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第81話:プロジェクト・イニシアチブ(2014/03/24)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆イニシアチブという言葉の意味

今回のPMスタイル考は「プロジェクト・イニシアチブ」について考えてみたいと思います。

イニシアチブという言葉はよく聞くようで、「どういう意味?」と尋ねられると説明しにくい概念です。

日本語では「主導権」という言葉がよくあてられます。

・イニシアチブをとる
・イニシアチブを握る

という使い方をするときにはこの意味合いが多いようです。この場合の主導は、牽引、率先、自発といったニュアンスが含まれています。もう少し一般的にいえば、「自ら責任を持った行動」というニュアンスが含まれます。

自らの責任という意味でイニシアチブという言葉が使われているのが政治の世界です。

政治の用語としてのイニシアチブは、一定数以上の国民ないしは自治体の住民が立法あるいは法令の改廃に関する提案を行うことができる制度を意味します。


◆マネジメントの分野でのイニシアチブ

マネジメントの中では、「推進」とか、「推進努力」という意味でつかわれることが多いようです。たとえば、「戦略マネジメント」で、戦略実行のために戦略目標を設定し、目標を達成していく活動を「戦略的イニシアチブ」と呼びます。

エム・アンド・ティでは「イノベーション・イニシアチブ」というメルマガを発行しています。イノベーションでイニシアチブという言葉を使うときには基本的に推進という意味ですが、「新しいことの推進」といったニュアンスも含まれます。

このようにイニシアチブという言葉は微妙に異なるいろいろな意味で使われていますが、共通するのは「自発的」だということです。ここが大切なポイントです。


◆プロジェクトとは

さて、ではプロジェクトとは何でしょうか?新製品開発プロジェクト、情報システム開発プロジェクト、建築プロジェクト、イノベーションプロジェクト、組織開発プロジェクトなどいろいろなプロジェクトがあります。プロジェクトマネジメントの教科書を見ると、プロジェクトとは

新規性と不確実性がある有期の活動

という説明がされています。狭い意味でいえばこういう仕事の一つ一つがプロジェクトということになります。もう少し広くいえば、プロジェクトとは事業そのものだと考えてもいいでしょう。


◆自発的に社会を牽引するプロジェクト

そこで、プロジェクトとイニシアチブという言葉を併せてみると

プロジェクト・イニシアチブとは会社や社会を牽引していくプロジェクトが自発的に生み出され、実行されること

という意味になります。これをプロジェクト・イニシアチブの定義としたいと思います。プロジェクトイニシアチブというとすぐに思い浮かぶのがプロジェクトXです。

プロジェクトXはNHKが2000年から放映した社会やいろいろな企業におけるプロジェクト・イニシアチブを描いたテレビ番組です。不可能だと思われるようなことにも、その社会的な意義をよりどころにして挑戦する姿勢に感動することが多い人気番組です。

放映時期の関係もあるのでしょうが、プロジェクトXで扱われた多くのプロジェクトは20世紀のプロジェクトです。実際に21世紀になってからプロジェクトXのネタになりそうなプロジェクトというのを考えてみると、そんなに思い浮かぶものがありません。残念ながら21世紀になってからプロジェクト・イニシアチブが姿をひそめているのではないかと思われます。

イノベーションの議論を日本人や日本の企業に創造性があるという主張の証拠として引き合いに出されるプロジェクトはほぼ20世紀のプロジェクトです。失われた20年はプロジェクトはあっても、プロジェクト・イニシアチブはない20年だったといってよいでしょう。


◆プロジェクトマネジメントの意義

少し話が脱線しますが、失われた20年の間に日本でもプロジェクトマネジメントが確立されてきました。これがプロジェクト・イニシアチブの消失に拍車をかけた面もあると思われます。プロジェクトマネジメントの普及活動をしている人の中には、「プロジェクトXにしない」というキャッチフレーズを掲げる人もいました。

プロジェクトマネジメントの意義は2つあります。一つはプロジェクトを失敗しないようにすることです。失敗させないことに重きを置く人たちを「失敗させない派」と呼ぶことにします。もう一つはプロジェクトを成功させることです。こちらの重きを置く人たちを「成功させる派」と呼ぶことにしましょう。

失敗させない派はプロジェクトの成功の定義を目標達成だとします。多くの場合、成果物目標に対して、設定したQCDの目標を達成することです。失敗させない派の常套手段は失敗しない目標を設定することです。

成功させる派はプロジェクトの成功の定義を目的実現だとします。目的実現のためには、できる目標を設定するのでは不十分です。できない「かもしれない」目標を設定し、少しでも目的実現に近づく必要があります。つまり、リスクをとる必要があるわけですが、そのためにはプロジェクトの社会的意義が不可欠です。

プロジェクトXで紹介しているプロジェクトはそのようなものばかりです。


◆プロジェクト・イニシアチブのポイントは自発性

問題はいかにリスクをとり得るかです。

たとえば、あなたの担当している製品開発を思い浮かべてみてください。経営者が求めるのはその製品を売ることによって利益が上げることです。管理者が求めるのは売れそうな製品が出来上がることです。

しかし、プロジェクトにはそれ以外のミッションがあります。それは社会に貢献することです。言い換えると、人々の生活や仕事を素晴らしい方向に変える製品にすることです。それが、結果的に売れる製品、儲かる製品になるわけです。

このとき、経営者や管理者は社会貢献の部分は指示しません。ルール、権限、職責などに縛られていると、社会貢献は難しくなります。そこでプロジェクトが自発的に考えていく必要があるわけです。

つまり、プロジェクト・イニシアチブなのです。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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