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第112話:経験を活かすにはどうすればよいか(2016/01/25)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆なぜ、理論は使えないと考える人が多いのか

理論と経験のどちらを重視するかと聞かれると、多くの人は経験だと答えると思います。多くの人はあまり理論は役に立たないと考えているからです。今回はこの問題について考えてみたいと思います。

まず、なぜ、理論が役に立たないと思っている人が多いのかと言う問題について考えてみましょう。この問題は2つの側面があります。一つは理論化されている範囲が狭く、そのため現実の業務の範囲をカバーできていないという問題です。現実に起こっていることを整理し、理論にするという理論の成り立ちを考えるとこの問題は対応できない問題です。ただ、多くの場合、現実に起こっていることから理論を構成し、そして、多くの人が理論を活用するという手順で考えるとこのこの問題はそんなに多くないように思います。

むしろ、多いのは2つ目の側面で、理論をどのように現実の問題に使えばよいかが分からないという問題です。たとえば、組織論で得られている知見を現実の問題に取り入れている組織は非常に少数です。リーダーシップ論を取り入れているリーダーはリーダー全体でみれば数えるほどしかいないでしょう。このような状況は、アプローチも含めて、どのように理論を現実の問題に適用すればよいかが分からないので起こっているものを考えられます。


◆なぜ、経験を重視する人が多いのか

それでは、経験を重視するという人の理由はどのようなものでしょうか?経験を重視するという人のほとんどは、同じような事例の情報が役立つを考えている人が圧倒的に多いと思います。つまり、経験とはそういうものなのです。

たとえば、よくある話で、同じ製品を追加で同じクライアントに納入するプロジェクトであれば、前のプロジェクトは同じプロジェクトだと考える人が多いと思いますが、異なるクライアントに納入するプロジェクトがあったときにはどうでしょうか?

この答えは人によって分かれると思います。ある人は同じ製品なら同じようなものだと言い、ある人は相手が違えば同じ製品でもまったく違うというでしょう。これは、何に注目しているかによって変わってきます。技術に注目していれば同じですし、ユーザーに注目していれば全く異なるわけです。

この問題はどちらが正しいという問題ではありません。本質的に主観的なものですし、厳密な区別もしにくいものです。


◆そもそも「経験を活かす」とはどういうことか

ここで一つ考えてみたいことがあります。それは、この場合、経験を活かすというのはどういうことなのかということです。製品もユーザも同じであれば経験は活用できますが、これは本当に経験を活かしたといえるのでしょうか?

著者は経験を活かしているとは思いません。「活かしている」のではなく、単に、経験通りに行っているだけです。経験を活かしているとすれば、ユーザが異なる場合です。この場合には、ユーザがどう違うのか、それにどう対処すればよいかを考える必要があり、経験を活用しているといえます。

そのように考えてみると、経験を活かすというのは経験通りに行うことではなく、経験を「応用する」ことだと考えた方がいいでしょう。そして、応用するという視点からいえば、異なる製品を同じユーザに導入する、異なる製品を異なるユーザに導入するというケースも同じかもしれません。

つまり、事例を分析し、新しいプロジェクトと同じ点は何か、異なる点は何か、そして、それが適用にどのような影響を与えているかを明確にし、その影響を押さえるにはどのような点を変更すればよいかを考えるということです。

ついでにいえば、体験と言う言葉と経験という言葉は違います。実際に行ったことは体験、それを抽象化したものが経験です。


◆経験の抽象化と具象化

このような発想で経験を適用しようとした場合、重要になるのは経験を抽象化し、さらに、応用先に具体化することです。たとえば、あなたは機械設計の豊富な経験があったとします。そしてその経験で、

「部品の機能を明確にすることによってシンプルな製品ができる」

ことを知っていたとします。まさに経験による知です(実践知と呼ぶ)。この段階でも応用は可能です。たとえば、ソフトウエアの設計という別の分野において

「(見えない)部品の定義を明確にし、機能の明確化をすることによって、シンプルな構成のソフトウエアができる」

という応用ができます。そして、これを基本としたソフトウエア設計をすれば、機械設計の経験がソフトウエア設計に活かされるわけです。

この議論はもっと遠くまで飛ばすこともできます。たとえば、

「構成要素の役割を明確にすることでシステムをシンプルにできる」

という知識として考え、これを応用すると

「プロジェクトにおいては、メンバーひとりひとりの組織における役割を明確にすることによって自立的な活動をするプロジェクトになる。」

という応用ができます。あるいはもっと大きな視点で考えると、

「部門のミッションを明確にすることによって自立的な戦略実行が行われるようになる」

といった応用をすることも可能です。


◆経験の応用とは知識の応用に他ならない

これは経験そのものではなく、知識の応用といった方がよいかもしれません。違う言い方をすれば、経験の応用は、経験を知識にして、それを適用することによって行われるといえるわけです。

このように考えてみると理論を使う際と同じことが言えます。どのようにして経験を適用すればよいか分からないという問題です。もう少し、経験を活かすということを考えてみれば、理論を活かすことも、経験を活かすこともさほど変わりはないのではということになってくるわけです。

つまり、理論とは普遍性が示されているものですが、知識や知恵には普遍性はなくても、見ている範囲でより深い考えが含まれているのです。そのように考えてみると、理論も知識の一環であり、理論を使うのは、経験を使うのと同じだと言ってよいのかもしれません。そう考えると、理論か経験かという議論はあまり意味がなく、むしろ、本質的な意味は、抽象と具象の行き来を適切にできること、もっといえば、コンセプチュアル思考を手近接に活用できることだと言ってもよいのかもしれません。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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