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第26回 コラボレーションとプロジェクト(2009.07.06)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


前回、プロジェティスタの活動の説明のためのケースを示した。

◆S氏の行動(ケース)

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このような状況において、Sさんは、商品コンセプトを変えることを提案した。コンセプト開発は、ずっと、「AV機器」として進められてきた。Sさんが提案したのはデジタルデータを持ち運ぶ装置だった。つまり、A社がこの商品で提供するのは、完結したAV機器ではなく、あくまでも、音楽用のデジタルデータを運ぶ端末であり、もっといえば、ハードディスクである。

移動中には、どうにか聴ける程度の性能があればよい。それをほかのAV機器の中に組み込むことによって、音楽を聴ければよいというものだった。

この当時はまだ無かったのだが、ハードとしてはiPodを想像してもらえばよい。

この提案は結局、プロジェクトXでは受け入れられることなく、プロジェクトXは、当初のコンセプト通りに開発フェーズに入っていった。

企画時の開発期間の無理がたたり、結局、開発スケジュールは遅れ、P社の商品が先行して出てしまった。これで、ICオーディオの基本性能と先行で有利に立とうとしていたA社のプロジェクトは終わった。一旦、プロジェクトは中断し、マーケティング部門で、この後の展開を協議することになった。方向性として

・現行で仕様進めて、プロモーションで勝負
・再設計を行い、より高性能の機器に仕様変更

というオプションが真っ先に上がったが、ここで、Sさんがコンセプト会議で行った提案が陽の目を浴びた。

・基本機能は現行の仕様で進めるが、音楽データ携帯端末の機能を付加する

というものだ。これが採用された。

すでに音楽基本機能の開発はほぼ終わっていたため、Sさんはソフトウェアリーダーという立場のままで、プロジェクトリーダーのNさんの下で実質的には、全プロジェクトを取り仕切るような立場になった。

この開発は、今までの開発と少し、勝手が違った。大きな点は2点ある。

ひとつは、音楽データの収納方法である。これまでは、CDという流通メディアでのイメージをそのまま、ICオーディオ上に記録し、再生できるようにするものだった。言ってしまえば、CDチェンジャーの電子版という趣だった。

しかし、音楽データの携帯端末だと考えると、明らかにこれだけでは不十分である。明示的に「検索」を意識する必要がある。では、どのような検索機能を設ければよいかは、A社はもちろん、業界にもノウハウはなく、手探りである。

もう、一つは、再生部のソフトの作りだ。これまでは、完結した装置として、決まったハードウェアの上でよい音で再生できればよかったが、今度は相手はさまざまである。いろいろなハードとの組み合わせでよい音を再生できなくてはならない。

このような状況において、Sさんは「コラボレーション」をキーワードに進めていくことをNさんに提案した。

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◆コラボレーションとは

今回のストーリーはここまでにしよう。ここで、コラボレーションという概念について、簡単に説明しておく。コラボレーションとは、

人々がチーム、社内、社外の人たちと協力して、計画して、問題解決をしながら、計画の実行していくこと

である。コラボレーションはよくコミュニケーションの発展的な活動だと言われるが、この定義から分かるように、コミュニケーションと比較するより、むしろ、(狭い意味の)プロジェクト活動と比較した方がわかりやすいかもしれない。

基本的には同じ活動であるが、根本的な違いは、プロジェクトはクローズな活動であるのに対して、コラボレーションはオープンな活動である。

クローズとオープンの意味はいろいろある。


◆プロジェクトとコラボレーションの違い

まず、物理的に違いがある。プロジェクトでは、プロジェクトチームとそれ以外という関係を作る。プロジェクトとは直接的に成果物の生成に貢献する人である。成果物がものであれば生産する人に他ならない。そして、チームに線を引き、それ以外はできるだけ「排除」することによって、効率よく生産をしようとする。排除した人は、敵に回すとまずいので、「ステークホルダマネジメント」ということで、良好な関係を維持する。

コラボレーションでは、直接、生産に関与しない人も、意志決定者として「巻き込もう」とする。ものすごく単純化してしまえば、プロジェクトで主要ステークホルダという人たちはすべて巻き込む。生産性の定義にもよるが、生産性は下がる。

二つ目はものを考える範囲(問題解決の範囲)の違い。プロジェクトでは、問題に対する解決策をスコープの中で考える。たとえば、市場や顧客からの要求をスコープの中で実現するにはどうするかを考える。どうしてもスコープの中で解決策が見いだせないものについては、その問題を迂回する。あるいは、問題によっては受容する。

コラボレーションでは、目的の中で解決策を考える。もちろん、目的を逸脱するような解決策は排除していくが、目的の範囲に入る場合には何とか実現しようとする。このために必要な人をどんどん巻き込んでいく。これが、一番目に述べたものにつながる。

三番目は能力(個人、チーム)に関する違い。プロジェクトは、能力は制約として考える。つまり、特定の個人が今、発揮できる以上のパフォーマンスを発揮することは考えない。チームとしても同じだ。これに対して、コラボレーションでは、能力は制約として考えずに、可能性(オポチュニティ)として考える。

主立った違いを3つ上げるとすれば、こんなところだと思う。

さて、もう一度、ケースに戻る。プロジェクトXが置かれている状況を考えると、S氏がこの後とるべき道はコラボレーションである。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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