本文へスキップ

私たちの製品のどんな機能が顧客の情熱をかきたてているのか、を考えてみる。企業のファンの第一歩は顧客と製品の感情的な結びつきである

第26話 イノベーティブリーダーの質問力(9)〜感情的/精神的なベネフィットを与える(2013.11.27)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆機能によるユニークなベネフィットは現実的には難しい

前回に続き、製品に関する質問について考えていく。前回は、

(1)新しいトレンドをどうすれば利用できるか
(2)顧客の煩わしさを取り除き、ユニークなベネフィットを与えるにはどうすればよいか

の2つの質問について考えた。3つ目の質問は

(3)私たちの製品によって顧客はどのような感情的、精神的、立場的なベネフィットが得られるか

というものだ。多くの製品は前回の(2)の質問に答えられなくては存在意義がない。だた、(2)だけでは不十分であることも確かだ。多くの競合製品は(2)において同等な答えを準備しているからだ。


◆iPhoneにみる感情的なベネフィット

この場合に(3)の質問の意味が出てくる。このもっとも典型的なパターンはiPhoneであろう。iPhoneは初期において(2)に質問に対してすばらしい答えを提供したのはいうまでもない。しかし、発売より5年経った今、(2)だけで突出した存在であるとは言い難くなっている。しかし、いまだにスマートフォンの代名詞になってるのは、単に「元祖」というだけの理由ではなく、(3)の質問に対してすばらしい答えを提供しているからに他ならない。

たとえば、発売日の1週間前からアップルストアに並ぶ客がいる。これは、iPhoneを持つことによって誇らしい気分になると同時に、それが一種のステータスシンボルになるからだ。とくに今回のゴールドカラーのように、見た目が新しい機種を持つというのはステータスシンボルになる。iPhoneのユーザーはこのようなことをベネフィットと感じるというわけだ。


◆顧客とのつながりを創造する

実際に(3)がイノベーションにとって有効な切り口になることは多い。具体的にいえば、アップルがそうであるように顧客とのつながりを創造しているわけだ。このつながりの創造というのがビジネスモデルとして新しいビジネスモデルで、多くの一流企業が取り組んでいるイノベーションである。

もっと重要なことは、そのつながりを通じて顧客のニーズや要望を反映できる形にあることだ。

さらには感情的な結びつきが顧客と製品の間にあるかどうかも重要である。企業のファンの第一歩は顧客と製品の感情的な結びつきである。


◆顧客の情熱をかきたてる

もう一つ、考えるべき質問を示しておく。それは、感情的な結びつきに近いものだが、

(4)私の製品のどんな機能が顧客の情熱をかきたてているのか

と言う質問である。これはイノベーションを考えるに当たって極めて重要な質問である。


◆Thinkpadという製品

著者はレノボのThinkpadというパソコンのユーザーである。Windows98が登場するまではMacintoshを使っていたが、仕事で使いにくくなったので、Windowsパソコンに乗り換え、Thinkpadを使っているので、ファンといってよいと思う。Thinkpadでならなくてはならない理由がある。それは、トラックポイントというキーボードの中にあるポインティングデバイスである。これを使い出すと、トラックパッドは不自由でしかたない。この機能がThinkpadというパソコンへの情熱をかきたてている。

ちなみにThinkpadというのはコンサルタントなど、プロフェッショナルな仕事をする人のステータスシンボル的な製品でもあり、感情的、立場的なベネフィットをもたらしている製品でもある。

IBMからパソコン事業を買ったレノボは非常に創造的な展開をしている。自由な姿勢をとれるPCとか、20インチのタブレットとか、さまざまな可能性を提案しているが、Thinkpadのラインは触っておらず、従来のプロ仕様というコンセプトの中で発展をさせている。レノボは顧客の情熱をかきたてる機能は宝であり、それを将来的の製品に残していくことの重要性をよく分かっているといえよう。

◆関連セミナー

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルな組織を創るマネジメント          ◆(7PDU's)
日時・場所:【Zoom】2025年 01月 22日(水)9:30-17:30(9:20入室可)    
【Zoomハーフ】2023年 03月 15日(水)13:00-17:00+3時間
        ※Zoomによるオンライン開催です
        ※ハーフセミナーは、事前学習3時間あります
        ※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
  講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_management.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
 ※Youtube関連動画「コンセプチュアルスキルとは(前半)」「コンセプチュアルスキルで行動が変わる
          「イノベーションを生み出す力
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  【カリキュラム】                     
 1.コンセプチュアルではない組織の問題点
  ・個人レベルの問題点
  ・チームレベルの問題点
  ・組織レベルの問題点
 2.コンセプチュアルなマネジメントのポイント
  2.1 質問型の組織を創る
  2.2 コンセプチュアルな組織活動のプラニング
  2.3 ステークホルダーへのコンセプチュアルな対応
  2.4 コンセプチュアルな人材育成
  2.5 コンセプチュアルな組織文化の構築
 3.コンセプチュアルなマネジメントの目標
 4.コンセプチュアルマネジメントでコンセプチュアルな組織を創る仕組みワークショップ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

メルマガ紹介

本連載は、コンセプチュアル・マネジメント購読にて、最新の記事を読むことができます。

コンサルティングメニュー紹介

PMOコンサルティング、PMOアウトソーシングサービス、人材マネジメントサービスなど、御社に最適のコンサルティングをご提案させていただきます。まずは、お問合せください。

Youtube始めました。チャンネル登録お願いします。PMstylebiz


書籍&チケットプレゼントはこちらから

お薦めする書籍

メルマガ購読

ブログ

公開セミナー(カテゴリー別)
日付順  カレンダー

お客様の声(掲載をご許可いただいた受講者の方のアンケート結果)

PMコンピテンシーとは

サイト内検索

Facebook

Facebook