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【PMOコラム18】プロジェクトのモニタリングについて考える(2007.04.02)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


プロジェクトのモニタリングというのは単純明快なようで、結構、深い話である。

◆進捗報告

モニタリング活動の種類でみれば、3種類ある。

もっとも単純明快なのは、スケジュール、コスト、品質、リソースなど、ベースラインの設定(定量化)ができるもので、これに対しては進捗というモニタリング指標がある。進捗に対するモニタリングは、通常、進捗報告として、ボトムアップ式に行われる(ただし、これにしても、EVに代表される計測方法などの課題があるので、単純明快とはいえないかもしれない)。

これらは目標に対するプロジェクトの状態を評価であり、コアプロセスとして行われるマネジメントである。

これに対して、目標に対する状態のモニタリングではなく、マネジメントの状態を知りたいという目的のモニタリングがある。PMBOK(R)でいえば、マネジメント計画に対する実行状況を知りたいという場合だ。


◆トラッキング

ひとつの例として、進捗に大きな影響を与えるリソースパフォーマンスを考えてみよう。プロジェクト作業計画を作る際に、ある生産性を基準にして作った。すると、この生産性を引き出すことがマネジメントの重要課題になるし、その方策はマネジメント計画書においてきちんと計画されている必要がある。

ところが、こちらはベースライン(プロジェクト目標)のような形で定量的にモニタリングしていくことは相当難しい。例えば、残業時間のような間接的に推定する指標を持ちこんで定量化することができないわけではないが、最終的には値を解釈して評価すべきものであり、その意味で、本質的に現象を直接観察して、モニタリングすべき性格のものだ。

このように現象を直接観察するタイプのモニタリングはトラッキングと呼ばれる。トラッキングには、チームのパフォーマンス、主要なコミュニケーション、課題管理などが上げられる。

トラッキングの中で多少、特殊な位置づけにあるのが、リスクである。リスクマネジメントではリスク事象をトラッキングする。これは計画通りに言っているかどうかをトラッキングしているわけではないが、プロジェクトで発生する事象をモニタリングしているという意味ではトラッキングである。


◆監査

このようなトラッキングに対して、トラッキング自体が難しい、あるいは、個別事象をトラッキングしているとマネジメントコストが爆発的にかかるようなものがある。

例えば、コミュニケーション計画の中で、プロジェクトメンバーは毎日、当日の作業を正確にPMSにインプットすると決めたとしよう。インプットしているかどうかは把握できるが、正しく入力されているかどうかはほとんどフォローできないだろう。トラッキングできなくはないが、凄いボリュームになるだろう。

あるいは、些細であっても問題が発生した場合には、関係者を集めてミーティングを行うという計画を作ったとする。この計画が計画通りに行われているかどうかをモニタリングするのは非常に難しい。

このような場合には監査というモニタリング方法をとる。

監査は個別の事象に注目するのではなく、視点を変えて、大局的に、全体的な傾向や、計画通りに行われた場合あるべき結果、インシデントなどに注目して、情報収集し、分析することによって状態が計画通りに行われているかどうかを判断する方法である。ある意味でサンプリング検査のようなものである。

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(つづく)


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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