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第111話:続・システムについて考える〜なぜ、システムが必要なのか(2016/01/14)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人



◆デザインとは問題解決に役立つかどうかに価値がある

第109話で、システムについて考えるという話をチームという観点を中心にしました。今回は、その続きとして、デザインという視点からシステムについて考えてみたいと思います。

iPhoneがこれだけメジャーな製品になったのは、デザインが良かったからだです。では、よいデザインとはどういうものでしょうか。よくアートとデザインは違うと言われます。アートの良さは非常に主観的なものです。まず、よいデザインとはここにポイントがあります。よいデザインは問題解決を行うものに限定されます。よいデザインとは厄介な課題を解きほぐすものです。言い換えると何かの手段であるのがデザインです。


◆価値を生み出すためにシステムを作り出す

iPhoneはコミュニケーションを行う手段ですので、機器の素材や形状だけの問題ではありません。コミュニケーションを行う際には、いくつかの要素を結び付ける必要があり、それが如何に使いやすいか、問題解決に役立つかどうかに手段として価値があるわけです。言い換えると、デザインをするというのはこの価値を生み出すシステムを作り出すことに他なりません。

iPhoneのデザインが良いといわれる一つの理由は、コミュニケーションにおいて電話とメッセージという2つの手段をうまく結び付けたことにありますが、それだけではありません。非常に大きな要因として、シンプルであることを上げられます。つまり、よいデザインとは、複雑ではない方法で問題解決ができることが条件になります。

ここで難しいのは、筐体やボタンなどの形状は見えるわけですが、結びつけは必ずしも見えないことです。


◆見えるものと見えないものを統合するのはシステム

iPhoneはシンプルで美しい素材や形状を備えていますが、iPhoneに求めるものはそれだけではないでしょう。電話の音声、かけやすさ、メッセージの使いやすさを気にいっている人もいるでしょう。価格やアプリを手にいれる仕組みも気にいる人もいるでしょうし、サポートが気にいって購入する人もいるかもしれません。アップルブランドが好きで購入する人もいるでしょう。

このように気にいることには、目に見えているものもあれば、見えないものもありますが、全体を総合的なデザインとして捉え購入することを決定しています。一般的に目に見えるものと見えないものをデザインとして統合することは難しい課題なのですが、システムとして捉えることによって可能になります。iPhoneをシステムとして捉え、システムとして提供しているわけです。前回述べましたように、システムとは

一つのことを達成するために結びついた要素や行動

です。これまでに説明してきましたように、iPhoneでいえばボタンや筐体、アプリの所在などは見えます。これらは要素です。これに対して行動は明確にみえるものではありません。行動はiPhoneを使って何かを行うために、要素がどのように作用するかを決めるものです。


◆システムの中には行動が含まれる

ここで重要なことは、システムの中には製品だけではなく、行動という形で、ユーザーも含まれているということです。ユーザーも一つの要素であり、行動を起こす要素なのです。前回も述べましたように、日本人はシステムを考えるのが苦手ですが、その原因の一つは自分も含めてシステムを考えることが苦手な点にあるように思います。

開発する際にも同じことです。ユーザーであればまだ見れるのでまだ考えることができるのですが、自分が使ってみてよいデザインかどうかを判断するには、見えないものを考えることが不可欠です。スティーブ・ジョブズのように自分で徹底的に使ってみて、自分がどう感じ、どう反応し、良いかどうかを判断することが不可欠です。システムの外に自分をおいていたのでは、そのような判断はできません。行動が見えないのです。


◆ビジネスにおけるシステム

さて、一般的に考えて、ビジネスにおいて目に見えるものと見えないものはどういうものでしょうか?まず、目に見えるものは、製品、従業員などがあります。これに対して、目に見えないものには、プロセス、社風、パートナーシップなどが代表的です。

マネジメントにおいては、見えないものを見えるようにしようというのが一つの方向性としてありますし、製造業などではプロセスを中心にしてある程度取り組まれていますが、完全に見える化することは不可能です。

見えるものと見えないものをシステムとして結びつけることがビジネスにとっては大きな課題になります。これがビジネスにおけるデザインの役割です。

こういう意味でシステムが重要だということは、いろいろなケースでいえることです。たとえば、ラグビーのチームを考えてみましょう。選手の数は同じだし、同じようなユニフォームを着て、同じボールでプレイをします。ところが、強いチームと弱いチームがあるわけですが、どこが違うのでしょうか?どのように行動(プレイ)し、そのために何にこだわるのかは各チームで流儀があります。強いチームというのは、目に見えるところより、見えないところに特徴がありそうです。もちろん、どのチームも勝つためにデザインをしているわけですが、結果として目に見えないところで勝つことができるかどうかが決まってくることが多いように思えます。

いずれにしても、目に見えるものと目に見えないものを統合し、目的を達成することができるようにするには、目的を達成するためのシステムの在り方を考える、つまり、デザインすることが不可欠だと言えます。

これがシステムのもう一つの側面です。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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