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第33回 ダイナミック(動的)・スケジュール・マネジメント その4(2010.03.19)

アイ・ツー・マネジメント 代表取締役 岡野 智加

前回から、Excelなどで作成する静的なスケジュールと、ダイナミック(動的)・スケジュールの違いと、ダイナミック(動的)・スケジュールのメリットについてお話してきましたが、今回は、ダイナミック(動的)・スケジュールを行う際のポイントについてお話ししたいと思います。

尚、コラムを読んで、Microsoft Office Projectでダイナミック(動的)・スケジュール・マネジメントを行いたいと思った方は、弊社ではセミナーも開催しておりますので、是非ご参加下さい。

■リレー形式での作業の徹底
静的なスケジュールは、開始日と終了日が固定されているので、その範囲内で作業を行えばよいと作業者が思ってしまうので、以下のような問題点があります。

●学生症候群
テスト前ぎりぎりならないとテスト勉強を始めない学生が居ることからこのように呼ばれている人間の習性です。
作業期間を見積もる時に、大体の場合は、余裕を持って見積もると思います。
学生症候群タイプの人間は、終了日までにやればよい、終了日までには余裕があると思い、作業を受け取っても、すぐに始めず、ぎりぎりになって作業を開始します。
何も問題がなければ作業は予定通り終了しますが、何かトラブルがあった場合、余裕を無駄に使っているので、余裕がありませんから、作業は結局遅れてしまいます。
せっかく一つ一つの作業に余裕を持たせても、開始日と終了日が指定されているので、その余裕が全く有効に活用されません。

●パーキンソンの法則
今度は真面目な人の話です。
真面目な人は、ちゃんと作業を受け取ったらすぐに作業を行います。でも、余裕を持たせているので、何も問題なければ、予定の終了日より早く終わります。
早く終わったらすぐ次の人に渡せばいいのに、終了日までに次の人に渡せばよいと思い、作業が終わっても自分のところでずっと持っています。
結局この場合も、開始日と終了日が指定されていることによって、一つ一つの作業の余裕が無駄に使われています。

このような人間の習性から、一つ一つのタスクに余裕を持たせることは無駄であるということ、特に静的なスケジュールは、開始日と終了日が指定されているので、その範囲内で行えばよいと作業者は思ってしまい、作業を受け取ってもすぐに始めなかったり、終わっているにもかかわらず終了日までずっと自分のところで持っていたりという問題点が出てきます。

このように、作業者が静的なスケジュールのままの感覚、つまり、開始日と終了日の範囲内でやればいいと思っていると、ダイナミック(動的)なスケジュールの効果はあまり期待できません。作業者も動的に作業する、つまり、作業を受け取ったらすぐ作業を開始し、作業が終わったらすぐに次の作業者に渡すということを徹底させることが必要です。
各作業の開始日終了日はあくまでも目安であり、これはプロジェクトの状況によって刻々と変わっていくものです。重要な期日が守れるかどうかが重要であり、一つ一つの作業の開始日終了日が守れていることが重要なのではないという感覚を作業者もわからなければ、本当の効果は出ないと思います。

■厳しい所要期間見積り
先の説明にもあった通り、一つ一つの作業に余裕を持たせても結局無駄に使われることが多いので、一つ一つの作業には余裕を持たせない、厳しい見積りをして、そして、遅れを吸収するための余裕は、重要なマイルストーンやプロジェクトの終了のマイルストーンの前に持っておくというスケジュール方法はいかがでしょうか?

実はこれは、クリティカル・チェーンのエッセンスを入れて、私が考えたスケジュール方法になります。

厳しい見積りのスケジュールでは、負荷の調整も大変楽です。

クリティカル・パス法では、クリティカル・パスが崩れないようにしなければならないので、単純に作業の重なりをなくすという方法だけでは全ての負荷は解消できません。クリティカル・タスクを延期することができませんから、そのような場合は、人を入れ替えたり、追加して負荷を軽減したりと、様々な方法で負荷を調整する必要があります。

しかし、厳しい見積りのスケジュールは、単純に作業の重なりをなくすだけで全ての負荷を解消できます。この時点では、クリティカル・パスはまだ未決定ですから。
Microsoft Office Projectでは、自動延期機能があるので、それを使えば、簡単に自動的に負荷調整ができます。

負荷の調整が終わったら、重要なマイルストーンとプロジェクト終了のマイルストーンに○月○日に終了という制約をつけて固定します。そうすると自動的に余裕期間がでてきます。

余裕がどれくらい使われたかは、基準計画との差異を見れば確認できます。

このように、クリティカル・チェーンのエッセンスを入れたダイナミック(動的)・スケジューリングをすれば、学生症候群やパーキンソンの法則を回避できますし、負荷の調整もとても楽になると私は思うのですが、皆さん、いかがでしょうか?

■なぜMicrosoft Office Projectなのか?
ダイナミック(動的)・スケジュールをマネジメントするにはプロジェクトマネジメント・ソフトウェアが必要ですが、数あるプロジェクトマネジメント・ソフトウェアのうち、なぜ、Microsoft Office Projectなのか?ということを最後にお話しさせて頂きます。

●世界で最も使用されているソフトウェアだから
一番の理由は、世界シェアがトップだからということでしょう。
日本でも、プロジェクトマネジメント・ソフトウェアを導入している企業の6割は、Microsoft Office Projectを選択しています。

●Microsoft Office製品との親和性が高いから
世界でも日本でも、ビジネスシーンで使われている表計算ソフト、文書作成ソフトやプレゼンテーションソフトは、Microsoft Officeが多いと思います。
そのように、業務に使用しているソフトウェアとの親和性が高いことは使用し易いですよね。

例えば、Microsoft Office製品で作成したドキュメンテーションを関連タスクに添付しておけば、簡単に開くことができますし、Microsoft Office ProjectのデータはExcelに簡単にエクスポートできますから、Microsoft Office Projectではできない分析をExcelで行うこともできます。

●スケジュールと共に、スコープ、コストが一元管理できるから
Microsoft Office Projectでは、スコープ(WBS)やコスト・マネジメントができます。
もちろん、アーンド・バリュー・マネジメントもできます。
スケジュールと共にこれらも一緒に管理ができれば効率的ですよね。

●PMBOK(R)に準拠しているから
Microsoft Office Projectは、PMBOK(R)を実現するために開発されたソフトウェアなので、PMBOK(R)を実践する方にはお勧めします。

以上、Microsoft Office Projectを使用したダイナミック(動的)・スケジュールについて4回にわたりお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
是非一人でも多くの方がダイナミック(動的)・スケジュールのメリットに気づいて頂き、もっとMicrosoft Office Projectを有効に活用して、効率的にプロジェクトをマネジメントして頂ければと思います。

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 6.リスク計画書の書き方
 7.ステークホルダー計画書の書き方
 8.コミュニケーション計画書の書き方
 9.プロジェクト計画全体の整合と各計画書の調整
 10.プロジェクト計画書の使い方と段階的詳細化
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著者紹介

岡野 智加    アイ・ツー・マネジメント 代表取締役

大手ISベンダーなどにてOracleをはじめとするソフト・トレーニングの講師経験を経て、現在、Microsoft Office Projectセミナーに特化した教育事業経営を行っている。
1998年に日本初の、プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKTM(Project Management Body of Knowledge)に準拠したMicrosoft Office Projectセミナープログラムを独自開発。これまでの単なる操作方法を習得するセミナーではなく、プロジェクトマネジメントプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの実践的活用ノウハウが習得できるセミナーを開発。
開発当初からこの今までに無い実践的な内容のセミナーは、当時、プロジェクトマネジメントをいち早く導入しようとしていた日本の最大手企業から高い評価を得る。
マイクロソフト社からも評価され、、2002年には日本初の米国マイクロソフト社公認Microsoft Office Project Official Partnerに認定される。
2002年に出版した書籍は、これまでの単なる操作方法を解説する書籍ではなく、プロジェクトマネジメントのプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの活用方法が解説されているということで、大ベストセラーとなり、売れ続けており、その後の書籍及び日本中のセミナー企業へ多大なる影響を与える等、Microsoft Office Project講師として日本におけるリーディングパーソンである。

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