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成果と計画の関係が不明確、計画が網羅的で成果の優先度が不明確、客観性にこだわり妥当性の低い計画をコンセプチュアルに変える。客観的に範囲を想定し、その中で主観的に計画する

第28話:コンセプチュアル思考で計画をコンセプチュアルにする(2016.07.25)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


前回は、コンセプチュアル思考で問題解決行動をコンセプチュアルに変えるという話をしました。次に計画行動について考えます。

コンセプチュアルスキルが低いと計画において以下のような問題が起こりがちです。

(1)成果と計画の関係が不明確である
(2)計画が網羅的であり、優先度が不明確である
(3)客観性にこだわり、結果として、妥当性の低い計画になる

◆問題行動を変える(1)

コンセプチュアルスキルが低い人の計画に「問題行動」として多いのは

(1)成果と計画の関係が不明確である

という行動です。計画は成果をどのように実現していくかを決める(計画する)ためにありますので、こういう表現をするとちょっと違和感があるかもしれません。しかし、現実をみると、既存のやり方をベースにして計画が作られるため、どのアクティビティがどの成果に結びついているのかが明確でないことは少なくありません。

このような問題行動を解消した計画を行うにはどうすればよいのでしょうか?

この問題行動を解消するためには、まず

・大局的にはどういう仕事か/分析的にはどういう仕事か

を考えてみることが不可欠です。発生している問題を目先の問題としてしか捉えていませんが、どのように捉える必要があるかと考えてみると、

「大きく見るとこれはどういう仕事で、その仕事はどのように進めていくのか」

を考えることが必要です。これは、プロジェクトマネジメントでいうところのWBS(ワークブレークダウンストラクチャー)とFBS(ファンクショナルブレークダウンストラクチャー)、OBS(オーガニゼーションブレークダウンストラクチャー)を統合して定義するようなものです。

これを繰り返すことによって、成果との関係が明確な計画をすることができます。


◆問題行動を変える(2)

2つ目にコンセプチュアルスキルの低い人が計画においてよくやる二つ目は

(2)計画が網羅的であり、成果の優先度が不明確である

だということです。(1)とも関係しますが、大局的にどういう仕事かが見えていないと、計画を積み上げて作る傾向があります。そこで、網羅的な計画になってしまいます。いずれにしても行うべきことを計画しているのだから、網羅的でもいいのではと思われる方もいらっしゃると思いますが、あまり感心しません。

計画の一つの性質は、計画通りにいかないことです。もちろん、計画通りにいかない場合には、計画を変更しますので、結果として計画通りに進んだことになりますが、問題はそのような場合、最初に計画したことをすべて実施するとは限らないことです。
たとえば、スケジュールを優先して、ある部分は止めようと言った判断もあるわけです。

その際には成果の優先順位が問題になってきます。そもそも、上のように判断をする際に計画上の優先順位があって、それを考慮しながら計画の修正をするわけです。

もう一つ重要なことは成果物の優先順位は客観的なものではありません。たとえ、顧客がいて、顧客が考えている優先度と提供者が考える優先順位は違うことが珍しくありません。立場が異なるからです。

この点も踏まえて、この問題を解消するには、

・仕事を大局的に把握をし、まずトップダウンで優先順位の枠組みになる計画を考え、その後、ボトムアップで計画していく

といった取り組みが必要です。

◆問題行動を変える(3)

コンセプチュアルスキルの低い計画の3番目は

(3)客観性にこだわり、結果として、妥当性の低い計画になる

という行動です。

まず、このような行動の問題点は、計画とは意思決定であり、主観的なものであるということです。もちろん、全く自由に思った通りに計画できるということではありません。たとえば、10日間でできる仕事という場合、楽観的に考えると5日でできるかもしれないし、悲観的に考えると15日かかるかもしれないといったデータが必ずあります。この場合、5日から15日という範囲は客観的な制約として守る必要があります。

問題はこの中で5日を選ぶか、10日を選ぶか、15日を選ぶかは主観です。ところがここも客観的なものだと考え、いろいろな人の意見を聞いたり、もっと詳細な分析をする人が少なくありません。これは、コンセプチュアルとは言えませんし、収拾がつかなくなってしまい、逆に妥当性が低い計画になってしまうことがよくあります。

この問題行動を解消するには、

・客観的に範囲を想定し、その中で主観的に計画する

という計画行動をするといいでしょう。この場合、主観的に決めるのは、直観でも構わないですし、誰かの意見を参考にして自分で決めるというのもあってよいでしょう。
重要なことは自分で決めることです。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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