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第5話:創造的に意思決定する(2013.08.20)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆KT法

意思決定というとケプナー・トリゴー法(KT法)が一般的な方法だと言ってよいくらい、普及しています。手法の確立が偉人達の行動を取り込んでいるので、当たり前といえば当たり前ですが、その手法は以下のようなものです。

<ステップ1>目的と決定事項
 何のために何を決めたいのかを明らかにする。
<ステップ2>期待する成果=目標
 何を達成すれば決定事項が実現するのかを明らかにする。
<ステップ3>案の選択
 目標を実現するための案を複数挙げ、最適案を選ぶ。
<ステップ4>リスク対策
 最適案を実行する際のリスクを予測し、対策を用意する。
<ステップ5>実行
 選択案を実行に移し、初期の目標を達成する。

ステップの切り方や表現にはバラエティがありますが、どんな意思決定の手法も基本的にはこのステップを踏んでいると考えてもいいと思われます。


◆意思決定とは

これから分かりますように、意思決定は基本的には「選択肢(*)の中から最適な案を選ぶ」ものです。ここで重要なことは意思決定はトレードオフを含むことです。つまり、どの選択肢を選んでも一長一短があり、全員がすべてこれという選択肢はありません。

そこで、評価指標を決めて、できるだけ合理的に(説明できるように)決定をしようとします。それでも合理性を持たせることができない場合には、「決断」といった言い方をすることもあります。要するに主観、直感、といった世界です。

ただし、ここで一つだけ注意しておく必要があるのは、合理性というのは可能性の問題であって、決めたことが正しいかどうかとは別の次元の問題だということです。決定に対して妥当性は評価することができますが、決定が正しかったかどうかは結果でしか判断できません。意思決定をする際にはここをよく認識しておくことが重要です。

*専門用語としては選択肢ではなく代替案ですが、この記事では直感的に分かりやすい選択肢という言葉を使うことにします


◆選択肢から選ぶだけでいいのか

さて、今回議論したいのは、本当にこのような意思決定でよいのかという話です。

まず最初に有名な例を挙げよう。日本企業が高度成長期に安くて壊れないものを作ることができるようになったのは、従来の

・品質レベルを下げてコストを抑える
・コストをかけて品質レベルを上げる

という2つの選択肢を受け入れず、新しい選択肢を考えたからです。日本企業が考え出した新しい選択肢は

・品質を上げることによってコストを下げる

というものでした。品質コストには

予防コスト<評価コスト<不具合回復コスト

という性質があることに注目し、できるだけ前の工程で問題をなくすることによって予防コスト、評価コストで品質をようにして品質コストを下げ、結果として製品コストを下げようとしました。具体的には、最終製品の品質の検査を強化するのではなく、プロセスの品質を上げることによって品質問題の発生を防ぎ、また中間製品の検査によって製品の品質を高め、結果として最終製品の検査のコストを抑えることで、品質コストを削減し、製品コストを下げたわけです。


◆創造的意思決定

このように意思決定をしなくてはならない局面でも、よく考えることによって、第三の選択肢が見つかる場合が少なくありません。意思決定の局面において、与えられた(突き付けられた)選択肢以外の選択肢を創って、意思決定することを創造的意思決定と呼びます。

このような意思決定は名経営者と言われる経営者の意思決定ににはよくみられます。
いくつか、紹介してみましょう。


◆創造的意思決定の例1

一つ目は業績不振のP&Gを立て直した名CEOアラン・ラフリーです。P&Gはさまざまなカテゴリーでシェアを奪われていました。その原因をイノベーションができなくなったからだという人がいれば、スーパーなどの格安プライベートブランドのためだという人もいました。

ラフリーはCEOに就任早々、イノベーションか、コストダウンかという選択肢を突き付けられたわけです。これに対して、ラフリーはゼロベースで前提の見直しを行い、イノベーションの生産性を上げる目的で、イノベーションの半分をアウトソースするという思いきった手を打ちました。

つまり、突き付けられた現実に対して、別の選択肢を創り出したわけです。当然、研究開発部門からイノベーションをアウトソースするなどありえないと大反対がありましたが、ラフリーは押し通して、イノベーションもコストカットも成功し、見事にP&Gの業績を回復させました。


◆創造的意思決定の例2

もう一つ、紹介しましょう。IT系の人ならよく知っているレッドハットのボブ・ヤングです。

レッドハッドはリナックス系のソフトウエアビジネスで世界トップに上り詰めた企業です。当時、ソフトウエアビジネスには、マイクロソフトやオラクルのような独占的ソフトウエアを開発するモデルとフリーソフトウエアを開発するモデルしかありませんでした。

ヤングはどちらのモデルにも満足せず、オープンソースの支持者としてソフトウエアを無料で提供する一方で、独占的ソフトウエアに倣い、サポート提供から収益を上げるビジネスモデルを創り上げ、法人向けのサポートを独占しました。

つまり、独占的とフリーという2つのソフトウエアのビジネスモデルに第三の選択肢である、フリーで提供し、サポートで収益を上げるという選択肢を創り上げたわけです。

この2つの例は現実に突き付けられた選択肢に満足せず、第三の選択肢を創り上げた、見事な創造的意思決定だと言えます。


◆第三の選択肢の創り方

このように第三の選択肢を創るにはどうすればいいのでしょうか?

たとえば、レッドハットの例で考えてみましょう。この例では、ソフトウエアの提供のモデルだったソフトウエアビジネスのモデルの抽象度を上げて、ソフトウエアに関連するサービスとしてとらえています。

その中で、収益を上げる方法はないかを考えたときに、ソフトウエアはフリーで配布し、サポートで収益を上げるという新しいビジネスモデルが生まれてきたものと推察されます。つまり、選択肢を統合して第三の選択肢を創り出すというのはコンセプチュアルなスキルなのです。

経営にしろ、事業にしろ、プロジェクトにしろ、問題が発生した時に対応する選択肢は、過去に実績のある方法が多いと思われます。そして、選択肢の一通りあげたら深追いせずに選択肢を選ぶことに時間をとっているケースが多いようです。

一方で、問題はたいてい、過去のやり方を踏襲したのにうまくいかずに発生していることが多く、このような意思決定はある意味でナンセンスです。選択肢を選ぶことに時間をかけるくらいなら、選択肢を創ることに時間をかけた方が現実的であり、よい答えが得られる可能性が高くなります。

その意味で、意思決定をする立場にある人は、コンセプチュアルスキルを身につけ、意思決定を創造的な方向性に持っていくべきです。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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