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第4回 「対話(Dialogue)」による役割分担(2008.08.26)

オープンウィル代表 中村 文彦


【役割分担における対話シーン】

リーダー「これから今年度の販売代理店カンファレンス実行委員会の役割分担について話し合いたいと思います。分担については私なりの案はありますが、まずは皆さんの方から希望や意見があれば上げて欲しいと考えています。いかがでしょうか。」

メンバA「過去のアンケートを見ると、ゲスト講師による基調講演とそれに続く当社経営トップ講演が役に立つという声が多いね。特に基調講演の満足度とカンファレンス全体の満足度は相関関係があるようだ。今回も基調講演の企画担当は責任重大だなぁ。」

リーダー「そうですね。現在の代理店を取り巻く経営環境を考慮し、当社の経営トップの方針との整合性も確認しながら進めていく必要があります。基調講演の企画については誰が主担当になるのが良いでしょうね。」

メンバA「ここ三年間はBさんに担当してもらって、アンケート結果も好評だったよね。僕は今年もBさんにお願いするのが妥当だと思うけど、どうだろう。」

メンバB「ありがとうございます。ただ、今後のことを考えると、そろそろ別の方に担当してもらう方が良いと考えているのですが。」

リーダー「誰か推薦する人はいますか。」

メンバB「実は、今回は若手のCくんに担当してもらってはどうだろうかと考えています。彼には事前に私の考えを伝えてあります。ただ     、ふたつ返事という訳にはいきませんでしたが・・・。」
メンバC「たいへん光栄ですし、チャレンジしがいのある役割だと思います。ただ、重責ですので、私に務まるかどうか正直なところ不安があります。何をどう進めて良いかも理解できていませんし・・・。」

メンバB「そこは、私がアシスタント役として関わり、しっかり支援するよ。」

メンバA「そういうことであれば、僕も賛成するよ。Bさんのノウハウも吸収して欲しいしね。」
リーダー「私もなかなか良い案だと思います。Cさん、いかがでしょう。」

メンバC「わかりました。まだ不安はありますが、お引受けしたいと思います。」

   *   *   *   *   *   *   *   *   *

 プロジェクトに対する効率化(スピードアップとコストダウン)に対する強いプレッシャーに対応するために、機械システムのようなプロジェクト体制を構築するプロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーがいます。このようなマネジャーやリーダーは、メンバーを分割し、それぞれの担当範囲に線引きをし、情報を自分に集中させて指示と管理が効率的に行えるようにチームの役割分担を行います。
 このやり方には、メンバーの個々が与えられた仕事の完了のみに没頭すればプロジェクトが成功するという前提があります。確かに、決められたことを決められたとおりに実行すれば目的が達成できるような公式計画型のプロジェクトであれば、このやり方は適切かもしれません。

 しかし、不確実性と複雑性が増しているプロジェクト環境においては、このやり方が失敗要因の一つになることも少なくありません。なぜなら、プロジェクトが進んでいくうちにターゲットが変わってしまうことや、隙間作業や予期もしなかった作業が発生することがあるからです。また、見積もりのバラツキの高い作業においては、当初の決めた役割分担ではメンバーの負荷が偏ってしまうという問題が発生する可能性もあります。
 さらには、この手法でプロジェクトを推進すると、個々のメンバーは隣のメンバーが何をやっているかわからないし、無関心になりがちです。お互いに手伝ったり助け合ったりする文化がチーム内に生まれづらくなるため、隣のメンバーが問題を抱えていても、それを察知できないし、もし察知できても手助けできないという状態になります。つまり、個人に依存したチームとなり、見た目はチームであっても実態は単なる個人集団となってしまいます。

 チームで一体となって仕事を進めることができれば、メンバーに内発的な動機付けを行う有効な「場」が提供されます。お互いの問題を一緒になって悩みながら解決したり、さまざまなことを語り合うことにより目的が明確になり自分で考えながら行動するため自律も高まります。
 個々のメンバーが孤独の中で与えられた作業範囲だけをまっとうしようとするチームでは、このような「場」は生まれません。チームで仕事しながらも個々のメンバーは孤立し、やらされ感が増し、モラールは低下し、最悪の場合はメンタル面などでの健康障害も発生してしまいます。
 チーム活動をする上で最も重要なナレッジは、「助け合い」や「思いやり」といった「感情知」です。このような「感情知」は作業担当が明確に線引きされ分割されたチームからは生まれづらくなります。役割分担は、プロジェクトの環境変化や個々の能力に応じて柔軟に変更される必要があります。プロジェクトの役割分担も仮説と検証で進むのです。
 「感情知」豊かなチームつくりあげるためには、その役割分担は、指示と命令ではなく対話により決めていくことが大切です。「どのような役割があるのか」、「自分は何を担当したいのか」、「自分は何を担当できるのか」、「自分は何を担当することを期待されているのか」、「それぞれの担当領域の間にどんな関係性や曖昧性があるのか」、「誰がどの作業を担当するのが最も良いのか」、「どのように協働し支援し合うか」等を皆で話し合いながら決めていきます。
 このような対話による役割分担により、プロジェクトには次のような効果がもたらされるのです。

 ・自分の役割に対する理解が深まる。
 ・自分の役割に対する責任感が高まる。
 ・各メンバーの役割の関係性を全体として(システム)として把握できる。
 ・役割のモレやダブリを発見できる。
 ・役割分担を調整する際の合意形成が容易になる。

著者紹介

中村 文彦    オープンウィル代表 中小企業診断士

1962年生まれ。明治大学文学部卒。大手食品メーカーの戦略的物流システム開発プロジェクトにプログラマーとして従事した後、営業およびプロジェクトマネジメントを担当。その後、中堅情報サービス企業にて、経営管理全般および組織開発・人材開発を担当し、独立。また、NPO日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)に所属し、各種研究会やPMシンポジウムの企画・運営等のプロジェクトマネジメント推進活動に参加している。
中小企業診断士、経済産業省認定情報処理技術者(プロジェクトマネージャ、上級システムアドミニストレータ)
著書『ITプロジェクを失敗させる方法 〜失敗要因分析と成功への鍵』ソフトリサーチセンター

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