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第12回 ブルーオーシャン戦略にこぎ出すプロジェクト(2008.12.16)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆ブルーオーシャン戦略

2005年に「Blue Ocean Strategy」という本が出版されて以来、あっという間にイノベーション戦略の定番になった感のあるのがブルーオーシャン戦略だ。皆さんも名前くらいは聞いたことがあると思う。考案者は、フランスの大学院教授のチャン・キム博士とレネ・モボルニュ博士。競争のない世界の創造という言葉もさることながら、競争で地に染まっていくレッドオーシャンに対して、青々と広がる未知なるブルーオーシャンというメタファーの効果もあって発表以来、多くの人が関心を持った。斬新だったのは、従来はニッチだと考えられてきた市場が、ブルーオーシャンになることもあるという点だ。


◆ブルーオーシャン戦略の視点

ブルーオーシャン戦略は経営戦略に活用できる考え方にとどまらず、いろいろなレベルに影響を与えている。その秘訣は、ものの見方にある。

ブルーオーシャンへのアプローチは以下のようなものである。

削減:業界の標準以下に押さえなくてはならないものは何か
向上:業界の標準以上に高めなくてはならないものは何か
除去:業界で当然だと思われているものの中で取り除かねばならないものは何か
創造:業界でまだ提供されたことのないものの中で提供しなくてはならないものは何か

ただし、レッドオーシャンではなく、ブルーオーシャンを目指す戦略であるので、コストや機能競争に終始するということではない。つまり、削減はコストの削減ではないし、向上も単なる機能向上ではない。ひとひねりする必要がある。


◆ブルーオーシャンの事例 任天堂Wii

たとえば、チャン・キム博士が日本でもブルーオーシャン戦略をとっている企業があるとして、再三事例としてあげているのが、任天堂のWiiだ。Wiiを例にとれば、上のアプローチは

・削減したもの:ゲーム機能
・除去したもの:バーチャル性、複雑性
・向上したもの:リアリティ
・創造したもの:Wiiリモコン

といったところである。

ここで注意しておきたいのは、チャン・キム博士はブルーオーシャン戦略の成功には

意識のハードル
経営資源のハードル
士気のハードル
政治的なハードル

の4つのハードルがあると指摘している。Wiiの例を見ていると、これらはクリステンセン博士のイノベーションのジレンマそのものである。これらのハードルを乗り越えることは、イノベーションのジレンマを克服することでもある。


◆ブルーオーシャンは水平思考

どういうことか。Wiiについてはどのようなハードルがあったかというのを任天堂の人から直接聞いたことがあり、僕自身はこのハードルというのはなるほどと思った次第だが、残念ながらこの話は紹介できない。そこでたとえ話をしよう。

ロボットに例えると、どんどん知性を高度化するロボットを開発している競争で、いきなり、マニピュレータを投入するようなものであり、当然だが、今までの投資はなんだったんだという政治的な圧力、面子の問題、一心不乱に研究をしていた開発者のモチベーションの低下、ローテクに対する経営資源の出し惜しみなどが起こることは容易に想像できるし、実際のこの中で政治的なハードルとか、意識の問題がイノベーションのジレンマを引き起こすのだ。

ブルーオーシャン戦略に学ぶことは、創造というとどんどん先鋭化するようなイメージがあるが、実はそうではない。水平思考(発想の転換)のような思考方法で実現することの方が多い。ただし、それを本当の意味で組織のコンピテンスにするには、成功を重ねていくしかないということだろう。

ただ、これを逆手に取ると、意外と思い切ったプロジェクトが構想できるのではいかと思う。その意味で、このような視点を持つことは重要である。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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