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第6回 なぜ、ミドルなのか?(2008.10.15)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆15年前とは仕事の質が変わっている

この連載も6回目になる。前回、ミドルである必要性を「経験」だと述べたが、今回はこの議論をもう少し深めてみたい。

今回の議論でミドルというのが漠然としているようなら、とりあえず、課長級の役職者だと考えておいてほしい。今までというか、少なくとも15年前には課長が実作業をすることはまれで、課長は予算を確保し、担当者が困ったときには相談に乗ればよかった。そのような信頼感を抱かせることが、統治の手法でもあった。

実際にこれでうまく行っていたのだが、なぜだろうか?

大きな原因は仕事(プロジェクト)の性格である。15年前には、プロジェクトとは、ほぼ、決まりきった路線で、業界で横並び的な商品やサービスを提供していればよかった。すると、他社が作ったものを如何に自社でも作るかが問題であり、そこで、性能や、品質、ある範囲での機能の差別化をすることが求められた。

このような問題は、係長(リーダー、ジュニアマネジメント)の担当範囲であり、課長は係長がきちんとできるようにサポートしたり、管理したりしていればよかった。


◆バブル後の変化

ところが、バブルがはじけた後は、横並びが通用しなくなってきた。自社が独自の戦略を持たない限り、利益を上げることが難しくなってきたのだ。そして、現場においては、その戦略の中で、「何を作るか」が問題にされるようになってきた。もはや、他社の模倣で、性能(作り方)で勝負するという方法がとれなくなったのだ。

このような動きの一方で、もうひとつ、バブル後に起こったことがある。それは、組織のフラット化である。結果として中間管理職のポストは縮退し、今までは管理する立場であった課長や、場合によっては部長までもが実務をすることを求められるようになってきた。

つまり、独自の路線をフラットな組織で実行していくという課題が生まれた。


◆事例

ここで、企業の対応の差が出る。当時、著者がコンサルティングをしていた企業で売り上げベースで50億強の企業A社、B社の事例を見てみよう。

企業Aは、課長に係長にさせるより作り方が難しい仕事を任せ、新しいものを創造する仕事は規模が小さいこともあり、若い人がよいだろうという理由で係長に任せた。
ホンネのところでは他社との差別化は機能や品質(商品の完成度)の卓越に求めたのだ。

企業Bは、係長には従来どおり、実現のところの仕事を任せ、課長には何を作るかを考えさせるような仕事を任せた。こちらはコンセプトに他社との差別化を求めた。

この違いは大きな違いになった。A社は今は下請けに甘んじている。B社はこの20年で読者の誰もが知っているような企業に成長した。


◆何を作るかで勝負するのに必要なもの

ここで考えたいのは、何を作るかで勝負するときに、推進者に何が必要かという点だ。

・自社への理解と想い
・人生経験やキャリア
・上位影響力
・社内外の人たちとのコラボレーション
・異質の人たちをチームとして束ねて成果を出すリーダーシップ
・未知の分野で、リスクを管理しながら仕事をする度量
・トップのビジョンとメンバーのビジョンの整合
・メンバーのリーダーシップの育成
・新しいものを創造する力

といったものが頭に思い浮かぶ。ほかにもあるかもしれないが、これらの要素を併せ持ち、管理者ではなく、プレイングマネジャーとして実践できるのはミドルである。

このように考えると、上のA社とB社の差が出た理由は納得できる。

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  2.2 コンセプチュアルな組織活動のプラニング
  2.3 ステークホルダーへのコンセプチュアルな対応
  2.4 コンセプチュアルな人材育成
  2.5 コンセプチュアルな組織文化の構築
 3.コンセプチュアルなマネジメントの目標
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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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