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第68話:「してもよい」から「すべき」へ(2013/06/05)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆「やってもよい」シンドローム

昨年一度顕在化して問題になった、復興予算の別用途への流用が再び問題として顕在化してきました。この問題のやっかいなところは、法律的には問題はないことです。つまり、「やってもよい」ことをやっているだけだというわけです。

ところが多くの人は、このニュースを見て怒っています。法律上問題がないのが、余計、腹立たしいのかもしれません。

そこで、官僚はけしからんとなるわけですが、この問題、結構、民間の企業でもやっていることです。予算流用問題を少し抽象化して考えると、

「やってもよい」範囲で必要な事業を進める

ということをやっています。この問題と、いま盛んに議論されている消費税増税の際に大きな小売業が小さなメーカなどに消費税を転嫁するという行動とどこが違うのでしょうか?この行動も法律的には「やってもよい」ことです。つまり、大手小売業も

「やってもよい」範囲でやりたい事業を進めている

だけなのです。この大手小売業の行動にも違和感を感じている人は多いでしょう。なぜでしょうか?立場の弱いものをいじめているように見えることに違和感を感じているのでしょうか?


◆「何をするか」から「どのようにするか」に

2007年にダウ・シードマンというビジネス思想家が、「HOW - Why HOW We Do Anything Means Everything」という本を出して、世界中でベストセラーになりました。日本では、今年、増補版が「人として正しいことを」というタイトルで出版され、話題になっています。

この本ではこれまでのWHAT(何をするか)の時代から、HOW(どのようにするか)の時代になってきたという指摘がされています。ここでいうHOWはビジネスプロセスのことではありません。「人がどう行動するか」を指しています。

余談ですが、この本の序文をビル・クリントン元大統領が書いており、退任してから、一番大切なのは「HOW」だと思うようになったと述べています。これもどうかと思いますね(笑)。

さて、ダウ・シードマンは、「戦略志向、目的志向の仕事の進め方では、ルールの範囲内であれば戦略や目的を達成するためには、何をしてもよいと考えられてきた」と指摘します。上の話ですね。企業が戦略を達成する、官庁が事業目的を達成する、ためには、法律的に予算の流用もするし、中小企業に厳しい条件の取引を求めるわけですね。


◆ソーシャルメディアで崩れる前提

このようなやり方には前提があります。それは、外から見たときに企業やプロセスはブラックボックスだという前提です。商品がどのようにして作られているのか、どれだけの原価で作っているのか、どういう態度でそのサービスを提供しているのか、などは、基本的には分からないという前提で活動が行われています。

ところが、ソーシャル時代を迎えてこの前提が崩れてきました。もう一つの例を挙げてみましょう。数年前からブラック企業というのが話題になっています。誰もが認める定義があるのかどうかわかりませんが、共通のイメージはあります。

このブラック企業にしてみても、三六協定で労働条件の合意をし、その範囲で長時間勤務をさせるという「やってもよい」範囲でやっているわけです。あるいは、こちらはブラック企業というのかどうかわかりませんが、労働条件ということでは追い出し部屋を作ってやりがいのある仕事を与えないという話題もあります。これも法律的には問題はないようです。

ところが、ブラック企業の実態については、ソーシャルメディアでさまざまな人が問題にしたり、内部告発したりし、マスコミが動いでより詳しい調査や報道をするという動きが起こっています。そして、そのような動きが大きくなってくると、確実にブランドイメージが悪くなり、業績に影響してきます。

つまり、上の事例に違和感を感じた人は、ブラック企業の提供する商品やサービスを買わなくなる可能性があります。

今の時代はこのようなことだけではなく、極論すれば、その商品を作っている会社のCEOがどれだけのサラリーをとっているのか、どれだけの資産を蓄えているのかまで分かります。


◆イノベーションでは差別化できない

一方で、戦略やビジネスモデル、製品で長期に渡って差別化をすることが難しくなってきました。

何か新しい技術を使った新しい商品を出しても、2〜3年で優位性がなくなると、開発投資を回収することは極めて難しくなります。それでも5年前くらいまでは、開発期間を短期化して、立上げのスピードを上げて短期間で回収するという方向性でリーン開発などに取り組んできました。実際に、アップルのiPhoneなどは発売前に数百万台のオーダーで売れています。

しかし、今ではこのようなやり方も通用しないくらい、早く優位性がなくなってしまいます。アップルでも一つのモデルのライフサイクル中、ずっと優位性を保つのは難しくなってきています。


◆「してもよい」から「すべきこと」

このような状況の中で、戦略やビジネスモデル、製品によるといったWHATによる優位性ではなく、HOWによる優位性を持つことができれば、長期に渡って競争に勝つことができ、収益に結び付くというのはダウ・シードマンの考えです。

HOWで優位性を持つためにポイントになるところが、「すべきこと」だけをやるなのです。消費税の問題に戻って考えてみましょう。すべきことは、消費税部分は上乗せしない、あるいは、もう一歩踏み込んで、より体力がある小売業側が消費税部分を負担することです。

特に後者を実行するとライバルからは、「いいかっこし」とか「きれいごと」と言われるかもしれません。

しかし、ソーシャルネットワークで自らアピールしなくても必ず知れ渡ります。すると、消費者にはテレビCMよりはるかに効くのではないでしょうか?つまり、きれいごとではないのです。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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