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第2回 プロジェクトマネジメントの成熟とOPM3(2009.02.03)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆プロジェクトマネジメントが成熟するとはどういうことか

これにはおそらくいろいろな理解があり得る議論である。プロジェクトの成功率が上がるのが成熟だと考える人もいるだろうし、プロジェクトマネジメントが決められた作法で行われることが成熟だと考える人もいるかもしれない。先日もこの議論をしていたら、ある食品メーカの部長さんはプロジェクトへの権限委譲の進行度合いを成熟度だと言っていた。確かにそういう解釈もあり得る。また、ある人は自律的なプロジェクト管理への取り組みを成熟だと言っていた。


◆プロセスの成熟モデルの開発経緯

このように複雑な問題だが、その中でほとんど定説化されているのがプロセスの成熟度という概念である。この分野はいろいろと研究開発経緯があるので、少し、整理をしておく。

まず、注目してほしいのは、成熟度モデルの領域である。成熟度モデルのアイディアはフィル・クロスビー教授の1979年の著書 Quality is Free の "Quality Management Maturity Grid" で初めて公表されたものだとされる。このタイトルからわかるように、もともと、品質の領域の話であり、プロセスの成熟度が向上することにより、ソフトウエア(プロダクト)の品質が向上するという仮説に始まるものだ。

この思想は、大きな流れとしては分野を問わない国際標準であるISO9000に引き継がれていくが、ソフトウエアの分野では、フィル・クロスビー教授のアイディアに基づき、1986年からSEI (ソフトウェア工学研究所) によりモデルの開発が始まる。

そして、1991年にカーネギーメロン大学のビル・カーティス教授、マーク・ポーク教授らが開発したソフトウエアCMMで集大成を迎える。もっと言えば、このモデルの前には、IBMからカーネギーメロンに転身したワッツ・ハンフリー教授が1989年に執筆した「Managing the Software Process」という著書があり、この著書がCMMのアイディアの原点になっていると言われている。


◆プロセスの成熟の定説

このフィル・クロスビー教授のアイディアに始まる一連の流れの中で、プロセスの標準については以下の5レベルのモデルが定着してきた。

レベル1:プロセスが確立されていない段階
レベル2:プロセスが特定のプロジェクトリーダーや技術者に依存している段階
レベル3:システム化されたプロセスを標準として持っている段階
レベル4:標準化されたプロセスを定量的に測定し、洗練化していく段階
レベル5:適用環境を考慮し、標準プロセスを最適化して用いる段階

の5レベルである。

さて、ソフトウエアやものの「品質」を議論する際には、成熟度はプロセスの成熟をみれば十分である。ところが、「品質」という概念の中に、純粋なプロダクトの品質以外の要素が入ってくるとそうは行かない。今のところプロジェクトマネジメントが適用されている分野はプロダクト品質を重視する分野が多く、ある意味で思考停止に陥っているが、本来、プロダクトの品質はスケジュールやコストとのトレードオフになるものである。

この議論は一つ上のプロマネブログ2007.9.17の記事

「品質絶対は思考停止」

を参照してほしい。


◆プロジェクトの成熟にはプロセス+αの指標が必要

そう考えると、プロジェクトの成果物の品質を考えるときに、開発プロセス以外のメトリクスを持ってこなくては議論できなくなる。プロセスの成熟度というメトリクスは必ず必要なのだが、それ以外のメトリクスは何かという話になってくると、いろいろな要素が考えられる。これが冒頭の議論の本質である。

前回、少し紹介したPMI(R)のOPM3(R)の考え方はおもしろいもので、どの範囲で利益を考えて利益を最大化しているかをメトリクスにしている。もっとも部分最適なのがプロジェクト、次がプログラム、組織全体で最適化をしているのがポートフォリオである。

これは最終解に近いのではないかと思うが、ただ、マネジメントのスタイルというのは各社各様である。例えば、京セラのアメーバーのようなマネジメントスタイルをとるのであれば、必ずしもこのメトリクスは適切とはいえない。冒頭に紹介した食品メーカのように、権限委譲のレベルをメトリクスにして、プロセスの5レベルと組み合わせるのもありかもしれない。


◆メトリクスの妥当性

プロセスの成熟度の説明のところで述べたが、広い範囲で受け入れられているプロセスをさせれば品質が上がるというのは、きれいな工場は品質が高いというのと同じレベルの仮説であるという意見も根強くある。これが仮説に過ぎないとすれば、レベリングを神様のようにあがめ、少しでもあげようとする活動は砂上の楼閣に過ぎないということになってしまう。人間の営みである以上、品質の問題というのもそう単純な問題ではないのだ。

ましてや、プロセス以外のメトリクスの信憑性は危ういものがある。メトリクスを設定するということは、それによってプロジェクトがうまく行くことを意味している。

ここで注意しなくてはならないのは、標準というのは、手法(メソドロジー)を正しく適用する方法を示したものであることであり、OPM3(R)はPMI(R)が提唱する標準が適切に適用されていることを担保するだけのものだということだ。OPM3(R)でアセスメントをしてスコアが高いということはプロジェクトの成功の確率が高いことに直結しない。

ここに仮説がある。それはプロジェクトマネジメントを組織ぐるみで行えば、プロジェクトの成功確率が上がるという仮説である。

つまり、OPM3(R)によって成熟度を上げることができるのは、このような仮説が成り立つような組織文化を持っており、かつ、そのような事業を行っていることが条件になる。その点をよく認識しておく必要がある。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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