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第59話:組織力を高めるプロジェクトマネジメント(2012/12/05)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆プロジェクトと組織力

さて、ここまでの議論を前提にして、少しプロジェクトに関する議論をしたいと思います。ここでプロジェクトの見方は2つあります。一つはプロジェクト自体が組織であるという見方があります。もう一つはプロジェクトというのは(経営)活動であるという見方もできます。

前者の場合、プロジェクトの目的をより効果的、効率的に達成する力が組織力です。たとえば、Aプロジェクトだと1000時間かかる開発が、Bプロジェクトだと800時間でできるとすれば、BはAより組織力が高いことになります。あるいは、メンバーを育てるという目的があったとすれば、Aより、Bの方がプロジェクト終了後に力がついているならBの方が組織力が高いということになります。

後者の場合、プロジェクトの目的がより効果的、効率的に達成できるかどうかも問題なのですが、それ以上に、目的達成が組織の目的達成にどれだけ効果的、効率的に寄与しているかによって組織力が決まってきます。言い換えると、プロジェクトの成果が、戦略に貢献しているが組織力だといってもよいでしょう。


◆プロジェクトマネジメントが組織力を向上させる

このように考えると、いずれの意味でも、プロジェクトマネジメントは組織力を向上させる仕組みを提供していることになります。

まず、前者の意味では、プロジェクトでは目的達成のためにすべき仕事をWBS(Work Breakdown Structure)で洗い出します。そして、それぞれの仕事(ワークパッケージ)に対して、実行責任(レスポンシビリティ)を明確にします。これによって、目的の達成は、目的達成のために不必要なことはせず、また、効率よく実行されることになります(実際に、その仕事ができるかどうは別の問題です)。

後者の場合、プロジェクトの活動目的が、組織の目的にどれだけ整合しているかによって効果、効率が変わってきます。そのための仕組みとして、組織の目的(ゴール)をプロジェクトの目的に落とし込むGBS(Goal Breakdown Structure)という方法があります。これは

組織目的
 →ビジネスの目的
  →プロジェクトの目的

という風にブレークダウンすることによって、組織目的に整合するプロジェクトの目的を導く手法です。プロジェクトの目的が適切に決定されれば、あとは、前者と同様にWBSによってプロジェクトの目的を達成すればいいわけです。これによって、後者の意味での組織力も高まることになります。


◆組織力の本質は問題への対処にある

さて、ここまではすっきりとした話ですが、組織力の本質はここには出てこないところにあるのではないかと思われます。実際によくある話なのですが、WBSで目的達成のための洗い出した仕事が抜けていることがあります。ワークパッケージには責任分担を貼りつけますので、もし、WBSに漏れがあると宙に浮く仕事があるわけです。ところが、それを誰かがやらないとプロジェクトの目的を実現できるような成果にならないといったケースです。

このような場合、誰かがやらなくてはなりません。自分の分担ではありませんので、負荷が増すことになります。このバックアップを自律的にできるのが「チーム」です。チームとして機能するには、分担に関わらず、すべてが自分事であることが不可欠です。つまり、責任分担でいえば、すべてのメンバーがすべての仕事に関心を持つという「責任」があるのがチームです。そのような責任があれば、漏れがあった場合にもスムーズに対応できます。

上で仕事を分担して進めていくときに、うまく行くかどうか分からないけどと書きましたが、プロジェクトの仕事なので、当然のことです。ここでもチームが機能します。もし、失敗したら、他のメンバーがバックアップして、全体としては問題なく進めることができる。これがチームなのです。

つまり、プロジェクトを組織とみなすにしろ、活動とみなすにしろ、プロジェクトメンバーの頑張りが組織の成果に反映されるような組織力はプロジェクトマネジメントとチームの2つの柱によってもたらされることになります。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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