お正月にテレビを見ていたら、相模湾で取れるおいしい魚10種類を釣るという企画のバラエティ番組をやっていました。10種類を外さずに釣り上げることができたら賞金が出るという企画です。
この企画で行われていることを、プロジェクト的に解釈すると、たとえば次のようになります。まず、ミッション、戦略として
ミッション:視聴率を上げる
戦略:出演者と視聴者が楽しさを共感することによって、チャネルを固定させる
があります。これに対して、プロジェクトのデザインとして、
プロジェクトの目的:釣りの楽しさを視聴者と共感する
というプロジェクトにすることを決定します。そして、この目的に対して、具体的な目標として
目標:予め決めた10種類の「おいしい」魚だけを釣り上げ、味わう
を設定します。
では、できるだけ早く目的を達成するにはどうすればよいでしょうか?目標を早く達成することです。
狙った魚がいるところを中心にして釣り糸を垂らすことにします。そのために、釣り新聞などで情報を収集し、情報に基づいて「カワハギ」はここで釣れるだろうという予測をするわけです。もちろん、「正しい」という保証はありませんので、「仮説」です。結果として狙っていた別の魚が釣れるかもしれませんし、外道(狙い以外の魚)の連続になるかもしれません。
もし、外道のどんどん釣れたらどうしますか?釣り糸を垂らす場所を変えなくてはなりません。仮説の修正をするわけです。目的を早く達成するポイントは、仮説の立て方と修正タイミングにあります。
これを繰り返しながら、10種類をつり上げていきます。
さて、この辺からは番組を離れて考えてみます。番組の企画では、終わるまでやるようですが、あなたは、明日は会社なので、今日中に終わらなければならないとすればどうしますか?
ここでプロジェクトマネジメントが出てきます。船を一隻出すための費用と、一隻に乗り込む釣り人の数と期待できる釣果、釣り場所の移動時間など考えながら、1日で終わるような計画を作ります。そして、釣果を見ながら、船の数や釣り人の数を変えていきます。
それでも10種類釣るのは厳しくなってきました。どうしますか?
そうです。プロジェクトの目的に戻ります。プロジェクトの目的である「釣りの楽しさを視聴者と共感するです」。現状を踏まえて、目的を達成するにはどうすればよいかを考えてみましょう。そこで、ルール(制約条件)を変えることを考えてみます。
10種類釣ることを必須としないで、二隻でている船の間で、競うというのはどうでしょう?視聴者はどちらかの船に肩入れすることによって共感し、楽しんでくれるかもしれませんね。
ここで、奇妙なことに気づきませんか?そうです。そもそも、目標である「目標:予め決めた10種類の「おいしい」魚だけを釣り上げ、味わう」が達成できれば、どのくらい目的が達成できるのかということです。
これで100%とは考えられません。もっとよい方法(目標)があるかもしれません。たとえば、二隻にして競い合えば、おいしい魚を釣って食べるという楽しみの共感、うまく釣る競争への共感で、共感が二倍になるかもしれません。つまり、よりプロジェクトの目的達成に近づくわけです。
もちろん、船が二隻になるとコストは増えてしまいますが、競争によってみんなが気合いを入れて釣ってくるので、釣り人の数を減らし、コストも抑えることができるかもしれません。パフォーマンス改善です。
プロジェクトマネジメントというと、通常は後半の部分だけを言いますが、実は、プロジェクトをマネジメントしていくには、前半こそが大切なことが分かります。プロジェクトがきちんとデザインされていないと、全体が徒労に終わってしまします。
「戦略的プロジェクトマネジメント」は、後半だけではなく、前半もきちんとマネジメントしようというご提案です。そのためには、3つのポイントがあります。
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6.トラブルの本質を見極め、対応する
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好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。