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第17話:コンセプチュアル思考で改善を超える(2015.09.10)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆考えるとは

これまでにやったことがなく、新しいやり方をしなくてはならないことがよくあります。そのときに、どのようにすればよいのでしょうか?知っていること、経験したことであればそのまますればいいわけですが、知らないと「考える」ことが必要になります。

では「考える」にはどうすればよいのでしょうか?そのときにポイントになるのが、抽象的に思考し、具体的な行動に落とすという考え方です。考えるとは物事を抽象的に捉えて、判断や意思決定することだと言っても過言ではありません。


◆抽象的に考えるとは

では、抽象的に考えるとはどういうことでしょうか。

まず、例として自動車事故の例を考えてみましょう。ある見通しのよい道路で雨の日に事故が起こりました。この道はこれまでに何度か事故が起こっており、何か、事故防止の手を打つ必要があるということになりました。

そこで、事故が起こった原因をみると、「スピード超過」、「わき見」、「携帯で写真を撮っていた」、「スリップした」などの原因があることがわかりました。これは具体的な原因ということになりますが、これまでに同じような原因に対する対処はしたことがあってもそれは別の場所の話で、ここでは一から考えていく必要があります。

そこで、一つ一つの原因をつぶすことを考えるとその原因で起こる事故は防止できても他のものは防止できませんので、すべての原因を個別に潰していくことになります。いわゆるモグラたたきです。モグラたたきの問題点はコストが膨らんでしまうことです。ここで考える必要が生まれるわけです。


◆問題を抽象化する

そのためにまず、原因を抽象化し、問題を定義します。抽象化の方法はいろいろありますが、ここでは「乱暴運転」を問題だと考えます。そして、乱暴運転をなくすにはどうすればいいかを考えるわけです。

たとえば、「乱暴運転をすると身の危険を感じる工夫をする」といった解決策を考えます。この解決策を見ても、何のことかわからないと思った人が多いと思います。その通りです。抽象的で何を言っているかよく変わらないわけです。


◆具体的な思考の限界

話は脱線しますが、日本人は、現場・現物・現地主義で、改善にそれによって成長してきたといわれています。確かに日本の現場は素晴らしいものがあります。そしてそこでは、「抽象的であることはダメ」だといわれてきました。

抽象的なことがダメな理由はいくつかに分けられますが、大きな理由は、「あいまいでイメージが全員で共有できないこと」、「行動に結びつかないこと」の2つにあります。だからできるだけ現象やデータで考えようというわけです。

しかし、ここにきてほころびが出てきています。これまでのやり方では新しいものが生まれてこないのです。それは当たり前で、具体的なことをいくら考えても画期的なアイデアは出てきません。抽象的なレベル、言い換えるとコンセプトレベルで考えたときにはじめて新しいものが生まれてきます。


◆抽象的に考えることが問題ではない

つまり、抽象的に考えることが問題なのではなく、抽象的に考えることは必要なのですが、そこで止めておくといわゆる抽象的なのはダメだといわれる状況が起こってきます。そこで、抽象的な答えを具体化するというステップが必要になるわけです。

「乱暴運転をすると身の危険を感じる工夫をする」には具体的に何をすればいいのかを考えてみます。たとえば、スピードを出すと車が振動する仕組みとか、いろいろなアイデアが出てきます。それが有効かどうかはやってみないと分かりませんので、実際にやってみて、うまくなければまた新しい具体的な仕組みを考案するわけです。これが抽象的に考えて具体的に行動するということです。


◆具体だけでは改善以上のアイデアはでない

繰り返していいますが、具体的にだけ考えても改善以上のアイデアは出てきませんし、改善には限界があります。いずれ行き詰ります。

そこで求められるのは「考え抜く」ことです。

すなわち、抽象度を上げて本当にいろいろなこと、いろいろなケースを考えてみることなのです。これがコンセプチュアル思考の基本的な態度だと言えます。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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