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イノベーションマネジメントに必要な視点は、リーダーシップ、戦略、プロセス、リソース、メトリクス、インセンティブです

第3話 イノベーションマネジメントに必要な視点(2013.08.06)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆はじめに

前回、イノベーションのライフサイクルとマネジメントについて述べた。

(1)戦略実行のアイデアの創出
(2)アイデアの取捨選択
(3)アイデアの実行
(4)価値創造をする(戦略ゴールの実現)

前回述べたように、このサイクルを実行していけば必ず、成果が得られるというものではない。これは生産管理や生産型のプロジェクトマネジメントとは根本的に違うところである。だからといって、運が良ければ新しい製品やサービスが生まれると言うのがイノベーションではない。

このサイクルはマネジメントされなくてはならない。


◆イノベーションマネジメントに必要な視点

企業のマネジメントに背略、財務、人的資源、製品などの視点があるのとまったく同じように、イノベーションのマネジメントにも視点がある。代表的なものには

・イノベーションリーダーシップ
・イノベーション戦略
・プロセス
・リソース
・メトリクス
・インセンティブ

といったものがある。これらをどのように組織の中に組み込んでいくかによって、イノベーションの量と質が変わってくる。

つまり、イノベーションマネジメントは、どのようなイノベーションの質と量が必要かという戦略的なゴールを設定し、そのゴールに対して、上記の視点をどのようなものをどのような形で取り込んでいくかを決め、実行していくことに他ならない。そして、イノベーションの質と量をコントロールしていくのだ。


◆イノベーションマネジメントでコントロールするもの

ここで注意しておきたいのは、個々のイノベーション(一つのアイデアの実行)をコントロールするということではない。個々のイノベーションは偶発的な要素があり、コントロールできるものではない。コントロールしたいのは、イノベーション活動全体であり、その指標としては質と量である。

たとえば、新しい事業を始めるとする。その中で、量とはたとえば、どのくらい数の商品を世の中に出し、それによってどのくらいの売上を上げるかだ。そして、質は例えば、その商品によってどのくらいの市場シェアを得るか、そして、どのくらいの収益を確保するかである。

ひとつ一つのイノベーションを管理するのは難しい。前回述べたとおり、不確実性があるからだ。売上、収益、販売、シェアといった全体の数字をコントロールする。コントロールはイノベーションに取り組む個別のプロジェクトのコントロールではできない。イノベーションプログラムとして取り組んでいく必要がある。


◆創造性のマネジメント

つまり、イノベーションのマネジメントは戦略マネジメントと同じように取り組んでいくわけだが、戦略マネジメントの中での管理と根本的に違う点がある。それは、創造力のマネジメントである。この点が、組織の中にイノベーションの要素を埋め込んでいく際のポイントにもなるし、質と量に大きな影響を与える。

一つの例ととして、20%ドクトリンというのを考えてみよう。20%ドクトリンの詳細は戦略ノートの記事を参考にして戴くとして、ここではイノベーションのために20%の時間を自由に使わせるというマネジメントの手法だと考えておいてほしい。

定型的な業務で20%の時間を使うと、生産性に見合う成果が期待できる。しかし、イノベーションではどれだけの成果がでてくるかは創造性のマネジメントにかかってくる。創造性が高ければ40%の時間に見合う成果が得られるかもしれないし、創造性が低ければゼロかもしれない。その意味で、イノベーション最大のポイントは創造性のマネジメントができるかどうかにかかっている。

つまり、イノベーションのためには、上に述べたような要素が創造性を発揮させるために組織の中に埋め込まれなくてはならない。特に、プロセスが問題になる。プロセスの問題は2つあり、ひとつは如何にアイデアを生み出すプロセスを作るか、そしてもう一つは前回少し触れたように、如何に失敗から学ぶプロセスを作るかである。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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