第15回 アナロジーの見つけ方(2020.02.12)
◆類似の構造は抽象度と距離感で表わされる
前回、応用力の基本はアナロジーで、アナロジーには表面的アナロジーと構造的アナロジーの2種類があるという話をしました。今回は、アナロジーについてもう少し、話を掘り下げたいと思います。
類似の構造は、抽象度と距離感で表わすことができます。たとえば、縦軸に抽象度を取り、横軸に距離感を取りますと、表面的アナロジーとは抽象度も距離感も低い領域の類似です。これに対して、構造的アナロジーは抽象度も距離感も高い領域の類似になります。ここで注意しなくてはならないのは、
抽象度が上がると距離感が遠くなる
ということです。
◆抽象度のレベリングは応用元の本質に注目して行う
このような構造の中で、抽象度のレベル感を考える際には、応用元の本質に注目します。そして、本質に対する抽象度をレベリングします。
例えば、応用元としてメガネを取ってみましょう。そして、メガネの本質的な機能を「見る」ことにあると考えます。
これに対して見るを抽象化して抽象度(類似)のレベルを設定します。レベルは何段階にしてもいいのですが、ここでは
(1)似ている
(2)いろいろな角度から見る
(3)見えないものを見る
(4)特性を見る
という4つのレベル設定をしたとします。すると、以下のようなアナロジーを考えることができます。
(1)似ている
ルーペ/望遠鏡/・・・
(2)いろいろな角度から見る
監視カメラ/グーグルアース/・・・
(3)見えないものを見る
レントゲン撮影/魚影ソナー/・・・
(4)特性を見る
EVM/行動観察/360度評価/・・・
といったアナロジーを考えることができます。このとき、(1)、(2)は表面的アナロジー、(3)、(4)は構造的アナロジーだと考えられます。
◆適切なアナロジーを見つける視点
このようにアナロジーを考え、応用力を発揮することができるわけですが、適切にアナロジーを見つけるにはどうすればよいのでしょうか?以下の5つの視点から考えてみます。
経験/知識/成熟/考え方/価値観
まず、経験の視点からですが、応用元は経験のある世界ということになりますが、これを経験のない世界に飛ばして考えてみます。
次に、知識の視点からですが、応用元はよく知っている世界にあることが多いですが、これをよく知らない世界に飛ばしてみます。
さらに、成熟の視点からは、応用元が進化している世界にあれば、遅れている世界に飛ばしてみるといいでしょう。逆に遅れている世界の応用元であれば、進化している世界に飛ばしてみます。
4番目は考え方の視点からで、応用元が革新的な世界にあれば、保守的な世界で考えてみます。逆に保守的な世界にあれば革新的な世界で考えてみます。
最後に価値観の視点ですが、応用元が多様な世界にあれば、一様な世界で考えてみます。逆もしかりです。
以上のような方法で、アナロジーを考えてみるとよいでしょう。
次回は、VUCA時代に非常に重要な応用力で、専門分野の知識を如何に別の分野に応用していくかについて解説します。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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