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第7回 だれが戦略サイクルを回すのか(2010.06.07)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆誰が戦略サイクルを回すのか

前回まで戦略サイクルの議論をしてきた。実践するのは難しいが、概念的にはそんなに複雑な話ではないことがおわかり頂けたと思う。マネジメントにおける戦略実行、あるいは、戦略的プロジェクトマネジメントでは必ず出てくる「シンプル」な議論である。

ところが、これをインプリメントしようとすると、複雑なものになることが多い。理由は、「組織の中で誰がやるのか」というところで、組織の現実に突き当たるからだ。


◆機能別組織と事業別組織

意外と理解できていない人が多いので、少し、基本的な話からする。よく知っている人は読み飛ばしてもらって差し支えない。組織の代表的な形態には、機能別組織と、事業別組織がある。機能別組織は

・技術・設計
・製造
・マーケティング
・研究開発
・人事・人材
・財務
・IT

というように、企業(経営組織)の持つべき機能をグループ化して組織とするものである。専門性、効率の追求に適しており、キャッチアップのときには非常に有効な組織の形態である。古くから機能別組織の形態をとっているのは代表的なのは自動車メーカの組織である。

機能別組織では、採算責任はエグゼクティブが持つ。組織はパフォーマンスは要求されるが、採算を求められることはない。自動車でいえば、エンジンをやっている部門は、コスト低減は要求されるが、そこで利益を出すことは求められることはない。利益はあくまでも製品として統合されたあとの話になる。

これに対して、日本の多くの企業はもともと、事業部制、つまり、事業別組織の形態をとってきた。事業別組織は、本来、収益の明確化、柔軟性、スピードの追求などに向いている。一方で事業部で閉鎖的になり、アカウンタビリティの面で問題が生じることが多い。日本の多くの企業は、バブル後にアカウンタビリティの問題を起こし、粉飾などで一番のメリットである収益のマネジメントができなくなった。そして、業界によって異なるが、2000年前後に、戦略マネジメントに移行するために、機能別組織というか、マトリクス組織への転換を表明した企業が多い。


◆ミドルマネジャーか、スペシャリストか

事業別組織と機能別組織の大きな違いは、ミドルマネジャーの役割である。機能別組織ではミドルマネジャーの役割は小さい。しかし、事業別組織ではミドルマネジャーが非常に大きな役割を担っている。それが、日本の企業の強みだとも言われてきた。古くから機能別組織を基本にしてきた欧米企業にはミドルマネジャーに相当する人は少ない。代わっているのが、機能を構成するスペシャリストである。ついでに行っておくと、スペシャリストという概念はミドルクラス以上のエンジニアやマーケッター、会計マンなどに対する名称である。

さて、事業別組織は、売上げを作るのはよいが、変革しにくいという欠点がある。技術にしろ、マーケティングにしろ、自己完結しているため、戦略的といえるような思い切った活動はできない。市場が成長しているときはいいのだが、市場の成長が止まると、じり貧になる。日本企業が戦略マネジメント、機能別組織に舵をきったのも、バブル崩壊ののちにじり貧になってきたためである。

興味深いのは、欧米企業は、機能別組織にプロジェクト制を入れることによって、事業別組織と機能別組織のマトリクス型組織に向かっているのに対して、日本の企業は事業別組織を一旦、解体して、機能別組織にし、そこから、プロジェクト制度をマトリクス型組織を目指していることである。しかし実際にはドラスティックな変化はみられず、マーケティングや研究開発などの機能を本社機能として機能別組織化し、一方で事業別組織も残しているケースが多い。

一方で、日本では、事業別組織についても、内発的な学習をするといった見方も出てきている。


◆プロジェクトマネジメントは機能別組織を前提にしている

ここで注意しておいてほしいのは、PMBOK(R)ガイドを見れば分かるように、プロジェクトは機能別組織を前提にして考えられている。機能別組織とプロジェクト組織のブレンドでいろいろなパターンが想定されている。

実は、これが日本企業でプロジェクトマネジメントがうまく行かない理由でもある。つまり、多くの日本企業では、プロジェクトにすべき業務は事業部門が行っている。その典型がIT業界である。にも関わらず、機能別組織を前提にしたプロジェクトマネジメントを行っている。通常のマトリクス型の組織でもガバナンスの混乱が生じるのに、そこにもう一つ、事業組織という枠をおき、マトリクスではなく、キューブのような構造になっているのだ。マトリクス型ではなく、ハイブリッド型といった方がよいかもしれない。

機能別組織であれば、戦略サイクルを司るのは、経営層であり、PMOはその実務のマネジメントを担当するというある意味でシンプルな構造になっている。従って、PMOにはチーフオフィサーを設置する。いわゆる、CPO(Chief Project Officer)と呼ばれるロールである。つまり、CPOのレベルで、CEO, CFO, CIOなどのビジネスオフィサーと連携をしている。従って、ビジネスの方向性とプロジェクトマネジメントの方向性は、収益以外の面でも合っている。しかし、事業部が残っていると、そんなに話は簡単ではない。

そこで、本当にPMOはいるのか、品質管理部隊とどう違うのかという議論になるわけだ。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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