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第37回 プロジェクトマネジャーを育てる(5)〜プロジェクトマネジメントにおけるメンタリングの位置づけ(2007.06.04)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆メンタリングの位置づけを明確にする

前回はメンタリングの議論をする準備として、メンタリングの一般的な説明をした。今回から、メンタリングの議論そのものに入る。

まず、プロジェクトマネジメントやプロジェクトマネジメント支援の中で、メンタリングがどのように位置づけられるかというところから整理していきたい。弊社ではPMOコンサルティングのためにプロジェクトマネジメントオフィスの機能を

 ・プロジェクトマネジメント実行マネジメント
 ・プロジェクトマネジメント基盤マネジメント
 ・リソースインテグレーション
 ・プロジェクトマネジメントの技術支援
 ・ビジネスアライメント

の5つに分けた体系を作っている。

メンタリングはこの中で、4番目のプロジェクトマネジメントの技術支援の1項目として定義している。ちなみに、人材育成に関しては、リソースインテグレーションの中に、キャリア形成やトレーニングという支援項目を入れている。この体系を作るときに、メンタリングの位置づけはずいぶん悩んでいる。当初は、リソースインテグレーション(第1版のPMO体系図の中では、リソースマネジメントと呼んでいた)に入れていたが、現在(第2版)ではプロジェクトマネジメント技術支援に入れている。


◆メンタリングの2つの役割

プロジェクトマネジャーのメンタリングを導入していく際に、どのように位置づけは結構難しい。大きな意味で、人材育成であることは間違いない。しかし、そのプロジェクト限りの話しとしては、

 ・人材育成を第一義とする
 ・プロジェクトマネジメントの技術支援を第一義とする

によってメンタリングの性格が結構変わってくるのだ。人材育成を一義とするのであれば、キャリア的機能の中では、育成・コーチングやチャレンジの機能を中心にすることになるだろう。しかし、プロジェクトマネジメントの技術支援を第一義とするのであれば、調整と保護がもっとも重要になってくる。また、コーチングの方法も気づきを中心にやるとしても、やはり、指導的な役割が強くなる。


◆どちらがよいか?

プロジェクトマネジャーのメンタリングとしてどちらがよいかは組織の状況であったり、プロジェクトマネジメントの状況であったりするので一概にはいえない。

例えば、プロジェクトマネジャーの絶対数が不足している企業であればどうしてもベテランのプロジェクトマネジャーからのアドバイスをメンタリングで行い、若葉マークのプロマネを動かしていくしかないだろう。プロジェクトにバラエティがあれば、プロジェクトの割り振りでプロジェクトマネジャーを育てることができる。つまり、最初は易しいプロジェクトを任せて、徐々に難しいプロジェクトを任せるといったことが可能になる。このような中でメンタリングを導入するのであれば、はやり、できるだけプロジェクトマネジャー(メンティ)に経験をさせることが可能だし、そうすべきだろう。

また、この位置づけによってメンターに求めるスキルも変わってくる。人材育成の場合には一定のプロジェクトマネジメントスキルがあるという前提ではあるが、プロジェクトマネジメントスキルよりはメンタリングスキルを重視すべきだろう。しかし、プロジェクトマネジメント支援の場合には、なによりも、プロジェクトマネジメントスキルが重要である。

さらにいえば、誰がメンターになればよいかというのも変わってくると思われる。これについては次回。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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