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第2回 プロジェクトにおけるコンセプトの位置づけ(2017.09.12)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


第1回から続く)
◆プロジェクトにおけるコンセプトの位置づけ

このような過程の中で求められるのは、プロジェクト課題をどのように解決するかを多少抽象的なレベルで考えておき、プロジェクトの進行の中で具体化していくことである。

プロジェクトは、ビジョンの実現、あるいは戦略実行のために行われる。これがスタートである。そこでプロジェクトで何をすべきかが決まるが、ここではこれを「プロジェクト課題」と呼ぶ。つまり、ビジョンや戦略実現するために、そのプロジェクトに与えられる課題がプロジェクト課題である。

そして、課題に対して具体的な答えを出さないで、どういう方向性でプロジェクトで課題解決をしていくかを抽象的に示す。これが「コンセプト」である。詳しくは後で述べるが、プロジェクト課題を解決するための本質であり、プロジェクトはコンセプトを中心にして遂行される。

さらに、コンセプトを実現するためにプロジェクトを実行するが、その際にはよく知られているように、プロジェクトを行う目的を明確にする。そのプロジェクトを何のために行うのか、コンセプトを中心にしていえばコンセプトを実現するのは何のためかということを明確にする。そして、その目的が達成できたと言えるには、どのような指標をクリアできればよいかを明確にする。これが目標である。

このようにコンセプトは、プロジェクト課題を解決するプロジェクトの中核に来るものである。この流れを、第1回で示した通販会社の戦略実行の例について考えてみよう。

まず、「ロイヤルカスタマー戦略のテコ入れによる収益向上」という戦略が打ち出され、その実行の一環として「ロイヤルカスタマーへの働きかけをするこれまでにはない仕組みの構築」を行うことになった。これがプロジェクト課題である。このプロジェクト課題の解決コンセプトとして、「ロイヤルカスタマーむけのロイヤルティ制度の導入」を掲げたとしよう。

次に、このコンセプトに基づいて、プロジェクトとしての目的を決定する。たとえば、「ビジネスの仕組みへの参加によるロイヤルカスタマーのコミットメントの向上」だとしよう。そして目的を達成するための目標としては、「アフェリエイトへの参加率10%のシステム化」、「配送への参加率1%のシステム化」などに決定した。


◆プロジェクト課題解決におけるコンセプトの役割

以上のような構造の中で、コンセプトはどのような役割を果たしているのかを深堀しておこう。まず、コンセプトのイメージを明確にする。コンセプトとは簡単にいえば、プロジェクトでやりたいことの包括的なイメージであるが、もう少し詳しく考えてみよう。

上でも述べたようにコンセプトはプロジェクト課題の解決方法の本質を表す。と、同時にプロジェクトの進め方全体を表している。

これは少し複雑であるが、コンセプトの本質でもあるので、理解しておきたい。コンセプトを概念と言い換えると、概念とは何かの「本質をとらえる思考の形式」であり、事象に対して、抽象あるいは捨象が必要になる。

捨象という言葉はあまり耳にしないかもしれないが、ものごとからある要素・側面・性質を抽象するとき、他の要素・側面・性質を度外視することである。抽象化するときには、多くの場合抽象をするだけではなく、同時に捨象をしている。

たとえば、「1人のさわやかで素直そうな若者がいる」を「1人のさわやかな若者がいる」と抽象化したとする。この場合、抽象としては「1人の」「さわやかな」を取り出しているが、一方で、「素直そうな」を捨象していることになる。

さらに、概念には「抽象概念」と「具体概念」がある。抽象概念とは、「ある性質や関係を,その基体である個々の事物から離れてそれ自体として指示する概念」のことである。例えば,「人間性」とか、「さわやか」などがそうだ。

これに対して、具体概念とは「事物のあらゆる面、他物との関連を明らかにして事物を全体的にとらえる概念」である。たとえば、「人間」、「さわやかな人」などだ。

このように考えたときに、コンセプトにしたいものは、具体概念である。具体概念は本質をとらえているので、コンセプトは本質をとらえているといえるわけだ。ここはコンセプトを作る際にポイントになるのでよく覚えておいて欲しい。

この定義から分かるように、プロジェクト課題の解決コンセプトによってプロジェクトの遂行は本質を表されると同時に、プロジェクトのあらゆる面(目的や目標など)、ステークホルダーや他のプロジェクトとの関連を明らかにしてプロジェクトを全体的にとらえることができる。

従って、コンセプトをステークホルダーに伝えることにより、プロジェクトのイメージを明確にし、協力を引き出す役割を果たすと同時に、チームメンバーに対して何をすべきかを共有するための第一歩になる。

このようなイメージでコンセプトを実現することにより、つまり、目的や目標をコンセプトから決め、そして、プロジェクトを実行していくで、ステークホルダーやチームメンバーを動かし、プロジェクトの目的の実現や目標の達成という成果が得られることになる。

それでは、プロジェクト課題に対して、誰がどのような役割を果たすかを明確にしておく。まず、ビジョンや戦略の策定は基本的に経営層の役割であり、プロジェクトとしてはそれを前提に企画され、実行される。

そして、戦略実行のための課題をプロジェクト課題として上位管理者が、プロジェクトに与える。上位管理者はプロジェクト課題を与えると同時に、プロジェクトマネジャーを決める。プロジェクトマネジャーはプロジェクト課題を受けて、解決コンセプトを考案するというのが一般的である。そして、コンセプトに併せて目的を決める。

PMBOK(R)では、ここまでがプロジェクトスポンサーと呼ばれるプロジェクトの上位管理者の役割だとされているが、現実にはプロジェクトマネジャーが実行責任を持つことが多い。
(続く)

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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