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第21回 プロジェクトスポンサーの活動:目的の設定(2009.06.30)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


これまで、組織的プロジェクトマネジメントにおける組織の役割を述べてきたが、この辺で、プロジェクトスポンサーの活動として整理しておきたい。

◆目的は「実現」する

まずは、目的の話。

第8回のエンパワーメントにおける目的と目標の合意の議論の中で、目的と目標は違うことを述べた。一般用語の中では、目的と目標は混同して使われることが多いが、プロジェクトマネジメントやチームマネジメントの中ではきちんと使い分ける必要がある。

まず、クイズ。目標は「達成」するものである。では、目的はどういうものか?

「実現」するが答えだ。

目的 実現する
目標 達成する

プロジェクトの目的とはプロジェクトを行うことによって実現したいものである。そして、目標はその目的を実現できたといえるためには、クリアしておかなくてはならないことである。


◆目的とはいえない例

目的は一般的にはプロジェクト憲章に書くが、

A社向けの顧客管理システムの開発する

とか

顧客満足をえる

のような目的の設定をよく見かける。残念ながら、これは目的とはいえない。


◆目的であるための条件

プロジェクトの目的といえるには3つの条件がある。一つ目は会社(戦略)にとっての意義が明確であることだ。二つ目は、プロジェクトマネジャー自身やメンバーにとっての意味づけができることだ。そして、三つ目が、顧客やあるいは、顧客の顧客など、つまり、社会にとっての意義が明確であることだ。

第8回に書いたように、一つのプロジェクトに対して、上位組織は上位組織の目的があり、顧客には顧客の目的がある。これはそのとおりなのだが、プロジェクトを中心に据えてみた場合には、目的はこれらのすべての要素を含んでいなければならない。


◆目的はプロジェクトステークホルダ全体で共有されなくてはならない

なぜか?プロジェクトがスムーズに進んでいき、プロジェクトの関係者すべての期待に応えるためには、目的が「共有」されているからだ。

たとえば、組織の事業的意図をろくに理解しようとせずに、「現場」としては、「新しい技術の習得」を「目的」として行っているプロジェクトがある。これでは、誰も共感しないし、目的を共有することはできない。

目的が共有できないと、協力は得られない。目的が共有できていないのに、顧客の対応が悪いだの、社内の協力体制がないなどと嘆いても無駄だ。当たり前である。


◆目的はスポンサーにしか作れない

だから、「プロジェクトマネジャーよ、よい目的を作りなさい」と言いたい分けではない。プロジェクトの目的は上位組織から与えられるものである。つまり、このような目的を与えるのはプロジェクトスポンサーの役割なのだ。

目的の設定は「構想」と呼ばれる仕事である。いうまでもなく、プロジェクトのもっとも創造的な部分であり、その任をとるのがプロジェクトスポンサーの最重要な役割である。

というよりも、現実問題として、そのような性格の目的を設定できるのはプロジェクトスポンサーだけではないだろうか。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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