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第4回 プロダクトマネジメントとプライシング(2012.11.30) 1/3

新井 宏征


プライシングとは、商品やサービスに価格をつけることである。こう書いてしまうとシンプルだが、実際に何かの商品やサービスに価格をつけるとなると、簡単ではないことがわかるはずだ。

◆プライシングの難しさ
それでも商品の場合はコストが把握しやすいものが多いので、そのコストに自らが考える「妥当な」マージンを上乗せして価格をつけるという、いわゆるコストプラス方式を採用することができる。しかし、サービスの場合は、商品ほどかかったコストを意識しにくいため、このような価格のつけ方はやりにくいと考えている人も多いだろう。

そうやって頭を悩ませて決めた価格だが、顧客がすんなりと受け容れてくれるわけではない。ある顧客にとっては妥当だと感じられる価格でも、別の顧客にとっては「高い」と受け取られてしまうこともある。

例えば、すでに絶版になってしまった本が有名なブログなどで紹介された後Amazonを見ると、古本に定価の数倍から時には10倍以上の価格がついているのを見たことがある人も多いだろう。その本を必要だと感じていない人にとっては、古本に定価以上のお金を払うことなど信じられないことかもしれないが、どうしてもその本が読みたい人にとっては、たとえ10倍の価格で売られていたとしても、迷わず買ってしまうものなのである。

ここにプライシングの難しさがある。つまり、いくら開発側、提供側にとって「妥当」な価格であったとしても、それが妥当かどうかは顧客にとって異なるというのが、プライシングを難しくしている要因のひとつである。

さらに悩ましいのが、プライシングが利益に与える影響は大きいという事実である。『プロダクトマネジャーの教科書』の102ページに載っている表では、特定の前提条件の下、価格や販売個数を1%増量した場合、そして原価や固定費を1%削減した場合のそれぞれの利益の変化の割合を比較している。該当の表では、例えば販売個数が1%増量した場合、利益は4.5%増えたのに対して、価格を1%値上げした場合は、利益は10%増えている。

このように、プライシングは事業にとって非常に重要なものであるが、その分、多くの人を悩ませるものでもある。

   

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著者紹介

新井 宏征

SAPジャパンにて、BI関連のソフトウェア導入業務に従事した後、2007年よりシンクタンク勤務後、2013年に独立。主に法人関連分野のコンサルティング業務に従事。主な著書に『スマートグリッドの国際標準と最新動向2012』、『グーグルのグリーン戦略』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『90日変革モデル』などがある。
Facebook上でプロダクトマネジメントのグループも管理している。

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