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第87回 WinWinコミュニケーションシート(2)〜共通点を見つけるために聴く(2016/06/03)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代

◆WinWinコミュニケーションシート(2)

前回は、顧客を含めたステークホルダーとコミュニケーション、特に何かを交渉する場合、誰の成果を考えるのかによって、回避、恩恵、支配、妥協、統合の5つの手法があることを述べました。

  PMの道具箱(86)
    WinWinコミュニケーションシート(1)〜対立解消の交渉手法

ステークホルダーとの交渉においては、できるだけ、相手の成果、自分の成果を共に高くするために、『統合』の手法を使います。

相手と自分の間にある全体の成果をどちらかが100%取得するのでもなく、半分ずつにするのでもなく、間にある成果、つまり、全体の成果を大きくすることで、相手の成果も自分の成果も上げるためのコミュニケーションを考えます。

以前、PMstyleセミナーをご受講された方が、システム構築後の保守契約での金額交渉において、ベンダーさんから、まさしく、統合タイプのコミュニケーションを受けたことがあるとのお話をされていました。

そのベンダーさんとは初めての保守契約であり、他のベンダーさんと比べ、2〜3割高額であり、交渉が難航していたそうです。
営業の担当者が何回も変わった後に、最後に来られた営業の方は、開口一番、

「私は、○○さん(顧客名)が大好きです。○○さんの評判をもっともっと上げたいと思っています。」

とおっしゃったそうです。そして、そこから、お互いの成果を尊重した話合いが始まったそうです。

今までの営業の方は、自社のシステム保守のレベルの高さ、担当者のスキル、契約金額の妥当性など、自分の成果(高金額)を得るためのアピールをし続けていたため、最後に来られた営業の方とは、話を聞く自分の態度が、ころっと変わってしまった、とおっしゃっていました。
つまり、お互いは味方、仲間であり、同じ目的に向かって協力しあう関係との認識ができたわけです。

毎回、「大好きです」とのキラーワードを使うわけにもいきませんので、双方の成果を考えるWinWinのコミュニケーションをどのように進めていくかを、WinWinコミュニケーションシートで見ていきましょう。

例として、顧客のA氏から設計の終わった部分への仕様変更依頼があり、その話し合いをしているとしましょう。まず、相手の立場を理解するから、始まります。

WinWinコミュニケーションシート
─┬─────────────┬─────────────────────
 │アクション        │例:A氏からの仕様変更依頼
─┼─────────────┼─────────────────────
1│相手の立場を理解する   │A氏が誰の意見を代表して、仕様変更を依頼し
 │             │ているかを考える。
 │             │ユーザ部門の総合的な意見らしい。
─┼─────────────┼─────────────────────
2│対立の先にある共通の利益を│自分は今のままの仕様の方が顧客にもメリット
 │見つける         │があると思うが、使ってみないとメリットが出
 │             │てこない。A氏もそのようにかがえているはず
─┼─────────────┼─────────────────────
3│相手の利益を引き出す質問を│「この仕様をどのように変えると、喜んで使っ
 │する           │てもらえるのでしょうか?」
─┼─────────────┼─────────────────────
4│共通の利益を見極める   │A氏から「ユーザが納得して使うようになれば
 │             │今の仕様でOK」との回答。双方のメリットで
 │             │ある
─┼─────────────┼─────────────────────
5│共通の利益の基づく課題解決│十分なトレーニングと立ち上げ期間のユーザ
 │策を提案する       │サポートを行えば、今の仕様の方が良い。
 │             │その費用は、持っても良いとの回答あり
─┴─────────────┴─────────────────────

お互いの成果を上げるためには、共通の利益を見つけるのが、重要ですね。
そのために、現在、成果・利益が相反しているのであれば、その相反している部分・条件だけではなく、もう少し、広い範囲で考えることが不可欠です。

第83回 ステークホルダーバランスシート:ステークホルダーとの関係性構築


でも取り上げましたように、ステークホルダーとの話し合いでは、相違点を見つけるために話を聴くのではなく、共通点を見つけるために聴きましょう。

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6.まとめ
 ・(演習6)カレンシーを再考する
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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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