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組織がプロジェクトマネジメントを成熟させていくに当たって、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)はどのような役割を果たせばよいかを考えてみる。PMOのタイプは大きく分けると3つあり、それぞれ枠割が異なる。

第1回 プロジェクトマネジメント成熟への方程式(2009.01.27)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆プロジェクトマネジメント成熟への方程式

プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)設立ブームも一段落して、いよいよ、PMOが当たり前の時代になってきた。同時に、PMOの存在意義が問われるようになってきている。

一方で、多くの組織においてプロジェクトマネジメントの導入は一段落し、今後、プロジェクトマネジメントによって、どのようなメリットを得るかを真剣に考える時期にさしかかっている。

この2つの問題を同時に解決するキーワードは「プロジェクトマネジメントの成熟」である。そこで、この連載では、組織がプロジェクトマネジメントを成熟させていくに当たって、PMOはどのような役割を果たせばよいかを考えてみたい。

第1回はPMOが解かなくてはならない方程式を定義してみる。

◆方程式1

プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)のタイプは大きく分けると3つある。

一つ目は企業のプロジェクトマネジメント戦略を背景に、その戦略実現を目的としたサービスを全社に提供することをミッションとするPMOである。このPMOの主な役割は、プロジェクトマネジメントの手法を導入する、ツールを導入する、標準化を行う、ポートフォリオを導入する、といったもので、コーポレイトPMO(CPMO)、エンタープライズPMO(EPMO)などと呼ばれる。

二つ目は組織内の特定の機能を果たすPMOだ。最もよく見かけるのはリソースインテグレーション機能を果たすPMOであるが、このほかにも品質マネジメントや、調達マネジメントなどの機能を果たすことも多い。このタイプのPMOは機能型PMOと呼ばれることがある。

プロジェクトマネジメントを成熟させるためには、どのようなタイプのPMOがどのような機能を果たせばよいのだろうか?


◆方程式2

このようなタイプのPMOの機能はさまざまだ。

もっとも多いのは、事業部やリージョンなどの特定の組織において、CPMOの戦略実行の際に、戦術を担当する組織として作るケースである。このようなPMOは、CPMOの戦略の自部門での展開のプラニング、標準やツールのカスタマイズなどを行うことが多い。また、部門でのベストプラクティスを作って展開しているケースも多く見かける。いわゆるPMOという場合にはこのタイプのPMOを指すことが多い。

もっと現場に密接したPMOとしては、手法や標準、あるいはツールを使ったプロジェクトマネジメントのオペレーションの支援をするPMOがある。支援の仕方も、コンサルティングの形もあれば、計画やプロジェクトのレビューといった形で行うこともある。また、プロジェクトマネジメントの監査を行い、標準どおりにプロジェクトマネジメントが行われていることを確認するような役割を果たすケースもある。このようなPMOはプロジェクトサポートオフィス(PSO)と呼ばれる。

さらにもっと現場密接型としては、プロジェクトに参加してプロジェクトマネジメントの一部を担当するようなPMOもある。プロジェクトオフィスという言い方をするPMOはこのタイプだ。このタイプのPMOの場合、計画書の作成などのドキュメントワーク、コミュニケーションマネジメントなどを担当するケースが多い。

三番目のタイプは、顧客など、外部組織のコントロールやコミュニケーションの推進を促進するPMOである。例えば、SI企業などが、同じ顧客と複数のプロジェクトを実施していく場合に、テンポラリーな組織としてプロジェクトマネジメントオフィスを設置するのはこのタイプのPMOは多い。このタイプは外部PMOと呼ばれる。

一口にPMOといっても上のような種類があることを考えると、プロジェクトマネジメントを成熟するためには、PMOをどのように実現すればよいのだろうか?


◆方程式3

プロジェクトマネジメントの成熟の問題はいったんおいて、PMOの活動は組織にどのようなメリットをもたらすのだろうか?

まず、現場については

・プロジェクト計画の高品質化
・リソース確保の迅速化
・経験を踏まえた問題解決(トラブル対応)
・コミュニケーションの活性化
・リスクの早期発見

などのメリットがある。

さらに、経営レベルで共通的に見られるメリットには以下のようなものがある。

・プロジェクトマネジメントオペレーションの標準化
・企業として全体最適を実現できる意思決定
・リソースの有効活用
・品質の保証されたプロジェクト情報への早いアクセス
・エグゼクティブ(マネジメント)サポートの軽減
・現実的な業務プライオリティの運用
・リーダー人材、および、将来的な経営人材の育成

さて、これらのメリットをプロジェクトマネジメントの成熟にどのように結びつけていけるのだろうか?

これがプロジェクトマネジメントの成熟のために解かなくてはならない方程式である。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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