第15話 ステージゲート法(2013.04.12)
◆ステージゲート法
欧米の多くの企業がイノベーションの管理に採用しているのが、ステージゲートである。日本でもステージゲートを採用する企業が増えてきた。
ステージゲートという言葉は一般的な用語であるが、ステージゲートといえばロバート・クーパーのステージゲート法というくらい、代表的な手法だ(注)。日本でも、昨年やっと、ロバート・クーパーの翻訳が出版されたので、イノベーションのマネジメントをする立場の人は目を通しておくといいだろう。
ロバート・G・クーパー(浪江一公訳)「ステージゲート法――製造業のためのイノベーション・マネジメント」、 英治出版(2012)
◆ステージとゲート
さて、ステージゲート法は、新規事業や新製品のアイデアが生まれてから、事業化・製品化されるまでに必要なステップと作業ロードマップを与えるものである。特徴は、開発プロセスを経営判断を行う「ゲート」によってステージに分けていることだ。
ステージでは、プロジェクトチームが作業に取り組み、次のゲートに進めるようにする。ゲートでは、次のステージに進むかどうかの判断や、作業の優先順位付けをする。実際のゲートとステージは以下のようなものである。
<ゲート>アイデアの絞り込み
<ステージ1>調査
<ゲート>さらなるアイデアの絞り込み
<ステージ2>事業戦略の策定
<ゲート>開発着手
<ステージ3>開発
<ゲート>テスト開始
<ステージ4>テスト、品質レビュー
<ゲート>製品化
<ステージ5>市場投入
◆ステージとゲートの役割
この方法では、機能組織に合せたステージはない。ステージは基本的に組織横断的なプロジェクトで構成され、ゲートに進むために必要な作業は並行して行われる。
また、ステージでは技術、市場、資金、オペレーションなどのリスクの管理をするために、必要な情報が収集される。
ゲー トのもっとも重要な役割は、評価の低いプロジェクトを中止し、そのリソースを見込みのあるプロジェクトに再配分する。ゲートにおける評価は、ステージで生まれた成果の質、経済合理性などに注目し、それぞれのプロジェクトがどの程度の成功をおさめるかを評価する。イノベーションでは、この評価とリソースの再配分が成功の分岐点になる。
さらにゲートの役割としては段階的詳細化がある。ゲートにおいて、次のステージ以降のアクションを詳細化し、作業計画を作る。
◆ステージゲート法のメリット
ステージゲート法のよい点は、ステージが進むにつれて投資規模が拡大し、それに伴い、責任が大きくなっていくが、その一方で、ゲートでの評価を通過することによって、リスクが減少していくことである。このため、結果として大きな意思決定を小さいリスクで行うことができ、イノベーションの成果を大きくできることである。
(注)ステージゲート法はStage-Gate International社の登録商標です
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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