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第4回 上方影響力について考える(2008.09.26)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


前回は根回しという話をしたが、今回はもう少し広く、「上位組織への影響力」という話を考えてみたい。


◆創造性が上位組織への影響力をもたらす

上位組織への影響力は、基本的に権限のない影響である。ラインの中で権限に基づく影響とは根本的に異なる。だから根回しという方法が以前から使われてきたわけだが、根回しが煙たがられるようになった背景に、部下が上司に無償の配慮を頼りすぎるという風潮があるように思う。

以前、「ピーエムスタイル+」でくれない症候群の話をした。認めて「くれない」、任せて「くれない」、やらせて「くれない」等々。この風潮も同じだ。とにかくくれというのはわがままに過ぎない。そんなことをいわれても、経営陣や上司はうまくいくとは思えないというのは人情である。

たとえば、スケジュール遅れの局面で、リソース追加を要求するのであれば、スケジュールの是正だけではなく、プラスアルファが必要である。たとえば、顧客満足の向上、プロダクトの品質の向上などである。これだと、無償の配慮にならない。ここがプロジェクトマネジャーの「創造性」である。

このような創造性が上位組織への影響力をもたらす。


◆ドナルド・ペルツの「上方影響力」

上位組織への影響力については、きわめて興味深い(臨床)理論がある。有名な理論なので、ご存知の方も多いと思うが、ドナルド・ペルツの「上方影響力」である。

ドナルド・ペルツは、フィールドワークにより、以下の2つの現象が起こっていることを突き止めた。

・上司が部下に対して支持的行動を取ることによる効果の高さは、上司自身の上方影響力の大きさによって左右される

・上方影響力の低い上司による配慮はその度合が大きいほど部下の不満が溜まる

実に考えさせられる指摘である。チームを考えてもらうといいのだが、外部(特に上位)とのコミュニケーションや交渉を積極的に行わない人に限って、チーム内を固めて何とかしようとする。メンバーに気を使ってみたり、インセンティブを与えてみたりする。しかし、このようなマネジャーの態度は、メンバーのストレスを増すという意味で逆効果だというのが、ドナルド・ペルツの発見である。

これはどういうことだろうか?たとえば、自身や部下がやりたいことについて上司を説得できず、上司の要求にそったプロジェクトになったときに、インセンティブなどでチームを盛り立ててなんとかやり遂げようとするマネジャーがいる。チームはしらけるだけである。そんなことをペルツはいっているわけだ。


◆上方影響力の偽装は悪質だ!

ただし、これはマネジャーの能力に?がつくだけでまだましかもしれない。もっと悪質なのは、上方影響力を偽装するマネジャーだ。

・どうせ、部長はわかっていないのこちらでやってしまおう
・きちんと説明できれば問題ないので、こちらの判断でやろう

といった誘導をして、チームを固めたがるマネジャーがそうだ。

前者については部長がわからないとしても、それがチームで勝手にやる理由にならないことは明らかだし、多くの場合、こうようなやり方でチームが結束してもあまりよい結果を生まない。不必要に敵を増やすだけだ。

後者についていえばこういう人はマネジャー職位を返還すべきかもしれない。論理的な展開だけでは成功しないので、マネジャーがいるし、存在価値があるのだ。

言い換えると、このような態度は単に自身の上方影響力のなさをそのような形でごまかそうとしているに過ぎない。

このこと自体も問題なのだが、もっとも大きな問題は、このような偽装によって、プロジェクトメンバーを外を見れない箱入りメンバー状態にしていることだ。箱に入っていては成長できない。

もし、思い当たる節があれば、すぐに偽装をやめ、上位影響力の獲得に取り組んでほしい。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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