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ステークホルダーを味方につけるためには、目的に共感をしてもらい、目的を共有し、目標を明確にし、その達成アプローチに賛同を得ることが必要

第2回 ステークホルダと目的を共有し、目標を整合する(2008.10.03)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆はじめに

前回は仕事を始めようと思ったときに、プロジェクトスポンサーやステークホルダとの関係作りからはじめようという話をしたが、今回は彼らを味方につけるためには何をすれば何をすればよいかを考えてみよう。

キーワードは「目的の共有と目標の整合」である。


◆2つのアプローチ

たとえば、あなたが人材開発担当だったとして、プロジェクトマネジャー100人育成プロジェクトをやりたいとする。プランを作って、ライン長に相談にいく。このときに、

・今度、こんなことをやるので第1部からも10人くらい人を出してもらえないですか?プロジェクトマネジメントできる人が増えると第1部も発展するでしょう。

と相談をするのと、

・プロジェクトマネジャーを現在の倍にして、売り上げと収益を増やして、みんながやりがいのある仕事を作り、働き甲斐のある会社にしたいので、協力してもらえないですか?

というのでは、相手の受け止め方はまったく違う。前者の場合、相談を受けた部長は自分たちの問題だと捉え、自分たちの中でのプライオリティで判断することになるだろう。そこでまあ、人事とのお付き合いなので、3〜4人くらい出しておこうかということで、時間に余裕がありそうな人を適当に選んで出すのが関の山だ。

ところが、後者だと、組織としての共通の目的、目標を掲げているので、それに共感すれば、業務付加のやりくりをしても、これという人材を出してくれる可能性がある。

ただし、共感しなければ拒否する可能性もある。多くの場合、前者のような相談の仕方をするが、その背景には、目的、目標を明示することによって、議論が起こり、場合によってはうまく行かないことにあるのだ。


◆目的を共有する

しかし、ここは、前回述べたようにステークホルダを熱心に説得し、なんとか目的に共感をしてもらい、目的を共有する必要がある。

ここで考えなくてはならないのは、共有しやすい目的と共有しにく目的があることだ。たとえば、上の例で、プロジェクトマネジャーを増やすという目的は、人材開発の目的に過ぎない。目的が達成できた暁のメリットはあるのだが、だからといって、一生懸命コミットする必要性を感じるとは限らない。

ところが、「やりがいのある仕事や会社を作る」というのは、部長であればおおむね、共感できる目的だといえる。目的への共感は理屈ではない。主観である。

ただし、部長がその目的に対して、プロジェクトマネジャーを100人育てるアプローチが適切と思うかどうかは別問題である。

ひょっとすると営業活動の強化や仕事の評価の洗練を主張する人もいるかもしれない。


◆目標を明確にし、達成アプローチを整理する

そこで重要になるのが、目的に対する目標である。「やりがいのある仕事や会社を作る」という目的に対して、上の例では100人のプロマネ育成という目標を説明しているが、この妥当性が見えなくては納得しないだろう。つまり、100人のプロマネを育成すれば、このように目的が達成できるというロジックが必要だ。

すると、目標は100人育成だけではなく、いつまでにとか、どのようなプロマネを育てるのかなどをあわせて示していく必要がある。プロジェクトにおける目標の設定は、一般に5W2Hで行なう。この例の場合だと、

・What:100名のスーパープロマネの育成
・When:来年度より3年間
・Where:全社
・Why:やりがいのある仕事や会社を作る
・Who:人材開発部門を中心にした全社プロジェクト
・How:トレーニング、メンタリング、経験
・How to:年間2千万円

といった感じになる。この目標で目的が達成できると思えば、賛同を得られるだろう。

目的はプロジェクトの芯なので、すぐに共感してもらえない場合にも、粘り強く、説得するが、目標がいろいろな視点からの意見を取り入れ、むしろ、誰もができると思うものに収斂をさせていく必要がある。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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