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アジャイルプロジェクトマネジメントの価値、原則、プロセス、プラクティスからなるフレームワーク

第4回 アジャイルプロジェクトマネジメントのフレームワーク(13/01/08)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆APMのフレームワークと価値

ジムハイスミスが提案しているAPMには、価値、原則、プロセス、プラクティスからなるフレームワークがある。

価値は前回説明したように、

(1)コミュニケーション>プロセス
(2)プロダクト>ドキュメント
(3)変化への対応>計画
(4)市場や顧客との対話>要求分析・市場調査
(5)自律>統制

といったものだ。

◆原則

原則はマネジメントの考え方の原則であり、PMBOK(R)でいえば「プロアクティブ」などに相当する。APMの原則には大きくは

・商品提供と顧客価値の原則
・コラボレーションとリーダーシップの原則

の2つがあり、それぞれについて具体的な原則がある。詳細については、別途、説明する。

◆プロセス

さらに、プロセスはライフサイクルプロセスで、計画重視型プロジェクトマネジメントのライフサイクルは最適化のライフサイクルであり、一般的には「計画→設計→開発」と表現することができる。これを、たとえば、PMBOK(R)であれば

・立上げ
・計画
・実行
・統制
・終結

というプロセスに展開している。これに対してアジャイルのライフサイクルは適応型のライフサイクルで、一般的には「構想→探索→適応」と表現できる。これをAPMでは、

・構想(Envision)
商品ビジョンやプロジェクトビジョン、プロジェクトコミュニティ、チームでの作業方法を決定する

・思索(Speculate)
ビジョンに沿った機能ベースのリリース、マイルストーン計画、イテレーション計画を策定する

・探索(Explore)
技術フィージビリティを検討し、検討が終わった機能を、短いタイムフレームで機能仕様を明確にしていく。継続的にプロジェクトリスクや不確実性を軽減していく

・適応(Adapt)
生み出された成果と現在の状況などから、アウトプット、チームのパフォーマンスをレビューし、必要に応じて調整していく

・終結(Close)
次フェーズへのインプットを整理するとともに、次フェーズの前提条件、制約条件を設定する

と展開している。終結から分かるように、APMもフェーズを設定できるフレームワークになっている。また、PMBOK(R)のプロセスは厳密にいえばプロセス群で、それぞれの下にさらにいくつかのプロセスが定義されるが、APMにはこれ以上細かなプロセスはない。

◆プラクティス

最後の要素はプラクティスだが、これはマネジメントとして行うべきことである。PMBOK(R)でいえば、ツールと技法というのがあるが、これだ。詳細は追って説明するが、ツールと技法と同じようにプラクティスは自由に定義できる。PMstyleではAPMのオリジナルのプラクティスにいくつかの要素を加えている。たとえば、構想プロセスであれば、

・商品ビジョンボックスとエレベータテストステートメント
・プロジェクト憲章
・ステークホルダ分析とコミュニケーションプラン
・顧客チーム・開発チーム間のインタフェース
・プロセスやプラクティスのテーラリング

といったプラクティスを準備している。以上から分かるように、フレームワークは計画重視型のプロジェクトマネジメントと同じようなものだ。この点はあとあと、実装上の重要なポイントになるので、頭に入れておいてほしい。

◆アジャイルの本質

アジャイルプロジェクトマネジメントの本質は管理コストをかけないようにして、その分を顧客対応コストに回すことにある。管理コストで大きいのは、リスク管理やコンフリクトの解消が上げられるが、これらのコストを顧客対応コストとして顧客への透明性を確保する。言ってみれば、そのためにどのようなプラクティスが必要かということを考えなくてはならない。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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