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リーダーがビジネスを進めていくために必要なビジネスナレッジの3つめとして、技術ポートフォリオ、技術ライフサイクルを解説しています

第8話:ポートフォリオ(2)~技術ポートフォリオ(2014.02.15)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆技術ポートフォリオとは

前回はポートフォリオの原理についてお話しました。もともと株式の世界の手法をビジネスに持ち込んで有効に使えていることからも分かるのに、ポートフォリオの原理は相当に汎用的なものです。かつ素晴らしいのは、抽象的なようで、実は原理そのものはシンプルで使い易いものになっています。

そのため、多くの分野でポートフォリオは活用されています。このシリーズではいくつか紹介しようと思いますが、まずは、R&Dや技術戦略でよく使われる技術ポートフォリオを紹介しましょう。


技術ポートフォリオは技術戦略を策定するために作るポートフォリオです。いくつかのパターンがありますが、もっとも一般的なパターンは、技術の成熟度と自社の技術力を軸にとるものです。

前回紹介しましたボスコンのPPMの市場成長率と市場占有率という指標も「世の中の状況」と「自社の状況」を比較して戦略を決めますが、これと同じ発想です。


◆技術ライフサイクル(横軸)

技術の成熟度は、技術ライフサイクルのどこにいる技術かというものです。一般的に技術のライフサイクルは

(1)揺籃期(生まれる)
  技術のユーザの求める機能は不明確であり、多くの考え方が提唱される
(2)成長期(育つ)
  ドミナントデザインが確立され、技術に対して共通したイメージが生まれる
(3)成熟期(働く)
  技術のユーザは技術の効用を重視
(4)衰退期(衰える)
  技術のユーザはその技術に投資をしなくなる

の4つに分けることができます。生まれてから消えていくまでのライフサイクルです。


◆技術力(縦軸)

一方で自社の技術力は

(a)優勢
・技術開発の方向と速度を制御できる
・他社の目標にされる
・技術の新しい方向付けができ,広範囲な選択が可能
(b)強い
・自社の事業において技術が主要成功要因になっている
・競合他社の戦略に影響されず,自社の技術の活用を考えられる
(c)普通
・戦略を誤らなければかなりの力が発揮できる
(d)弱い
・事業における競争力は持つが,技術が源泉にはならない
・競合に技術的脅威を与えられない
(e)劣勢
・現状のままでは生き残れない

といったふうに5つのレベルに分けるのが普通です。


◆技術戦略を決める

この2軸を組み合わせると20のゾーンができます。このゾーンごと、あるいはいくつかのゾーンをまとめて戦略を決めることができます。たとえば、

・成長期にある技術で自社の優位性が高い技術には重点的に投資する
・成熟期の技術で自社の優位性が低い技術は調達する

といった感じです。

バブルチャートを作るのであれば、もう一つバブルの大きさを指標として作ることができます。ここには、たとえば事業への貢献度を入れるともう少し精緻な戦略を作ることができます。たとえば上の例で、成熟期の技術で自社の優位性が低い技術であってもさまざまな製品に使っていて事業貢献が多い場合には、改めてその技術を強化するという戦略もあり得ます。


◆重要性分析から技術戦略を決める行うポートフォリオ

このほかにも、軸として技術ライフサイクルの代わりに技術の重要性をとるポートフォリオもよく使われます。これは、重要性として

(1)基盤技術
 事業を実施するためには不可欠な技術
(2)戦略技術
 戦略を実行するのに重大な影響を与える可能性のある技術
(3)未確立技術
 成果に貢献する期待はあるが,実現できるかどうか分からない技術
(4)途上技術
 技術としての方向性は定まっているが,まだ,開発途上の技術

という技術分類をとって自社の技術的優位性を勘案しながら、技術戦略を決めていきます。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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