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第11回 VUCA時代のプロジェクトマネジメントの手法(2)〜OODAプロジェクトマネジメント(2020.04.10)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆OODAという意思決定のプロセス
前回は、前々回までに示したVUCA時代におけるプロジェクトマネジメントの要件を満たす手法として、アジャイルプロジェクトマネジメントを取り上げ、概要を説明するとともに、どのように要件を満たしているかを説明しました。今回はもう一つの例としてOODAプロジェクトマネジメントについて如何に要件を実現しているかを中心に見ていきたいと思います。
OODAもだんだん知られるようになってきましたが、初めて聞いたという人も少なくないでしょうから、まず、OODAについて簡単に説明しておきます。

OODAは

Observe(観察)→Orient(方向づけ)→Decide(決定)→Act(行動)

の4ステップからなる意思決定の思考法です。OODAはこの4ステップの頭文字をとったものです。


◆OODAの概要
この思考法は、米国空軍パイロットのジョン・ボイドが提唱したもので、従来の消耗戦ではなく、機動戦を想定しています。つまり、消耗戦は計画中心ですが、機動戦では臨機応変が求められ、それを実現するサイクルになっています。

まず最初にOODAの4つのステップについて説明します。OODAの4ステップは以下のようなものになります。

・観察(Observe):よく相手を観察し、どこに重心や致命的脆弱性があるか見抜く
・方向づけ(Orient):過去の経験や知識を総動員して、何をすべきか状況判断をする
・決定(Decide):決定する
・行動(Act):行動する

この中で、OODAの特徴である観察と方向付けのステップについて少し説明しておきます。


◆OODAにおける観察の進め方
観察の進め方を図1に示します。観察はよく相手を観察し、重心や脆弱性を見抜くことですが、そのために、展開状況の観察、外部情報の獲得、環境との相互作用の3つの観察を行います。

OODAループ

展開状況の観察では、

・プロジェクトはどのような状況にあるのか
・組織内で、今、どのような状況にあるのか

を観察します。また、外部情報の獲得では、

・ステークホルダーがどういう状況か
・他の組織との関係はどうなっているのか
・競合はどうか

を観察します。最後の環境との相互作用の観察では、

・ビジネス的な状況はどうなっているのか
・社会的位置づけはどうか

を観察します。


◆OODAの方向付けの進め方
次に方向付けは図2のようなものです。

方向づけ

方向付けを決定する要素は

・文化的伝統
 どのような組織文化を持っているか、どのような風土か
・従来の経験
 これまでのしてきた経験から考えるとどのような方向付けが望ましいか
・世襲資産
 これまでに得られている資産から考えられる方向性は(知識)
・新しい情報
 観察(Observation)で新規に得た情報から考えられる方向性は
・分析・統合
 データの分析結果はどうか

の5つです。これらの要素を考えて、方向付けをしていきます。


◆PDCAとの比較
もう少し、OODAの特徴をはっきり掴むため、計画中心のサイクルの代表であるPDCAサイクルと比較してみます。

まず、成功のポイントです。PDCAでは、計画の精度と管理の適切さが成功のポイントと考えらえていますが、OODAは人間中心であり、如何にサイクルを早く回せるかがポイントになります。

また、PDCAは自分(たち)の都合が中心になるサイクルです。変化の少ない世界では自分たちを中心にすることが効率的ですし有効ですが、変化の激しい世界では自分たちの考えている通りに進んでいくとは限りません。このため、自分たちの都合で決めたことはその通りに実行できないこともあります。このような世界では相手を中心にものごとを決めていくことが必要ですが、OODAはまさにそういう考え方になっているわけです。

さらに、組織的にみれば、PDCAはあくまでもトップダウンですが、OODAは現場中心だといえます。


◆OODAを活用したプロジェクトマネジメント
このようなOODAサイクルをプロジェクトマネジメントの中に取り入れて、より適切なプロジェクトの進行をしていくことになります。例えば、前回説明しましたアジャイルプロジェクトマネジメントの中に取り入れるのであれば、思索フェーズにおけるイテレーションをOODAで行うことが考えられます。

例えば、図3のように、機能リストや機能カードを使って成果物の機能構成(FBS)を決め、そして、
イテレーションのOODA
・プロジェクト規模を見極める
・チームのベロシティ(生産性)を見積もる
・期日を仮決めする
・タスクを実行する
・実行結果を評価する

というイテレーションサイクルをOODAで構成していくことが考えられます。

◆OODAプロジェクトマネジメントの要件の実現度
OODAを活用してアジャイルプロジェクトマネジメントを実践するときに、VUCA時代のプロジェクトマネジメントの3要件

(1)未来に起こることが予測できるという考えを捨てる
(2)共有化された意識と権限委譲による実行をする
(3)組織的なパーパス適応能力を高める

が如何に実現されるかを見ていきましょう。

まず、(1)ですが、これはOODAという意思決定の仕組み時代が未来のことは予測できないと考え、観察と方向付けをしていく。そして、それをイテレーションによりくり返しながら進めていくという方法になっています。その意味で(1)はクリアできています。

次に(2)ですが、これもOODAという意思決定の仕組みとしてPDCAのような計画を用いたトップダウンで行うものではなく、現場に意思決定を任せることによって臨機応変にやっていく方法になっています。

ただ、難しいのはトップと現場の意識の共有です。OODAではここに暗黙のガイダンスという考え方を入れています。つまり、OODAではこの暗黙のガイダンスを通じて、組織的な仕組みではなく、人から人へ意識が伝搬され、組織全体で意識が共有されることを狙っています。

このように考えると、(2)は実現しているといえます。

そして、(3)のパーパス適応能力を高めることですが、暗黙のガイダンスは組織やプロジェクトの目的やパーパスを設定することになります。これにより、暗黙のガイダンスにより意識を共有することによって組織がパーパスを意識し、また、暗黙のガイダンスによる統制で組織のパーパス適応能力は向上していくと考えることができます。

上に述べたように、OODAがもっとも相性がよいのはアジャイルプロジェクトマネジメントだと思われますが、基本的にはどのようなプロジェクトマネジメント手法の意思決定サイクルに活用しても、VUCA時代のプロジェクトマネジメントの要件を満たす手法になると考えられます。

ということで、前回のアジャイルプロジェクトマネジメント、そして今回のOODAプロジェクトマネジメントと2つの例を取り上げて、VUCA時代のプロジェクトマネジメントの具体的手法のイメージを描いてみました。興味があれば、ぜひ、アジャイルやOODAの勉強をしてみてください。


◆おわりに
前回も書きましたが、アジャイルプロジェクトマネジメントはPDCAベースのマネジメントの方に引っ張られ、思ったような効果が出ていないケースが多くあります。PDCAのマネジメントではなく、コンセプチュアルマネジメントとして捉えることによって、本来のパワーを発揮できるようになると考えられます。ぜひ、挑戦してみてください。

次回からは、本連載の最後のまとめも兼ねて、振返りの話に進んでいきます。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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