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コンセプチュアルスキルの高い人の行動イメージコンセプチュアルスキルの高い人の行動イメージを解説しています

第17回 コンセプチュアルスキルの高い人/低い人(1)(2020.04.14)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆コンセプチュアルスキルの高さ

コンセプチュアルスキル入門のまとめとして、コンセプチュアルスキルの高い人とはどのような人なのかを例を使って紹介したいと思います。そして、コンセプチュアルスキルの高い人になるにはどうすればよいかを提案したいと思います。

この連載でずっと述べている通り、コンセプチュアルスキルはナレッジワーカーであれば新入社員から必要なスキルですが、やはり、必要なスキルの中での比重が大きくなるのはマネジャーです。そこで、ここではマネジャーを例にとって話を進めて行きたいと思います。

また、この記事を読まれるに当たり、ぜひ、一度、PMstyleのコンセプチュアルスキル診断を実施してみて頂くことをおすすめします。この記事から、自分のコンセプチュアルスキルの高さを見極める一助になると思います。こちらから診断できます。

PMsytleコンセプチュアルスキル診断

内容に入る前に一つ注意してほしいことがあります。それは、コンセプチュアルスキルが高いことは仕事ができることに直結していますが、低いことは仕事ができないということではないことです。例えば、コンセプチュアルスキルは高くないのに、人間力が高くて仕事ができる人もいれば、意思決定が早くて仕事ができている人もいます。

◆コンセプチュアルスキルの高い人の行動イメージ

それでは、まず、コンセプチュアルスキルの高さを表す行動イメージを示したいと思います。枠組みとしては、コンセプチュアル思考の5つの行動特性を使い、それぞれの行動において高い人、低い人のイメージを示します。

加えて、6つ目の行動特性として、イノベーションを入れます。ここで述べるのはマネジャーに限定した特徴ではなく、一般的な特徴です。新入社員でもコンセプチュアルスキルの高い人はこのような行動をすると考えてください。

【構想】
(高い人)状況を大局的に把握し、全体最適な構想をする
(低い人)特定の部分に目が行き、部分最適な構想をする

【計画】
(高い人)成果を明確にし、成果に直結する計画をする
(低い人)成果が曖昧なままで計画をするため、網羅的な計画をする

【問題解決】
(高い人)問題の本質をとらえ、概念レベルで問題解決を行うため、再発しない問題解決ができる
(低い人)目先の問題の解決に終始するので、類似の問題が再発する

【意思決定】
(高い人)決めるべきところを明確にし、迅速な意思決定ができる
(低い人)意思決定の方向性を見いだせず、情報収集に明け暮れ、決定できない

【対人関係】
(高い人)コミュニケーションを構造的に捉え、構造を活用した対人影響を与える
(低い人)人間関係に注意が集中し、結果として相手に影響を与えることができない

【イノベーション】
(高い人)課題の本質を見極め、解決することにより、画期的なソリューションを考案する
(低い人)現場の課題解決に終始し、改善にとどまる

それでは、次に、それぞれの行動におけるコンセプチュアルスキルの高いマネジャーの行動事例を示します。

◆コンセプチュアルスキルの高い人の構想行動の例

まず、構想です。例に取り上げるのは、SI企業のF社の流通部門です。この部門は

「過去2年間、それぞれ5%、8%、10%ずつ、売上が落ちている。提案総額はほとんど変わっておらず、失注が多くなっているためだ。失注原因を分析してみると、金額、見積もり工数、顧客要求とのミスマッチ、品質管理基準などが主だった」

という状況にありました。そこで、A部門長は

(1)売り上げが毎年落ちていることに着目した。さらに原因とされている金額、見積もり、顧客要求とのミスマッチ、品質管理基準を結びつける問題は何かと考え、顧客。価値が提案できていないという問題に行き着いた。
(2)その上で、「顧客価値を大きくする提案」を行うというコンセプトを打ち出し、提案の顧客価値ポイントの仕組みを作り、推進していった。

という行動をとりました。まさに、「状況を大局的に把握し、全体最適な構想をする」という特徴通りです。

もし、コンセプチュアルスキルが低いマネジャーであれば、例えば

コストの10%削減と、提案金額の10%削減を打ち出した。また、営業強化により顧客の調達背景の把握、および、品質管理基準の強化という方針を打ち出す

といった対応を取りがちです。

◆コンセプチュアルスキルの高い人の計画行動の例

次に、計画です。例に挙げるのは、メーカS社の電子書籍部門で、

「本の代わりになる電子書籍端末」をコンセプトに市場シェア10%の獲得を目標にした製品開発を行うことになった。

という状況にありました。ここでA部門長は以下のような行動をとりました。

(1)10%のシェアをとるには何が必要かを端末に限定せずに徹底的に議論し、洗い出した結果、ポイントは端末そのものではなく、コンテンツであることに気がついた。
(2)そこで、競争力のあるコンテンツの提携先を決め、提携先がベストだと考える仕様の端末の開発を計画した。

(1)で成果を明確にし、(2)で成果に直結する計画をするというコンセプチュアルスキルの高い人の特性行動をとっていることが分かります。コンセプチュアルスキルが低い人なら、例えば、

ユーザの本の代わりになる電子端末のポイントをユーザの使い勝手におき、ひたすら、軽く、使いやすい端末の開発を行うことにした。そのため、市販の主だった電子書籍端末を集めて、良い点を分析し、それに勝てる端末の開発を計画する

といった行動をとることがよくあります。

今回はここまでとし、次回は問題解決行動、意思決定行動、対人関係行動、イノベーション行動の4つについて事例を紹介した上で、全体のまとめをしたいと思います。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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