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第2回 第1の特徴〜ステークホルダの期待を把握するのがうまい(2013/03/12)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆要求と期待

どんな分野にしろ、要求はプロジェクトマネジャーを悩ます元凶である。ITであれば顧客の要求、商品開発であれば市場やユーザの要求に応えることがプロジェクト成功に秘訣と考えてしまう。

センスのいいプロジェクトマネジャーはそうは考えない。顧客の要求ではなく、顧客の期待に応えようとする。

要求と期待は同じではないかと思うかもしれないが、そうではない。顧客の要求は、こういう機能を作ってほしいとか、こういう性能にしてほしいとか、こういう使い勝手にしてほしいといったことである。

しかし、顧客にとってもっとも重要なことは機能や性能ではなく、その先にある。そう、その機能や性能によって起こることだ。たとえば、CRMのシステムであれば、CRMのシステムを使うことによってリピート率が○○%上がるといったことだ。たとえば、エアコンであればワット数ではない。早く斑なく部屋を冷やしたり、温めたりすることだ。これが顧客がその製品や商品に期待するものだ。

厄介なのは、要求は同じでも期待は顧客によって違うし、ユーザによっても違うことだ。その中で、その顧客の期待を把握し、応える必要がある。特に、顧客の誰、どのようなユーザに応えればよいかを把握し、その人たちに応える。ここがセンスのよいプロジェクトマネジャーの真骨頂である。

◆複数の期待

さらにいえばプロジェクトに期待を持っているのは顧客だけではない。プロジェクトの厄介なことは、利害関係の対立するかもしれない複数のステークホルダがいることだ。いくら顧客の期待に応えようとしても、コスト的な理由で上位管理者はそれを望まないかもしれない。そのような場合、顧客と上位管理者の両方の要求に応えなくてはならない。

そのためには、センスのよいプロジェクトマネジャーは上位者についても要求だけではなく期待を明確に把握する。コストダウンを要求しているが、その背後にはこのプロジェクトについて事業部長の○○さんにいい顔をしたいと考えている。コストダウンを言っているのは○○事業部長がコストにうるさいからだ。事業部長に評価されたいというのが期待だ。そして事業部長は、コストはもちろんだが、自分の任期中のトータルの売上が役員になれるかどうかの分かれ目だと思っている。

このようにセンスのよいプロジェクトマネジャーはステークホルダの期待を把握するのがうまい。

◆期待が問題解決の範囲を広げる

と同時に、ステークホルダの期待に応える行動をすることもできる。

期待を把握できると、コンフリクトがあっても、要求の場合よりは問題解決の手段の範囲が広くなる。上の例だと、要求に対応しようとするとコストを抑えて顧客の追加要求に応えなくてはならないということになる。

期待に注目すると、事業部長の評価を得て顧客の期待に応えるという範囲で考えることができる。たとえば、コストが多少オーバーしても今回のプロジェクトの付帯開発の受注の内示が取れればよいとか、製品原価が上がっても売値を上げるだけのユーザの期待に応えることができればよいといった風だ。微妙な違いだが、この違いは大きい。

◆期待に応えるために

期待に応えるためには、要求をマネジメントすることが必要である。

つまり、期待と要求の関係をマネジメントし、なぜ、そのような要求をするのかを把握する必要がある。なおかつ、要求に変更があった際にはそれがどの程度、期待に影響を与えるものかを判断する。

その上で、期待への影響が大きい場合には要求に対応する。あるいは期待に同じような影響を与える異なる方法を考え出すことができるのがセンスのよいプロジェクトマネジャーである。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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