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第87話:学習について考える(1)(2014/06/20)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆はじめに

2009年から書いているPMスタイル考で逃げてきたテーマがあります。それが学習です。非常に広いテーマで、切り口も多様ですので、PMスタイル考で原則としている1回読み切りで書けるテーマではないから避けてきたという事情があります。

ただ、この数年日本でも急に学習への関心が高まっており、そろそろ、書いてみようかと思ったわけが、書くにあたって1回読み切りという原則を止めることにしました。

ビジネスの場で学習すべきなのは、人と組織です。


◆ピーター・センゲの「学習する組織」

ビジネスの場に学習という言葉を持ち込んだのは、組織学習協会(SoL)創設者のピーター・センゲです。ピーター・センゲは「学習する組織」という概念を提唱しました。

これは

目的に向けて効果的に行動するために集団としての気づきと能力を継続的に高める組織

と定義される組織です。センゲが学習する組織を提唱したのは、1994年に出版された「The Fifth Discipline」という本で、日本でも1995年に

「最強組織の法則」(徳間書店)

として出版されています。この本で説かれているのは、システム思考を基盤としながら、個人とチームが効果的に変化を創り出す力を伸ばしていく方法です。そのためには5つの原則(ディシプリン)が必要だといっています(原題が、「The Fifth Discipline」となっているのはそういう意味です)。

1.自己マスタリー
2.メンタルモデル
3.共有ビジョン
4.チーム学習
5.システム思考

の5つです。それぞれがどういうものかは、別の機会に紹介します。

センゲの定義から分かるように、学習は目的に向けての行動が対象となります。つまり、組織学習の基本単位は目的を達成するためのチームです。日本では当時はチームという考え方があまりなく、学習する組織に対する注目も低かったように思います。

というよりも、むしろ、目的を明確にして仕事をするという習慣があまりなかったのかもしれません。


◆日本における組織学習はTQC

では、当時、日本企業には組織学習という概念がなかったのかというとそうでもありません。前回紹介しました「パラダイムの魔力」を書いたジョエル・バーカーが20世紀最大のパラダイムシフトと称し、エズラ・F. ヴォーゲルが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といったTQCです。センゲの学習する組織より20年近く前の1970年代に考えました。

TQCは品質マネジメントのシステムですが、それまでのできるだけロットを大きくしてコストを下げるという発想から、必要なものを必要なだけ作るという発想に転換したものです。その中で、人に関しては、従来は

・上からの命令に従えばよい。命令系統が下にいくほど考える必要はなくなる。
・監督者の仕事は、頭を使い、部下を休ませないことである。従業員の仕事は、休みなく働き、頭を使わないことである

という考え方でしたが、TQMでは

現場の人間に一番の知恵がある。監督は、現場の知恵を利用して、従業員と力を合わせて問題を解決していかなくてはならない

という考え方に変わりました。

つまり、TQMでは仕組みの変化とともに、組織学習を取り入れているのです。この根底にあるのは、いうまでもなく「カイゼン(継続的改善)」です。カイゼンでは常に問題を探し、見つかった問題はすぐに解決し、やり方を変えるという方法で従業員の能力を向上します。


◆視える化と知識創造

同時に、カイゼンのTQCのもう一つの柱が視える化です。仕組みの視える化は状況を明確にし、データによる問題発見を可能にします。一方で、問題解決において、人の持つ知恵を視える化します。いわゆる、知識創造です。

知識創造については、野中幾次郎先生が提唱されたSECIモデルが有名です。SECIモデルでは、

(1)共同化:直接経験を通じて暗黙知を共有する
(2)表出化:対話や思考を通じて、暗黙知を形式化する
(3)結合化:形式知の組み合わせにより知識を創造する
(4)内面化:形式知の行動・実践レベルでの伝達、新たな暗黙知ができる

という流れで、暗黙知を形式化し問題解決に活用し、さらに新しい知識を得ていきます。

センゲの提唱する学習する組織もそうですが、チームでの学習は、個人が個別に学習しては到底達成し得ないような高度なレベルでの学習を可能にします。SECIモデルはそのようなチーム(組織)による学習を実現するモデルになっています。


◆経験学習

知識創造にも、学習する組織でも深いテーマになっているのが、経験の取り扱いです。
ある意味で学習という問題の本質は失敗、成功問わず、如何に経験から学ぶかということです。

これについては、1980年代に体系化されたデービット・コルブの経験学習モデルを知っておく必要があります。このモデルは経験による学習は以下のステップから起こるというものです。

(1)経験(具体的な経験)
 新しい経験に関わることへの開放性や自発性
(2)振返(省察的観察)
 これらの新しい経験をさまざまな視座・視点から見ることのできる観察と振り返りの能力
(3)教訓(抽象的概念化)
 この経験から統合的な考えや概念を生み出すことのできる分析的能力
(4)適応(実践的試み)
 これらの新しい考えや概念を実際の実践に使うことのできる決断や問題解決のスキル

以上、初回は組織の学習に関する流れを整理してみました。次回から、それぞれの手法を詳しく説明すると同時に、どのように実現されているかを見ていきたいと思います。

ピーター・センゲ(枝廣 淳子、小田 理一郎、中小路 佳代子訳)
学習する組織――システム思考で未来を創造する」英治出版(2011)

ジョエル・バーカー(内田 和成序文、仁平 和夫訳)
【新装版】パラダイムの魔力〜成功を約束する創造的未来の発見法」、日経BP社(2014)


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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