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【PMOコラム53】PMOロードマップの作成(2008.04.21)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆PMOロードマップとその時間単位

前回までで、初期のアクティビティについてはほとんど固まるわけであるが、もう一つ、初期段階で重要な要素がロードマップである。不思議なことにロードマップを作っているPMOはあまり多くないが、プロジェクトマネジャーの負担感を減少させるために、ロードマップは極めて重要である。

PMOロードマップはPMOの実装機能を時間軸上においていくものである。

まず、ロードマップの時間単位であるが、これは2つの点でクオーター(3ヵ月)が適切だと思われる。ひとつ目の理由は予算コントロールをクオーターで行う組織が増えてきたこと。二つ目はすでに述べたように、特にPMOの立ち上げ段階では短期間で成果を上げることが期待され、その一つの目安期間が90日であること。

そして、クオーターに合わせて、何をやっていくかを決めていく。


◆ロードマップを使って、展開を細分化、戦略化する

事例をベースにして考えてみよう。ある組織では、標準的計画手法の導入をすることになった。PMBOKに準じて、計画として、スコープマネジメント計画、スケジュールマネジメント計画、コストマネジメント計画、品質マネジメント計画、リスクマネジメント計画、コミュニケーションマネジメント計画の6つの計画を標準として策定することにした。

これを年度目標として、取り組んでもあまりうまくいかない。形式的な取り組みになって終わるのが関の山である。そこでもう少し、知恵を使う。

この組織では、この中から、中核になりそうな要素を取り出す。いろいろとあるが、計画書記載項目、WBS、アーンドバリュー(見積もり方法)、リスク識別、・・・などいろいろと必要な要素がある。


◆達成目的へのシナリオを描く

これを1年かけて一挙にやるとプロジェクトマネジャーには相当な負担になる。そこで、計画書の標準化をしたいもっとも重要な目的は何かと考えてみる。すると、スケジュール遅れがもっとも重要なポイントだということになった。ここでスケジュールマネジメント計画に着手するのは短絡的かもしれない。なぜ、スケジュールが遅れるプロジェクトが多いかを考えてみる。そこで出てきたのがスコープ追加だった。

これが逆にいえばスコープの漏れである。そこで、WBSマネジメントを徹底を最初のクオーターに持ってきた。この段階では計画書のレビューはしない。その代わりに、WBSを徹底的にレビューする。顧客があったり、外部企業を巻き込む場合には、そこも含めてWBSをベースにして成果物のイメージを固めることを義務付けた。そして、この取り組みを中心に、他の必要事項のシナリオを描き、ロードマップに落としていった。

誌面の関係ですべては紹介できないが、ロードマップの一部をご紹介する。

・リスク識別(スコープ)
・EVM(ステップ1:教育プログラム展開)
・EVM(ステップ2:WBS標準見直し)
・EVM(ステップ3:見積もり導入)
・・・・
・プロジェクトマネジメント計画書(標準)

という2年間のロードマップを作成した。


◆小さく刻み、慣れてから次に進むという発想が重要

このようにPMOの施策を刻んでいくことにより、プロジェクトマネジャーが感じる負担はかなり小さくなる。プロジェクトマネジャーの最大の負担は一挙に負荷が増えることである。プロジェクトマネジメント計画を作って、プロジェクトをコントロールしていくことはそれ自体はそんなに負担になるような仕事ではない。だからといって何もやっていないところにいきなりやれと言われて、片手間でできるような仕事でもない。

慣れてくれば負担に感じず、実際にプロジェクトマネジャーのトータルの仕事で考えれば仕事を減らす方向に機能するものである。

それは分かっていても、プロジェクトの区切りやプロジェクトスパンなどで、どうしても一つ一つのプロジェクトにまとめて導入しようとすることが多い。実は上の事例では、2年間のライフサイクルを半年ずらして3回回している。つまり、トータルでは3年間のロードマップライフサイクルになっている。

このあたりをうまく工夫したロードマップを作ると、プロジェクトマネジメントの定着化の効率は格段によくなる。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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