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マイクロソフトのPM情報ツール Project を使って、プロジェクトをうまくマネジメントしていく方法を解説し、その解説を通じて、MS Project の利用方法の解説します。第13回は、MS ProjectのアドオンソフトCCPM+です

第13回 クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント その3(2008.02.15)

アイ・ツー・マネジメント 代表取締役 岡野 智加

前回は、Microsoft Office Project(以下MS Projectという)でクリティカルチェーン計画を作成する手順についてお話ししました。
クリティカルチェーン計画の作成手順は以下の通りです。
    


この手順のうち、1〜6はMicrosoft Office Project(以下MS Projectという)を使用して作成することができますが、この手順について前回お話しました。
7〜10については、MS ProjectのアドオンソフトであるCCPM+を使用することで実現することができます。

CCPM+は、MSIのホームページより試用版をダウンロードすることができます。

尚、無料説明会も定期的に行われております。

今回は、CCPM+を使用して、上記手順7〜9についてお話します。

■手順1〜6の結果
前回、上記手順1〜6を行ってクリティカルチェーン計画の土台となるスケジュールを作成しました。
手順6の平準化で、作業の重なりをなくすために、MS Projectの自動延期機能を使用しましたが、その際、「優先順位の決定方法」によって結果が異なります。
今回は、各タスクの優先順位を設定していないので、「優先順位の決定方法」が「標準方式」と「ID順」の2つの結果が得られました。結果は以下の通りです。
タスクバーの左に表示されている細い水色の線は、最初にスケジュールされていた開始日から現在の開始日までを示しているので、どのタスクがどのように延期されたかを確認することができます。また、左側のテーブルにはどのタスクがどれくらい延期したのかが確認できるように「平準化による延期期間」フィールドを挿入して表示しています。

■標準方式の結果
 

■ID順の結果
 

上記の結果のうち、今回は、プロジェクトの終了日がより早い「標準方式」の結果を採用することにします。

■手順7:クリティカルチェーンの識別
CCPM+をインストールすると、以下のようなツールバーが表示されます。
    

また、CCPM+用の以下のようなビューも追加されます。


クリティカルチェーンを識別するには、CCPM+ツールバーの左端のボタン「クリティカルチェーンを識別する」ボタンをクリックします。
黄緑色で表示されたパスがクリティカルチェーンです。


■手順8:バッファの追加
クリティカルチェーンでは、個々のタスクに余裕期間を持たせるのではなく、プロジェクト全体で余裕期間を共有します。クリティカルチェーンでは、共有余裕期間をバッファと言います。
バッファは、プロジェクトのタスクにおける変動性により、プロジェクト納期が遅れることを防護します。

バッファには2つの種類があります。

・ プロジェクトバッファ
プロジェクトの納期を守るためのもので、プロジェクトの納期の前に設置します。
・ 合流バッファ
非クリティカルなタスクが、クリティカルチェーンに合流するところに設置し、非クリティカルなタスクの遅れによるクリティカルチェーンの遅延を防護します。

バッファを追加するには、まず、バッファの期間を計算するオプションの設定を行います。
CCPM+ツールバーの「オプション」ボタンをクリックして表示される「バッファ」タブで設定します。
既定は50%になっていますので、プロジェクトバッファであれば、プロジェクト全体の期間の50%がバッファとして設置されます。
     

今回のサンプルでは、既定のオプションを使用します。

バッファを挿入するには、CCPM+ツールバーの「バッファを挿入する」ボタンをクリックします。バッファは、縦線の模様が入った黄緑色のタスクになります。
今回のサンプルでは以下のようなバッファが挿入されました。


■手順9:納期に間に合うかどうか?
バッファ挿入後、現在のプロジェクト・スケジュールを確認し、納期に間に合うようなスケジュールになっているかどうかを確認します。

サンプルでは、バッファ挿入後のプロジェクトの終了日は4月3日になりました。
クリティカルチェーン法ではなく、クリティカルパス法で個々のタスクに余裕期間を盛り込んだスケジュールの場合、以下のように、プロジェクトの終了日は3月28日になります。


この終了日が納期だとすると、現在のクリティカルチェーン法のスケジュールでは納期に間に合いません。
このように、最初に得られるクリティカルチェーンは、一般的に適切でない場合が多いです。
そこで、クリティカルチェーンが納期に間に合うようにするために調整する必要があります。

クリティカルチェーンを調整する方法として、以下のような方法があります。

・ タスクロジックの変更
 −クリティカルチェーンにギャップがないか?その原因を取り除けないか?
 −制約は正しいか?
 −タスクは同時並行的にできないか?
 −本当に、タスクは、次のタスクの開始前に完了していなければならないか?
・ 要員の変更
 −クリティカルチェーン上のタスクに要員を追加することで期間を短縮することはできないか?

今回は、クリティカルチェーン上のタスクであるID8に新しいリソースDを追加することで、タスクID8の期間を半分に短縮しました。
すると、以下のように、プロジェクトの終了日が3月24日になりました。


クリティカルチェーン法によるプロジェクト・スケジュールが作成できたら、次は、プロジェクトを実行し、その進捗管理を行います。
CCPM+による進捗管理の方法については、次回お話します。

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著者紹介

岡野 智加    アイ・ツー・マネジメント 代表取締役

大手ISベンダーなどにてOracleをはじめとするソフト・トレーニングの講師経験を経て、現在、Microsoft Office Projectセミナーに特化した教育事業経営を行っている。
1998年に日本初の、プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKTM(Project Management Body of Knowledge)に準拠したMicrosoft Office Projectセミナープログラムを独自開発。これまでの単なる操作方法を習得するセミナーではなく、プロジェクトマネジメントプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの実践的活用ノウハウが習得できるセミナーを開発。
開発当初からこの今までに無い実践的な内容のセミナーは、当時、プロジェクトマネジメントをいち早く導入しようとしていた日本の最大手企業から高い評価を得る。
マイクロソフト社からも評価され、、2002年には日本初の米国マイクロソフト社公認Microsoft Office Project Official Partnerに認定される。
2002年に出版した書籍は、これまでの単なる操作方法を解説する書籍ではなく、プロジェクトマネジメントのプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの活用方法が解説されているということで、大ベストセラーとなり、売れ続けており、その後の書籍及び日本中のセミナー企業へ多大なる影響を与える等、Microsoft Office Project講師として日本におけるリーディングパーソンである。

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