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第33回 標準化とは成功予測をすること(2009.10.06)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆標準化とは成功予測

前回、プロジェクトマネジメントの最初のレベルは、システム的にプロジェクトを捉えることだと述べた。次のレベルは、標準化ができていることである。

ここで問題になるのは、「標準」とは何かということだ。標準とは、「その通りにやれば、プロジェクトは成功する」手法である。組織的にみれば、「成功予測」ができることが第2のレベルである。


◆標準とプロジェクトマネジメントのオーナーシップ

ただし、この問題にはプロジェクトマネジメントの「オーナーシップ」の問題が絡んでくる。業務(マネジメント)のオーナーシップとは、その業務に関するルールを決めることに関する権限である。

たとえば、皆さんのなじみの深いところでいえば、オーナーシップが明確なのは、経理業務である。たとえば、出張費の算出基準がおかしいと思っても、それは経理部が決めたルールということで通ってしまう。これは経理部が経理業務に対するオーナーシップを持っているからだ。

プロジェクトに関連する業務で、オーナーシップらしきものが存在するのは品質マネジメントである。品質マネジメントにおいては、品質部門がオーナーシップを持っているケースが増えている。品質部門の決めたプロセスをきちんとクリアしないと開発を進めていくことができないようなルールになっているケースが多い。

オーナーシップが生まれてくると、標準は別の意味を持ってくる。標準通りにやればうまくいくということの担保なしに、標準通りに仕事を進めていくことが求められるようになってくるのだ。おかしいと思っても、とりあえず、標準を守ることが求められる。

プロジェクトマネジメントの場合には、日本ではオーナーシップを持つ部門(一般にはPMO)がある企業はほとんどない。したがって、標準は成功予測ができることであることが求められる。

プロジェクトマネジメントへのトップコミットメントというのは言い古されているが、実はこれはオーナーシップを与えることを意味している。社長が訓辞をたれるといったことではない。トップコミットメントがなければ、オーナーシップは実績を上げて、獲得するしかないのだ。


◆標準化の難しさ

成功予測ができる標準化というのは、マネジメントの世界では相当難しいものだ。この問題に拍車をかけるのが、その標準によって成功するかどうかは、プロジェクト側にプロジェクトマネジメントの取り組みに依存するということだ。つまり、プロジェクトが真剣に標準にコミットしなければ成功は難しい一方で、真剣にコミットするには成功するという担保がほしいという立場の違いからくる水掛け論に陥るケースが多い。

ここをトップの権限で強引に進めてうまくいった組織もあれば、形骸化に陥った企業もある。

加えて問題なのは、プロジェクトマネジャーが苦労しないうち、つまり、ステップ1のシステム化の過程を経ないで標準を策定してしまうケースである。ブームに乗ってPMOを立ち上げた組織ではこのケースが結構、多いのだが、これをやると、そもそも、プロジェクトマネジャーが標準を理解できないままに、標準ができる。そのようになってしまうと、行き着くところは形骸化以外にはない。

たとえば、リスク分析をしたときに知識エリアごとの関係性を理解できていないとか、変更管理ルールがなぜ、直接的な変更点だけにとどまらないかをよく理解できていないなどである。

さらに、問題なのは定着化の問題である。標準化ができているかどうかは3年程度はみてみないと分からない。もっといえば、標準を実行する中心になるプロジェクトマネジャーにおいて、標準の実行動機が外発的な動機から、成功体験を経て、内発的な動機になるまでは標準化された状態、第2のレベルとはいえない。

この状態は成熟の最終段階であり、標準はレビューや監査などの仕組みで実行させるという考えの人が多いが、著者はそうではないと考えている。むしろ、監査をやるのであれば、内発的な動機を生じるような施策として設計していくべきだろう。

以上のような多くの難題をクリアして、やっと次のレベルである標準的なプロジェクトマネジメントが行われている段階に進むことができる。間違っても、標準手法と実行監視の仕組みを作って標準化できたとは考えないことだ。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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