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マイクロソフトのPM情報ツール Project を使って、プロジェクトをうまくマネジメントしていく方法を解説し、その解説を通じて、MS Project の利用方法の解説します。第9回は、 3つのリソースの管理方法です

第9回 リソースマネジメント その2(2007.09.21)

アイ・ツー・マネジメント 代表取締役 岡野 智加

前回に引き続き、PMBOK(R)の人的資源マネジメントを中心に、それをMicrosoft Office Project(以下MS Projectと呼ぶ)でどのようにマネジメントするのかについてお話しします。

MS Projectでは、リソースの管理方法は3つあります。

@ プロジェクトファイルを作成する度にリソースの情報を入力し、プロジェクトファイルごとにリソースを管理する。
プロジェクトごとにプロジェクト・メンバーが変わるような場合。

A プロジェクト間で共通したリソースを管理するために、リソースの共有を行う。
共通したリソースを常に使用する場合、同じリソース情報をプロジェクトファイル作成の度に入力するのは非効率的ですし、複数のプロジェクトが同時進行している場合、それらのプロジェクト間での負荷を統合してリソースを管理しなければ、現実的なスケジュールの作成やリソースの調整をすることができません。

B Project ProfessionalとProject Serverを使用して、全てのリソースをデータベースで一元管理する(エンタープライズリソース)。

今回は、上記3つの方法を使用して、MS Projectでリソースを管理する方法についてお話しします。

■プロジェクト・チーム編成

PMBOK(R)では、人的資源マネジメントに、プロジェクト・メンバーを選出してプロジェクト・チームを編成するプロセスがあります。

このプロセスでは、以下のような情報をインプットとします。

 


上記のインプットを元に、以下のようなツールと技法を使用して資源を見積もります。



上記のインプットを元に、上記のようなツールと技法を使用して、以下のような情報をアウトプットします。


MS Projectでプロジェクト・チーム・メンバーを選出する一つの例をあげます。

リソースを前書きの@の方法で管理する場合は、プロジェクト・チーム・メンバーの選出はMS Projectで行うことはできませんが、Aリソースの共有及びBエンタープライズリソースの方法で管理する場合は、部署や全社員のリソースを統合管理することができるので、どのようなスキルを持ったリソースが、いつ、どれくらいの時間空いているのかといった可用性情報が明確になるため、プロジェクト・チーム・メンバーを選出することができます。

■リソースの共有によるリソースの選出方法
まずは、Aリソースの共有の方法でプロジェクト・チーム・メンバーを選出する例をお話しします。
@リソースのスキルの入力
リソースの共有では、部署などのグループのリソース情報のみ入力したファイルを共有元と言い、プロジェクトのスケジュール情報が入力されているファイルを共有先と言います。
リソース共有元にリソース名などの情報に加え、リソースのスキルを入力しておけば、リソースをスキルで検索することができるようになります。
下記の例は、[リソースシート]ビューに[アウトラインコード]フィールドを挿入してスキルを階層構造で入力できるように設定しています。
(例:PM-Aとは、プロジェクトマネジャー経験10年以上)

 

@ [アウトラインコード]の列を挿入します。
A 列名を右クリックして表示されるショートカットメニューから[フィールドのユーザー設定]をクリックします。
B [ユーザー設定フィールド]ダイアログボックスの[フィールド]でアウトラインコードを設定したいフィールドが選択されていることを確認し、[属性]で[参照]ボタンをクリックします。
C [参照テーブルの編集]ダイアログボックスの[コードマスク(オプション)]の[マスクの編集]ボタンをクリックします。
D [コードマスク定義]ダイアログボックスの[シーケンス]、[長さ]、[区切り]を設定します。

   

E [参照テーブル]で[値]にデータを入力し、その説明を[説明]に入力します。
F アウトラインコードのレベルを設定する場合は([レベル上げ]ボタン)、([レベル下げ]ボタン)をクリックします。
G インデント表示するかどうかを[参照テーブルでインデント表示する]チェックボックスで設定します。
H 既定で表示されるデータを設定する場合は、[フィールドの既定のエントリとしてテーブルの値を使う]チェックボックスをオンにし、既定に設定したいデータを[値]から選択し、[既定値に設定]ボタンをクリックします。
I データの表示順序を[参照データの表示順序]で設定します。
J 参照テーブルにないデータを追加入力できるようにするには、[フィールドに追加アイテムを入力できるようにする]チェックボックスをオンにします。追加入力されたデータは自動的に参照テーブルに追加されます。
K 追加入力する際、下位にデータがない場合にのみ追加入力できるようにするには、[下位に値を持たないコードのみを許可する]チェックボックスをオンにします
L [閉じる]ボタンをクリックします。

  

Aリソースをスキルで検索するためのフィルタの作成
@で入力したスキルでリソースを検索できるように、独自のフィルタを作成します。

@ [プロジェクト]メニューの[フィルタ]をポイントし、[その他のフィルタ]をクリックします。
A [その他のフィルタ]ダイアログボックスで、タスク関連ビューで使用するフィルタを作成する場合は[タスク関連]を、リソース関連ビューで使用するフィルタを作成する場合は[リソース関連]を選択します。
B [新規作成]ボタンをクリックします。

    

C [フィルタの定義]ダイアログボックスでフィルタの定義をします。
ユーザーに検索したい文字列を入力させるには、対話型プロンプトを入力します。
ユーザーへの質問をダブルクォーテーション(”)で囲み、クエスチョンマーク(?)を入力します。

  

Bリソースをスキルで検索
Aで作成したフィルタを使用してリソースをスキルで検索します。
下記は、作成したフィルタを選択すると、検索したいスキル名を入力するように指示するダイアログボックスが表示されるので、スキル名を入力、または、ドロップダウンリストから選択します。すると、指定したスキルを持つリソースだけが表示されます。

   

Cアクティビティ資源に対する要求事項と照合し、リソースを選出
Bで検出したリソースが、アクティビティ資源に対する要求事項(そのスキルのリソースは、今回のプロジェクトにおいて、いつからいつまで、どのような負荷で作業する必要かあるのか、詳細は、「リソース・マネジメント その2」参照)と照らし合わせて、その要求事項を満たすことができるのかをチェックします。
[ウィンドウ]メニューの[分割]でウィンドウを分割して表示される下枠に[リソースグラフ]ビューを表示すれば、上枠の[リソースシート]で選択したリソースの使用状況を確認することができます。

     

D選出したリソースが共有先で使用できるようにする
Cで選出したリソースがプロジェクトのスケジュール情報が入力されているリソース共有先で使用できるように、リソースの共有の設定を行います。
共有先で共有元のリソースを使用するためには、[ツール]メニューの[リソースの共有化]をポイントして[リソースの共有]をクリックして表示されるダイアログボックスで[指定のプロジェクトからリソースを共有する]のラジオボタンをクリックして、ドロップダウンリストから共有元のファイルを選択します(共有元を開いて共有先でこの操作を行わなければ、ドロップダウンリストから共有元を選択することはできません)。

         

■エンタープライズリソースの場合のリソースの選出方法
3つ目のリソースの管理方法であるProject ProfessionalとProject Serverを使用した、エンタープライズリソースの場合のリソースの選出方法についてお話しします

エンタープライズリソースの場合は、Project Server管理者が、データベースに全社員のリソース情報(スキル情報も含めて)を入力しているので、クライアントユーザーは、MS Project ProfessionalまたはWebブラウザ(Web Accessが必要)よりProject Serverへアクセスして、リソースの情報を参照します。

リソースを選出するための[チーム作成]ダイアログボックスで、スキルや作業時間でリソースをフィルタリングして選出することができます。

       

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著者紹介

岡野 智加    アイ・ツー・マネジメント 代表取締役

大手ISベンダーなどにてOracleをはじめとするソフト・トレーニングの講師経験を経て、現在、Microsoft Office Projectセミナーに特化した教育事業経営を行っている。
1998年に日本初の、プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKTM(Project Management Body of Knowledge)に準拠したMicrosoft Office Projectセミナープログラムを独自開発。これまでの単なる操作方法を習得するセミナーではなく、プロジェクトマネジメントプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの実践的活用ノウハウが習得できるセミナーを開発。
開発当初からこの今までに無い実践的な内容のセミナーは、当時、プロジェクトマネジメントをいち早く導入しようとしていた日本の最大手企業から高い評価を得る。
マイクロソフト社からも評価され、、2002年には日本初の米国マイクロソフト社公認Microsoft Office Project Official Partnerに認定される。
2002年に出版した書籍は、これまでの単なる操作方法を解説する書籍ではなく、プロジェクトマネジメントのプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの活用方法が解説されているということで、大ベストセラーとなり、売れ続けており、その後の書籍及び日本中のセミナー企業へ多大なる影響を与える等、Microsoft Office Project講師として日本におけるリーディングパーソンである。

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