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第9回 予算作成 (2009.07.31)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆予算作成

前回は、計画はWBSをブレークダウンした最下位の項目の作業についての期間見積もりと作業順序を考慮し、スケジュールを作成するところまで、述べました。

 スケジュール作成
    
今回はもう一つの大きな制約条件である予算についてです。

制約条件とは、プロジェクトを進める上において、超えることができない条件であり、通常は、予算や納期は必ず入ってきます。

前回までのお話でスケジュールが完成したわけですが、それでは、そのスケジュールどおり進めるためには、どれくらい費用がかかるかを算出します。

予算は、人件費、資材費、外注費、予備費の4費目で算出します。
電話代などの通信費やプロジェクトルームなどの賃貸料が管理費として別途、算出する場合もあります。

人件費は、社内人員が1日(1時間)プロジェクト作業に従事するといくらかかるかという資源レートと、何日(何時間)プロジェクト作業に従事したか、の積で求めます。

資源レートというのは、社員が1時間作業をすると、会社はいくら費用を使っているかという金額です。
お給料はもちろん、会社に通うための交通費や会社が借りているビルなどの賃貸料、文具などの消耗品、健康保険料や保養施設などの維持費も含まれますが、算出方法が会社や部門により異なっているのが現状です。

資材費は材料費や部材費などとも呼ばれますが、プロジェクトで使用する機器、部品、設備、ソフトウェアなどの費用です。

外注費は、外注人員の費用や請負費が含まれます。

予備費は、リスク対策費のことですが、詳細はまた別途取り上げます。

予算算出は、WBSの最下位項目であるアクティビティ(もしくはワークパッケージ)単位に、上記の費目ごとに算出し、全アクティビティ’ワークパッケージ)を合計して求めます。

各費目ごとの合計金額が制約条件の一つである予算金額を超えた場合、再度、作業手順の入れ替えや担当者の変更などによるスケジュールの調整や、内外製分析による内製化・外製化の判断などをもう一度考慮し、予算を算出し、予算以内であればOK。という作業を繰り返します。

内外製分析とは、調達するかしないかを決めるために、WBSのワークパッケージ単位に自社内のリソース(人員、技術戦略と保有技術、予算)やリスクとスコープを分析することで内製化・外製化を判断する手法です。
注目すべきことは、最初から調達あり気ではなく、WBSをブレークダウンした後に行うということです。

予算に入らなかった場合や、内外製分析で判断に迷う場合など、プロジェクトの計画を作成するときには、臨機応変に行うというのでは困ります。

プロジェクトには目的があり、その目的を達成するために方針があり、その方針に沿って計画を作成しますので、予算を作成するためには、予算の方針も決めておく必要があります。

では次回は、予算の方針と予備費について、取り上げます。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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