:枯れた技術を新たな用途で使う】

ナイロンでつくられ、熱で収縮する人工の筋肉が開発された。人間の筋肉の100倍もの重量を持ち上げることができるという。

――イノベーションとは既存の技術の組み合わせであるという名言を地で行くような開発だ。耐久性や人への影響が問題になるロボットにはこういう技術開発がたくさん出てくるだろう。

http://wired.jp/2014/03/10/future-robot-muscle/


【イノベーションの流儀4:生活者の小さなニーズに応える】

自撮り用カメラの上に載せるだけで、スマートフォンが高性能な顕微鏡に早変わり。いつでもどこでも誰でも手軽にミクロの世界を楽しめる「スマホ顕微鏡」が日本で開発された。

――イノベーションのニーズ(シーズ)は生活にあるといわれる。

この製品は生活の中で見たいけど、顕微鏡を買うほどではないというものはたくさんある。スマートフォンに顕微鏡をマウントすることでそんな生活者のニーズにこたえる製品だ。

望遠レンズをマウントすることと、顕微鏡をマウントすることは似ているようでまったく意味合いが全く異なることが興味深い。

http://wired.jp/2014/03/15/smartphone-microscope/


【イノベーションの流儀5:発想を変える】

最近、プレゼン環境に液晶モニタが増えてきてレーザーポインタが使えなくて困ることが多い。モニタにつないだPCでマウスポインタで指示することになるわけだが、この問題に意外なソリューション。

液晶と干渉しない光を作るという発想ではなく、マウスポインターをレーザーポインターで動かそうという商品。僕は結構、ジェスチャー派でマウスポインターだけでプレゼンするのは調子がでない。そんな人のニーズにもこたえている。

Wiiがヒントになっているのだと思うけど、レーザーポインタでコンピューターの中のマウスポインタを操作するというアイデアは斬新。レーザーポインターのメタファを使っているわけだ。

Wiiの開発ではジャイロの性能を5倍くらいに上げたという話を読んだ記憶があるけど、これだとどうなんだろう。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00H8EUUZG/opc-22/ref=nosim


【イノベーションの流儀6:本質を改善する】

グーグルの無人自動車と同じレーザー技術を駆使して家の中をマッピングするロボット掃除機「BotVac」を動画で紹介。

――よく改善とイノベーションは違うといわれるが、本質を改善すればイノベーションになる。

マッピングができて、マップを使えるようになれば、ルンバとは別のコンセプトの製品になる。

http://wired.jp/2014/03/18/neato-robot-vacuums/


【イノベーションの流儀7:使い方を変える】

同じ製品の使い方を変えようとし、そこからイノベーションが生まれたという例は意外と多いのではないかと思う。代表的にはウォークマンンがそうだ。

この記事、餃子という身近な題材で、イノベーションとは何かを考えさせてくれる。中国で餃子といえば水餃子だが、日本では焼餃子。これにはプロセス、部品、そして、食べ方の新規性があるという。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140326/342380/


【イノベーションの流儀8:発展させる】

イノベーションのイメージは一発勝負であるが、実際には第2弾、第3弾でイノベーションのコンセプトが実現されることが多い。

たとえば、iPhoneがそうだ。重要なのは今何ができるかではなく、コンセプトが実現できるシナリオである。

https://mat.lekumo.biz/ppf/2014/03/025-6853.html


【イノベーションの流儀9:お金で買えないものを追究する】

「資本主義的じゃないことを追究することによって、つまり、お金で買えないものを追究することによって、逆にそれが最もお金を生む仕組みになっているということ」(小柳 祐輔)

――イノベーションという視点から企業を見るときに、グーグルという企業は他のIT企業と一線を画しているように見える。なぜだろうなとずっと思っていたが、この記事を読んでそうかと思った。

一般の企業が生み出そうとするイノベーションは資本主義の枠の中で未来に必要になるだだろうものを探す。グーグルは資本主義の枠を超えて考える。この違いは大きい。

http://www.dhbr.net/articles/-/2504?page=2


【イノベーションの流儀10:パーソナライズ】

昨年はボトルに年を入れて、誕生年のコーラを飲もうというキャンペーンをしていたコカ・コーラ。

今年は自分の名前入りのボトルの写真を作ることができるようになっている。もう少しコストをかけると、自分の名前入りのコーラのボトルを買えるようにできるかもしれない。

コカ・コーラのような超・コモディティ商品をパーソナライズしたように見せる工夫は、結構高度なビジネスモデルイノベーションである。

http://www.cocacola.jp/

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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