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プロジェクトリカバリーにおけるリカバリープランは、プロジェクト作業計画書、プロジェクトリスク計画書、更新されたプロジェクト品質計画書、更新されたコミュニケーション計画書"

第13回 プロジェクト運営技術支援〜プロジェクトリカバリー(7)(2005.04.05)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆いよいよ、リカバリー作業へ


さて、リカバリーチームの編成も終わり、いよいよ、リカバリー作業に入る。

リカバリー作業の最初は計画作成である。ここからは、必ずしもPMOが主体的な役割を果たしているとは限らない。リカバリーチームができたら、当然、そちらが主体になるが、PMOもリカバリーの進行を支援する、あるいはレビューする必要があるので、流れを押さえておく必要がある。


◆リカバリープラン


リカバリープランは特別なものではない。プロジェクト計画の変更に対するプランであり、最終的には更新されたプロジェクト計画書として策定されるものである。ここで重要なことは、リカバリープランで必ず押さえておくポイントを明確に持っていることである。リカバリープランには必ず

 ・変更されたプロジェクト作業計画書
 ・更新されたプロジェクトリスク計画書
 ・更新されたプロジェクト品質計画書
 ・更新されたコミュニケーション(マネジメント)計画書

が含まれていなくてはならない。そしてこれは、もともとのプロジェクト計画書に統合され、新しいプロジェクト計画書として運用されていく。


◆プロジェクト作業計画の変更


リカバリープランとしてプロジェクト計画を変更するに当たっては、必ず、以下のポイントを押さえておく必要がある。

(1)WBSの変更
 ・問題箇所を修正するタスクの挿入
 ・プロジェクトリカバリーパッケージにあるソリューションの適用
 ・新しいプロジェクト定義に含まれるスコープと目標に合わせた修正

(2)コストの変更
 ・見積もりツールや見積もり技法を用いて、より正確なコスト見積もりを行う

(3)スケジュール
 ・より正確な時間見積もりツールや技法の適用により、再見積もりを行う

(4)リソース
 ・より有効な要員配置ツールや技法を用いて、プロジェクトリソース要求を再見積もりする


◆リスクマネジメント計画の変更のポイント


まず、最初のポイントは、新旧を一体化することである。もともとのリスクアセスメントとリスク対応計画と、新しいプロジェクト作業計画に対する新しいリスクマネジメント計画をあわせ、ひとつのリスクマネジメント計画にしていく。

次に、リスクマネジメントの取組みについて明記する。ここでは、すべてのプロジェクトチームメンバーのリスクマネジメントへの取組みや、プロジェクトリカバリーチームに配置されたマネージャーや技術リーダーの取組みについて明確にする必要がある。

三番目はレビュー、報告の方法を明確にすることである。リカバリープロセスの中では、当然だが、プロジェクトリスクレビューの頻度を増やすことが必要になるし、また、それまでどのような方法でリスクトラッキングをしていたとしても、リカバリー期間中は、プロジェクトリカバリーマネージャーへの直接的な報告をする必要がある。


◆プロジェクト品質計画の変更のポイント


まずは、問題点を統合する必要がある。つまり、プロジェクトリカバリーデシジョンパッケージの指摘事項を、品質の是正の中に統合していく必要がある。

その上で、品質管理を強化する。このためには、成果物の改善のためのアクティビティにより強化された品質管理を行う必要が生じる。

最後に、レビューや承認の方法を明確にする必要がある。このためには、

 ・母体組織のマネージャーの品質のテクニカルレビューの機会を特定する
 ・必要に応じて、承認をする

といったことを考える必要がある。


◆コミュニケーション計画の変更のポイント


コミュニケーション計画の変更に当たっては、まず、何よりも考えるべきことは、コラボレーションの強化である。具体的には、プロジェクトメンバーの間の各ロール間のコラボレーションを強化することはもちろんであるが、母体組織のマネージャーや顧客、ベンダーといったステークホルダとのコラボレーションの強化も重要である。次に、リカバリープロジェクトからの新規参入者を明確にしたコミュニケーション計画に変更する必要がある。プロジェクトリカバリーは新規参入者がしばしば占領軍的なイメージになるが、これは間違いである。このような認識によってリカバリーがうまくいかないケースは多い。新規参入者にも明確なロールと責任がある。このアウトラインをはっきりさせた上で、コミュニケーションが図れるような工夫をする必要がある。

最後にコスト、スケジュール、リソースなどについて、コミュニケーショントリガ(閾値)を明確にしなくてはならない。これは、問題として報告すべき閾値である。当然、それまでの状況よりは閾値は下がる。ここをしっかりと認識する必要がある。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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