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第1回 なぜ、影響力なのか?(2008.06.05)

インフルエンス・テクノロジーLLC  高嶋 成豪


 プロジェクトリーダーの方とお話ししていると、みなさんが多くの方と関わりながら仕事をしていることがよく分かります。どんなに小さなプロジェクトでもクライエント、プロジェクトメンバー、上長とは関わります。現実には、クライエントといっても複数の関係者と接触しますし、プロジェクトメンバーの上司、管理部門のマネジャー、組織の経営幹部など、多くの関係者とともにプロジェクトが動いています。さらに、プロジェクトに社外のメンバー、たとえばサプライヤー、協力会社、人材派遣会社に所属するメンバーが欠かせなくなった今日、プロジェクトリーダーの人との関わりは、以前にも増して複雑になってきているようです。そうなると、プロジェクトリーダーにまつわる人と人の問題が、にわかに顕在化してきても不思議ではありません。「メンバーが動かない」「上司の協力が得られない」など"人が動かない"系の話が実に多く聞かれるように思うのですが、みなさんいかがでしょうか?


【メンタルヘルスプロジェクトのリーダーになり、倒れたAさんの場合】

 Aさんは入社7年目の人事部員。これまでに労務、人事企画業務を経験し、現在は教育と採用を担当している。ようやく人事の仕事が見えてきたといえるだろう。大学では経営学部で組織を専攻し、人事の仕事は願ったり叶ったりであった。入社以来人事ひとすじで、組織に影響をおよぼせるこの仕事に誇りを持ってきた。社内の各部門の部門長とも、ある意味で対等に話ができる。とはいえ、これまでは若手人事担当者として上司の手となり足となり無我夢中で働いてきたにすぎない。もっと自分の裁量で仕事できることがあれば、と考えていたところに、今回の「メンタルヘルスプロジェクト」でのリーダーの話が降って湧いたというわけだ。Aさんが断る理由はなかった。

 メンタルヘルスプロジェクトが始まることになった背景には、法規制の強化もさることながら、実際に鬱病や心身症による長期の欠勤など、具体的な問題が発生してきたことにある。社内各部門から集められた5名のプロジェクトメンバーとともに、メンタルヘルスの問題を解決することが、Aさんに課された課題であった。5名のメンバーは、課長経験者も含めて、すべてがAさんよりも年長。営業や顧客サービスのメンバーは、多忙を理由に初回の会議から遅刻してくる始末。冒頭から緊張感を欠いている。

それでも現状の把握、他社の対応方法についての情報収集、産業医との連携など、数少ないメンバーで分担し、取り組み始めた。ところが、プロジェクトが進むにつれて、職場でのパワーハラスメントなど、別の問題も浮き上がってきてしまい、しょせん限られた人数で対応できる話ではなくなってきてしまった。プロジェクトは、連日深夜におよぶ業務に追われることになる。Aさんのみならずメンバーの負荷は課題になってきた。

 部内に欠勤者を多く抱える開発部門所属のメンバーは、最初からプロジェクトに熱心に取り組んでくれていた。しかし、相変わらずメンバーがそろわず、自分の負担が増えてくるにつれ、「リーダーがリーダーシップをとらないからだ。もっと責任感を持って取り組んでほしい。」とリーダーを責めるようになった。各部門長も協力的ではない。「これはうちの部門の問題だ。君たち人事部が出てくる必要はない。」と一蹴されることもあった。上司に相談したものの、君に任せたから君の思い通りにやってくれてよい、というばかり。それでも期限までに新しいメンタルヘルスプログラムを設計し、役員会に提案しなければならない。「なんでみんなもっと積極的に動いてくれないんだ。」納期が近づくにつれAさんの緊張度は高まり、眠れぬ日々が続く。ある日とうとう職場で動けなくなり、メンタルヘルスプロジェクトのリーダーである彼自身が、メンタルヘルスの問題で休職する羽目になったのだ。

 メンバーや他の関係者が動かなければ、多くのプロジェクトは進みません。それにもかかわらず、協力的でないメンバーは以前よりも増えています。彼らの言い分は、しばしば「この時期に、自分のことで精一杯なのに、なぜ私がこんなプロジェクトに参加しなければならないのか。これは私の仕事ではありません!」です。彼らを動かすなど、できるのでしょうか?これが私がうかがう平均的なプロジェクトリーダーの抱える悩みです。

 私たちは、プロジェクトを計画し、いかに計画通りに進めるかに集中してきたといえます。ところが、プロジェクト進行の障害に人がかかわってきている現状を見ると、プロジェクトの成否は、人を動かすことにかかっているといっても過言ではないでしょう。つまり、プロジェクトリーダーにとってはメンバーや関係者に対する影響力が問われるようになってきているのです。次回以降、プロジェクトリーダーに役立つ影響力のヒントを検討しましょう。

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6.まとめ
 ・(演習6)カレンシーを再考する
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著者紹介

高嶋 成豪    インフルエンス・テクノロジーLLC マネージング・パートナー

人材開発/組織開発コンサルタント。インフルエンス・テクノロジーLLC.マネージング・パートナー。ゼネラル・モーターズ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどで人材開発に従事。現在リーダーシップ、コミュニケーション、チームビルディング、キャリア開発のセミナーを実施し、年間約1000名の参加者にプログラムを提供している。ウィルソンラーニング・ワールドワイド社によるリーダーシッププログラム、LFG(Leading for Growth:原著はコーエン&ブラッドフォード両博士の共著“Power Up”)のマスター・トレーナー。2007年『影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル』(原題“Influence without Authority”)を邦訳。コーエン&ブラッドフォード両博士から指導を受け、「影響力の法則」セミナー日本語版を開発。日本で唯一の認定プロバイダー。筑波大大学院教育研究科修了 修士(カウンセリング) 日本心理学会会員 ISPI(the International Society for Performance Improvement)会員 フェリス女学院大学講師

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