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第45回 PMオーナーとしてのPMO(2008.03.11)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆PMOの役割

バックナンバーを見直していて、この議論をあまりしていないことに気がついた。しばらく、このテーマを議論してみたい。

このテーマは非常に切り口の多いテーマであるが、正面玄関から入ってみたい。

正面玄関とはどこかというと、オーナーシップである。じつは、この議論、PMOだけではなく、組織全体にかかわる議論なので、PM養成マガジンの方がよいかと思い、PM養成マガジンの144回ではじめてすぐに、挫折した(笑)。

PMO考(1)~プロジェクト&プログラムオフィスの種類

理由はここでかかないが、今回は再チャレンジである。


◆オーナーシップとは何か?

オーナーシップとは何かというのは、上の記事に書いているとおり、その企業における業務活動のルールを作ることのできる権限である。プロジェクトマネジメントのオーナーシップという場合には、プロジェクトマネジメントのルールを作る権限をさす。

日本企業でプロジェクトマネジメントが「画期的な」効果を発揮しない理由の一つは間違いなく、オーナーシップの欠如である。たとえば、皆さんの多くは企業に属しておられると思うが、資材を購入するときに、決められた決済ルールを無視して、勝手に購入する人はいないだろう。なぜ、しないかというと、規則で決まっているので、それを破ることは自身(の評価)にマイナスになると思うからだ。


◆オーナーシップについて考える一つの例

では、プロジェクトマネジメントはどうだろうか?計画を作って承認を得る前に着手することに対して、資材調達で決済前に発注することと同じくらい罪悪感を持っている人がどのくらいいるだろうか?

常識的に考えてみて、20万円のパソコン一台を先行発注するのと、2億のプロジェクトに先行着手するのを比較したら、2億のプロジェクトの方がはるかに影響は大きい。すごく単純化して考えてみても、1か月、5人が無断で仕事をしたとすればその金額は1千万円近いはずだ。

これがオーナーシップがあるかどうかの違いだ。

経理に関しては経理部門がオーナーシップを認知されているので勝手なことはしない。勝手なことをすると組織のガバナンスを維持するために経理部門から何らかの組織的な影響を受けることが分かっているのだ。ところが、プロジェクトマネジメントにはオーナーシップが存在しない企業が多く、仮に決まっているルールを無視したとしても、結局のところ、何も起こらない。


◆オーナーシップの確立がPMOの最重要任務

現実には、これは飛んでもない話である。プロジェクトのマネジメントはキャッシュフローに対して重要な影響を与える。たとえば、計画を明確にしないままでプロジェクトの展開だけでプロジェクト資材を勝手に発注されたら、計画的な財務はできなくなる。SI企業であれば、スケジュールが遅れればクオーターの業績にも影響が出てくる。それだけ考えても、軽い問題であると考えられる合理的な理由はないのだ。

こんな重要な影響があるにも関わらず、多くの企業は、組織のプロジェクトマネジメントと言いながら、実はオーナーシップを明確にしていないのだ。こんな状況で、プロジェクトマネジメント標準をどうすれば守れるかといった議論をすることはナンセンス以外の何物でもない。

PMOの最初の役割は、自らの位置づけをはっきりさせる中で、プロジェクトマネジメントのオーナーシップという概念を明確にし、そのオーナーシップを維持するためのルールと体制を明確にすることにある。

これが本当の意味での、トップの関与する組織のプロジェクトマネジメントの第一歩であり、また、PMOのもっとも重要な役割である。また、プロジェクトマネジメントガバナンス構築の第一歩でもある。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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