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第71話:守破離の壁(2013/09/24)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆守破離

日本の企業は欧米からさまざまな手法を取り入れています。この是非に対する議論はあると思いますが、それは

「借りる」をやめる(プロジェクトの補助線ブログより)

を読んでもらうとして、この記事では少し違う視点からこの問題を考えてみたいと思います。それは、手法適用の「質」の問題です。

日本人は守破離という考え方があるように、型から入ることを得意にしています。まず、型を覚え、次にそれを磨いていく。そして、やがては型を破り、自分のものにしていくというプロセスを通じて質を上げていきます。

実際に技術においては守破離の実践で、欧米の技術を取り入れ、それを磨き、独自性のある技術に進化させ、それによって欧米ではできない製品を提供してきました。これが日本の成長の原動力になってきたことは間違いありません。


◆守破離が通用しなかったソフトウエア

この構図が崩れてきたのは、情報技術です。

情報技術においても同じような展開を目指してきましたが、これまでの機械、電子などの分野のようにうまくは行きませんでした。残念なことに、インフラになるOSやネットワーク、データベースでは、日本の独自性のある技術はほとんど見ることができません。

アプリケーションにおいても同様です。欧米で生まれた技術を活用することが精いっぱいな状況が続いています。たとえば、携帯電話のように一時期、インフラを提供していた分野もありますが、世界進出には失敗しており、国内での発展にとどまり、今や存続の危機に瀕しています。


◆ソフトウエアには守破離は通用しない

では、なぜ、情報技術では構図が崩れてきたのでしょうか?このような大きな現象ですので原因はいろいろとあるのでしょうが、その中で大きなポイントになっているのが「ソフトウエア」、あるいは、「デジタル」ではないかと思います。

僕自身、いくつかのソフトウエアのビジネスに関与してきましたが、残念ながら日本人はソフトウエアに弱いと言う印象をもっています。その原因を考えると以下のようなことがいえるように思います。

ハードウエアは具現性のあるものです。機械であれば目に見える機構どおりに動きます。従って、実際に作ってみながら新しいものを探求していけます。

ところがソフトウエアはそうはいきません。プロトタイプを作ってみて動かしてみることはできますが、そのためにはまず、アイデアを作り、それを目に見えないソフトウエアとして実現していく必要があります。

ハードウエアのようにモックアップをさわりながら考えるとか、試作品をさわりながら考える、そして擦りあわせて新しいものを作っていくということができないのです。

つまり、ここにコンセプチュアルワークが必要になってきます。


◆物理法則にしばられないソフトウエアではコンセプトがすべて

このハードウエアとソフトウエアの違いは大きな違いではないように見えて実はとても大きな違いです。ハードウエアは物理法則に支配されます。つまり、何かを実現するには多くの制約があり、コンセプトもある程度、その制約に縛られます。

新しさはむしろ、その制約をどのようにクリアしていくかで生まれてきます。たとえば、ソニーが得意にしていた小型化などがその典型です。

ところがソフトウエアは自由に絵が描けます。つまり、コンセプトがなによりも重要な世界ですが、コンセプトを創らず、欧米から導入してきたコンセプトや技術を制約としてシステムを作っている現実があります。言い換えると、ソフトウエアをハードウエアとして扱ってきたわけです。

これは、守破離という考え方ができた能の世界と類似性があります。能はソフトウエアです。ところが、型を作ることによってソフトウエアを一旦ハード化し、守破離というプロセスを通じてもう一度、ソフトウエアとして創り上げていくというやり方をしています。

日本人の優れた仕事の特徴は、コンセプトから入るのではなく、具体から入り、それを極めていき、最後にはコンセプトにまで昇華させることにあります。これが、守破離のプロセスです。これまでうまく行ったのはこのプロセスが確立されていたからだと思われますが、ソフトウエアで通用しなかった別の一面として、守を突破できるだけの時間がとれていないことを上げることができるでしょう。型から入って、一生懸命、マスターし、自分たちの独自のものに変えていく前に、すでにその技術は古くなってことが少なくありません。


◆マネジメントにおける問題

さて、話は変わって、ソフトウエアより、より概念性の高いマネジメントにおいても同じ問題が発生しています。ソフトウエアの場合技術を背景にしていますので、守のレベルでは技術をそのまま受け入れてスキルアップしていけばいいわけです。上に述べたように実際にそのようにしています。

しかし、マネジメントは少し事情が違います。文化が背景になっていますので、そのまま受けいれても活用の質は上がっていきません。守破離の守の入り口のところでうろうろして、当然、あまり効果がでませんでの、導入を諦めるということを繰り返しています。

たとえば、プロジェクトマネジメントがそうです。21世紀になってから多くの企業がプロジェクトマネジメントを導入しています。形はかなりできていますが、質にもどかしさを感じている人が少なくありません。たとえば、有効な計画ができないとか、質の高いプロジェクト定義ができないといった問題を口にする人が少なくありません。

そろそろ、守を究めたいところです。


◆質を上げるには

そこでは二つのアプローチがあるように思います。ひとつは、文化を欧米に併せてしまうことです。プロジェクトマネジメントであれば、組織や業務の運用方針を欧米に併せてしまえば、欧米のやり方がそのまま適用できるようになります。そして、グローバル化を追い風にしてこのアプローチをしている企業があります。

しかし、これは現実には難しいものがあります。ルールを変えるのは簡単ですが、人の考えはそう簡単には変わらないからです。従って、会計制度のような制度的なもの以外ではこのアプローチは現実的ではありません。

そこで、考えられるのがもう一つのアプローチで、日本流に適用していく方法です。ここで考えなくてはならないのは、グローバルの時代ですので、その方法が日本だけの方法であってはならないことです。つまり、ガラパゴスではなく、本質を維持しながら日本流にしていくことが必要です。

そのためには、何が必要か。コンセプチュアルスキルなのです。本質を見極め、一旦抽象化し、それを自分たちの考え方や文化に合うように具体化し、実行していくことが求められます。


◆本質を見極め、文化に合うように具体化する

たとえば、プロジェクトマネジメントの例でいえば、PMBOK(R)は一応抽象化された手法になっていますので、これに自分たちのやり方を照らし合わせ、PMBOK(R)の具体化として説明できればそのままでOKですし、説明できなければ自分たちのやり方を改めればいいわけです。このように考えることによって、文化と実践を切り離すことができます。

ところが、コンセプチュアルスキルがないと、PMBOK(R)と自分たちのやり方の関係が見えませんし、PMBOK(R)を具体的な方法に落とし込むことができません。つまり、PMBOK(R)の適用の質を上げることができないわけです。

プロジェクトマネジメントに限らず、マネジメントでは手法導入の質の壁になっているのがコンセプチュアルスキルであることは珍しくありません。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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