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戦略は、経営戦略、事業戦略、機能別戦略、実行戦略と階層構造であり、実行戦略の戦略サイクルは、ほぼプロジェクトとして実行する

第4回 戦略サイクルとプロジェクトマネジメント(2010.04.27)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆戦略サイクル

前回、戦略サイクルとプロジェクトの話をしようと思っていたのですが、話が脱線したままで戻りませんでした。今回は仕切り直しで!まず、戦略サイクルです。

(1)調査・分析
(2)目的・目標設定
(3)戦略立案
(4)行動計画
(5)戦略実行
(6)評価


◆戦略的プロジェクトを実施する手順

前回説明したように、戦略には階層があり、プロジェクトは「実行戦略」として実施されると説明しました。これは、戦略的プロジェクトを実施する手順にもなります。

まず、最初に事業戦略や経営戦略、あるいは機能戦略の実現としてどのようなプロジェクトを実施すべきかを調査、分析します。一つ、事例をみてみましょう。

ある受注生産を工作機械メーカの事例です。このメーカのクライアントの多くは、コストダウンに頭を悩ませていました。そのため、設備投資ができず、結果として工作機械メーカの業績も落ちてきました。そのような環境の中でメーカとして、クライアントのコスト低減を事業戦略として掲げて、この問題に取り組むことにしました。

この戦略に大きな影響を受けたのは、開発部門と営業部門でした。開発部門では今までにもまして、コストダウンを強いられることになりました。そこで、営業のマネジャーAさんがクライアント企業の実情分析や、コストダウン事例を調査して分かったことは、機械と作業者の稼働率でした。機械と作業者の稼働率を上げると、必ずコストダウンにつながることが分かり、稼働率の向上を目的にした活動をすることにしました。これが、目的の設定です。この段階で、Aさんはある構想を頭に頂いていました。それは、自社に共同の加工センターを置き、そこにクライアント数社から作業者を駐在させ、共用の設備で、仕事をシェアするという構想でした。これは後に、クライアントのコスト低減という事業戦略の実行戦略になるわけですが、とりあえず、数社が参加するという仮定の下に、どの程度の稼働率が設定できれば満足なコスト低減になるかという調査をしました。

そこで、出た数字は、自社が現行の販売価格と同等の機械の使用量をとり、5社が5台の機械を使い、7年で償却することを前提にして、今の受注量で十分だという数字でした。

そこで、早速、共同加工センターの設立によるクライアントコストの削減の戦略を策定しました。この戦略を実行するために大まかな計画を作り、マルチクライアントプロジェクトの立ち上げを行いました。

さらに、そして、計画を進めていき、1年後にはセンターの運用開始にこぎ着けました。さらに、1年後、成果の評価をしました。まず、メーカ側からみれば、稼働が確保でき、十分な成果を得ることができました。ところが、ユーザ側の中には、さらに、コスト削減が厳しくなり、当初、考えたような成果が出なかった企業がでてきました。

そこで、次の戦略サイクルとして、技術のシェアを目的に掲げ、それによってさらなるコストダウンを実現する方向に進むことになりました。


◆戦略サイクルとプロジェクトマネジメント

このように、実行戦略の戦略サイクルは、ほぼプロジェクトとして実行されることになります。

(1)調査・分析
(2)目的・目標設定
(3)戦略立案
     →この3つが、プロジェクト立ち上げ
(4)行動計画
     →プロジェクト計画の策定
(5)戦略実行
     →プロジェクト計画の実行
(6)評価
     →振り返り

という対応になるわけです。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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